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コネクトリンク  作者: 雷光 トオル
第1章 戦わなければならぬ時
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魔装着

 その数分後、戻ってきた真壁(まかべ)が最後となる形でクラスの全員、全30名が揃った。


 それを機に先程から立っていた大剣の兵士がこちらを向き口を開く。


「ようやく全員揃ったか…それで、お前達は何故ここに集められたか聞いているか?」


 兵士の問いにいち早く答えたのは賢次だった。


「この首輪の説明をしてくれるんですよね?メイドの人はなんだか命が惜しければとか物騒(ぶっそう)な事を言っていましたけど…」


 兵士は答える。


「その通りだ、メイド達が言ったようにその首輪を外せばお前達に命は無い。

 何故ならその首輪を無理に外そうとすれば爆発するからだ」


 その言葉に一瞬、全員が呆けたような顔を見せる。

 脳が理解を拒んだのだ。


 しかし数秒後、広場は激情(げきじょう)の渦に包まれた。


「ふざけんな!」

「ウチらが何したっていうのよ!?」

「もういや!耐えられない!」

「これ外してくれよ!」


 この場にいる生徒達の誰もが声の限り怒りを、嘆きを、それぞれの思いの限り声を上げた。


 それを一身に受けた大剣の兵士は意外にも一切動じない。

 どころか背負った大剣を振り上げると何かを呟き、大剣の一瞬の発光後、とてつもない速度で地面に叩きつけられた。


 轟音が広場に鳴り響き声を上げていた生徒達は驚き身を竦める。

 大剣を叩きつけた地面は実に1メートルにわたって砕けていた。


 兵士は生徒達が黙ったのを確認すると大剣を背に戻す。


「喚くな餓鬼(がき)ども、お前達は黙って我々に従え。

 もっとも、騒ぐ様なら切るだけだがな」


 兵士は切ると言ったが、あの威力では切るどころか砕かれる未来しか見えない。

 そんな未来を予見したのかもう誰も喋ろうとはしなかった。


「さて、では本題に入るとしよう。

 お前達異世界人共をここに集めたのは首輪の話をするだけでは無い。もう一つ、今日からお前達には訓練をしてもらう」

「訓練…?」


 海斗が思わず聞き返すと大剣の兵士は頷き、地面に置いてあった袋を持つとおもむろに手を突っ込んだ。そしてその中から一枚の茶色いローブを取り出す。


「これからお前達はこのローブを着けて広間の外周を走ってもらう。ローブはおよそ5キロ、走り切るまで脱ぐことは許さん。受け取った奴から走り出せ」


 そう言って兵士は近くに居た賢次にローブを投げ渡す。

 賢次はそれを受け取ると首を捻った。


(5キロ?そんなに重く無い…せいぜい1キロくらいだ。)


 ローブは軽かった、それこそ普通のローブと同じくらいに。

 そんな事を考えながらもローブを着終えると同時に兵士が賢次のローブに手を触れる。


「うわっ!?きゅ、急に…重く!?」


 途端、先程までの軽さが嘘の様にローブは重量を増し、賢次は思わず膝をついた。


「それは魔装着(まそうぎ)と呼ばれる魔法の力を宿す服だ。魔力を込めることで効力を発揮する」

「魔力を…?」

「あぁ、そうだ。詳しい説明は今後魔導兵団(まどうへいだん)の奴等から受けることになるだろう、とにかく今は走れ!」


 賢次は立ち上がると外周を走り出す、重りのせいでどこかぎこちない走り方であった。


 その後、兵士は生徒達を整列させると一人一人にローブを手渡す。

 驚くべき事に手持ちサイズの袋からローブが二枚、三枚、四枚と取り出された。どう見ても質量が合っていないのだが、あれも魔法の力なのだろう。


 袋に気を取られている間に列は進み、気づけば自分の番が来ていた事にようやく気付いた海斗はローブを受け取り袖を通すと他の生徒と同じ様に兵士が手を触れる。


 ふと、海斗は違和感を覚えたが兵士に早く走る様に促され走り出した。


 前を走るクラスメートを()()()()()()海斗は自らの違和感に確信を持っていた。


 (やっぱりそうだ、なんでか知んねぇけど俺のローブはほとんど重さが変わってねぇ!)

皆さんコロナに気をつけて日々をお過ごし下さい

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