婚約!?
「ラース様!お待ちください!」
俺は王女様に呼び止められた。
「はい?なんでしょう?」
「その、父がラース様とご両親で話をしたいとのことですので」
「なるほど。どこでですか?」
「父の私室です。ついてきてください。」
「お父様、ラース様を連れてまいりました」
「あぁ。入っていいぞ。」
そこには国王とノヴァクロノ公爵がいた。
「失礼します。国王陛下どんなご要件で?」
「まあまあ、そんなにかしこまらんでも良い。私が勝手に呼んだのだからな。」
「そうですか。」
【コンコン】
「失礼します。陛下。」
「来たか、ゼクト伯爵。シスカ夫人。」
「して陛下、話とは?」
「あぁ、実はな、我が娘リリアとノヴァクロノ公爵家の娘テレスとラース君を婚約させたいのだ。」
「「「·····え?」」」
俺と父上と母上の声がきれいに重なった。
「あの、なぜそうなったのか事情を聞いても?」
「ああ、事情ならリリアが説明しなさい。」
王様が急に話をリリアにふった。
「え!?私ですか?あ、えっと、それは...
た、単純に、ひ、一目惚れをしたからです!テレスもそうでしょう?」
「え?は、はい...。」
「ということだ。私も認めているし、もうこうなった以上他のところに嫁がせるわけにもいかん。ラースよ、認めてくれるな?」
王様から無言の圧力がかかる。
すごく断りづらい。たしかにリリアとテレスは可愛いよ?でもね、言葉遣いがそう見えないけど5歳だからね!2人共!
精神は大人なのに5歳児と婚約なんて精神的にツラい!せめてあと10年は待って欲しかった。
でも、王様からのお願いだから断れない...
「……わかりました……。」
「よし、だが、婚約発表はだいぶ先になるな...。そうだな、10年後の高等学院入学後にしよう。」
こうして、俺は5歳にして婚約したのであった...。
――数時間後――
俺はようやく国王から解放されて王宮を見学している。
ホントは帰るつもりだったのに…
すると、訓練場のような場所に来た。
「ん?君は誰だね?」
なんかいかにも魔導師って人に声をかけられた。
「あっ、すみません。僕はラースという者です。」
「ラース?ラースってあの王女様をオークの集落で助けたっていう?」
「...はい。そうですが……」
「あー!やっぱり!ラース君!君は5歳なのにすごい魔法を使うんだってね!」
「え?あっすごい?のかな?」
「ぜひ僕と戦ってくれないか?」
「は?戦う?」
「そう!僕はトト。これでも一応宮廷魔導師をしている。」
へー。宮廷魔導師か、ちょっと楽しそうだな。
「いいですよ。じゃあ決闘ということでいいんですね?」
「うん。じゃあやろうか。」
こうして俺は決闘をすることになった。
「ここなら結界があるから思い切り戦っても大丈夫だね。」
「なるほど結界ですか。」
「そうだよ。この訓練場にある結界は宮廷魔導師10人全員で攻撃してもヒビすら入らないよ。」
宮廷魔導師とはこの王国の魔法使いの中で最も優れた10人のことだ。
「そうですか。では、始めましょう。」
「よし、じゃあ先に攻撃させてもらおうかな。」
先にトトが動いた。
「中級水魔法」
おお、無詠唱か。
流石は宮廷魔導師だな。
ここはあえて、
「中級炎魔法」
俺は水魔法を苦手とする炎魔法を放った。
普通ならフレイムランスが負ける。
だが今回は魔法の威力が違う。
俺のフレイムランスはトトのウォーターランスの倍の威力がある。結果お互いの魔法は相殺し消えた。
「なっ!水魔法を炎魔法でかき消した!?」
「驚いてる暇があったら障壁はっといたがいいよ?中級氷魔法」
俺はトトが死なない威力で魔法を放った……
つもりだったのだが、威力が強かったのか
トトが虫の息だ。
こりゃ不味い。加減って難しいね。
まぁ回復させればいいんだけど。
「中級治癒魔法」
これで大丈夫……
「ちょっと!なんですかいまのは!?」
……大丈夫なことなかった...。
自重すんの忘れてた...。
どうしよう……。
治癒魔法をかけたのさえバレてなければいいのだが……
「あれ?トトさん今のくらって無事だったんだ。」
良かった、周りの宮廷魔導師は気付いてないようだ。
「えっと、トトさん?」
「トトでいいですよ。」
「あっそう?じゃあトト、敬語使わなくていいよ。それから、今のは見なかったことにしてくれない?」
「えっ?あっ、いいけど。どうしてかくすんだい?」
「ん?だってこう見えても5歳だよ?面倒事は避けたいじゃないか。」
「あっ、なるほど。てか5歳っぽくないよな。」
よかった。ちゃんと分かってくれたみたいだ。
最後のはひどいと思うが、ちゃんと5歳ですよ?でも、聞かなかったことにしよう。
「じゃあね、トト。また来るよ。」
そう言って俺は訓練場を後にした。
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ノベルバで先行して投稿しています。
もうちよっと先を読みたい!っていう人はそちらでお読みください。
〜 shota〜