君が学んできたモノは歪む
主人公は、名も無い天使
稚の最後まで見守る役割を持っている。
変わらない日々に、変化が訪れる。
稚についての噂が広がり始めたようだった。
『陽の国に、神からの祝福を受けた子供がいる』
君は、知っている。短い期間だが人間を見てきたのだ。
人は『神』を良いように解釈している。
一般的と異なる容姿に祝福と呼び、呪いとも言うのだ。
君は天界に居た時は、人間は弱くそして我々の庇護かで生きるモノだと学んできた。
今思えば、それは間違いなのかもしれない。
彼らは、貪欲で野生的。そして人は利己的思考が強い。
認識を改めないといけないのではないかと考えるようになって来た。
そんな中、稚はいつもと変わらない。
少し変化があるとしたら、転けたり、躓くことがなくなり
ただ静かに部屋の外を眺めることが多くなった。
『稚、今日は何見てんだ?』
『あんまり景色変わらないなここ』
『あっでも、今日は人が沢山集まってんな』
君は、返事が来ない独り言を呟いてると彼の部屋に客人が訪ねてくる。
『初めまして、貴方様が稚様でお間違えないですか?』
初めてみる人物だった。この家のモノではない。
君は、身なりが整っていることから当主の客人ではないかと考えた。
『はい。私が稚です。貴方はどちら様ですか?』
稚は、しっかりした受け答えで返事をした。
『大変失礼しました。私は天津と申します』
『貴方様の父上から、貴方を任された者です』
そう言う人物は、稚の目線まで下がり手をすくように下から包む。
『貴方様は、これから迷瑶市と言う地域に共に向かい』
『貴方の父上のお仕事をお手伝いしに行くのです』
君は、この日が来たのかと天の書籍を開きもう一度確認をする。
【迷瑶市へ養子に出される】
この文面が淡く光を放つ。
天の書籍は、しっかり狂うことなく機能している。
君は、稚との時間が残り少ないことを実感し少し不思議な気持ちになった。
『では、明日の朝出発しますので支度をお願いします』
『それでは、また。』
天津は、一礼し部屋を出て行く。
その時、君は少し違和感を覚える。
目が合った気がした。
天界の住人は、人間には認識が出来ない。