彼を待っていた。
主人公は、名もない天使
君は、稚がこの世に誕生するまで彼の家族達を眺めることにした。
名家に生まれながら、『養子へ出される。』その理由に君は興味が惹かれたからだ。
名家であるのは、目で見てわかるほど明らかだった。
一番広い土地、道ゆく人達よりも身なりが美しい者たちが集まっている。
彼の家庭内は静かでゆっくり時間が流れている様に感じた。
君が、彼の家族について観察していると周りが騒がしくなる。
廊下を歩く物達がいつもより忙しない。
騒ぎが大きい場所まで君が向かうと
「奥様の容態が悪化しています!!」
慌ただしく使用人が、家の主人に近況報告をしているところだった。
君が持っている『天の書籍』が淡く光り始めた。
待ちに待った彼が産まれてくる。
君はその瞬間を一目見ようと、彼がいる場所へ足を運ぶ。
人間が産まれる瞬間は書籍でしか見たことがない。
君は、祝福が与えられる瞬間を楽しみにしていた。
目的の場所まで歩んだ先には、部屋の前に使用人などが集まっていた。
いつもの穏やか空気とは違い。空気の澱みが深く濃く感じた。
君は、部屋の先にいる彼の母親に目を向けた。
そして君は、馴染み深いモノを目にする。
学び屋で学んだ【天の書籍の消滅】
『天の書籍』は、期間に終わりを迎えると新たな書籍になるために素材に変更される。
彼の母親の周りには、羽が散らばっていたが羽は徐々に天界に回収される。
彼の母親は寿命を終えたのだろう。
亡き母の隣にいる小さな命。
祝福の空気とは、言い難い哀しみと共に彼は誕生した。
天界からの祝福を