彼を見ているとハラハラする
主人公は、なも無い天使。
稚の成長を見守っている。
月日は過ぎ去り。奥様の哀しみが薄まり始めた頃。
稚、彼にやっと周りが視線を向けるようになった。
『天の書籍』に書かれてる通り、彼に視力は無い。
そして、生まれつき顔に模様の様なアザが浮かんでいる。
君は、そのアザの模様について見覚えがあるだろう。
天界にある紋様に良く似ている。
その紋様は我々天界からの祝福の証で、喜ばしいことなのだが…
人間界ではそうではないように感じる。
母親の他界と生まれつきのアザが重なり
家族や使用人から腫れ物ように扱われていた。
目が見えない彼にとって、日常は不便なことが多い。
だが彼なりに一生懸命なのようだ。
君は、彼を横目に『天の書籍』に書かれてある
もう一つの気になる文章について読み考え始めた。
『迷瑶市』と言う地名だ。
天界にいた頃に、学んだ人間界について
その地域は、数百年以上前に消滅したと書いてあった。
それがなぜ『天の書籍』に書かれてあるのか。
君は、不思議に思うだろう。
簡単な仕事だと、ノームに説明された。
人間界に降りてきて、天界と人間界で歪んだ内容に戸惑うばかりだ。
考えても答えは、見つからない。
君は、稚の成長を見守るしかないのだから。
<ドッタッ…> 転ける
<バタバタッ> 物が落ちる
<ドカッ…> 壁にぶつかる
稚は、天の書籍が定めたその日まで無事なのか少し心配だ。
『大丈夫か?』
『引っ張ったら…あー』
『そっちは棚だぞ』
君は声が届かないのに無意識に、彼に声かけるのが日課になりつつある。
見てて不安になるんだよな