うっかりドジなくそう協会
初めまして。
わたくし、うっかりドジなくそう協会から参りました、案内人のオッチョ・コ・チョイと申します。
はい? 誰ですか、今ふざけた名前だなと仰った方は?
親から頂いた名前ですが何か?
コホン、では気を取り直して。
これはちょっとドジで間抜け、うっかりおおざっぱな方へ送る、注意喚起の取り扱い説明書です。
俺、間抜けじゃねーし。
私、ドジじゃないわ。
そんな、真面目で完璧主義のあなた様。
来るところをお間違いですよ。
ここは、うっかり君やドジっ子さん、おマヌケ君やおおざっぱさんのための読み物ですので。
あなた様には、僕私パーフェクト協会へ移られる事をお勧めします。
《 ケース1 》
朝です、起きたら歯みがきです。
寝癖頭の寝ぼけ顏の方が、何やら歯磨き粉をぶんぶん振っていますね。
残りが少ないようです。
しかし、良いのでしょうか?
キャップを開けて、歯ブラシに……。
「あれ? なかなか出てこないなぁ……?」
プスッ。
「うわぁっ!」
おや? 目を押さえて悶絶していますね。
どうやら歯磨き粉が目に直撃したようです。
そうとう痛いのか必死で何度も目を洗い流していますね。
目も開けられない強烈な痛さのようです。
いけませんね~。歯磨き粉だと思って油断しては。
この方、しばらく激痛と付き合う事になるでしょう。
歯磨き粉はシャンプーよりも遥かに痛そうです。
無理なさらず酷い場合は、眼科の受診をお勧めします。
では、ここで一つ教訓を……
『歯磨き粉、油断しちゃダメ、気をつけて、プスッとなったら、発射の合図』
《 ケース2 》
おや、お出かけですね、お洒落をしたこの方はご機嫌な様子でどこへ行くのでしょう?
車に乗って、まずはシートベルトですね。
長さを調節して……。
スーーーー。
「痛っ……!」
おや、どうしたのでしょう?
眉間にしわを寄せて、鎖骨の辺りを気にしていますよ。
手でさすっていますね。
これは、シートベルトにやられましたね。
いくら身の安全を守る物でも、油断は大敵ですよ。
露出の多くなる夏は特に、シートベルトの戻りにご注意を。
たびたび同じ現象が起こるようなら、何らかの対策をお勧めします。
では、ここで一つ教訓を……
『それ安全? すれると痛い、シートベルト』
《 ケース3 》
シートベルトをして、さあ出発ですね。
と、思いきや、この方ダッシュボードを開けて何か探し物のようです。
しかし、くんくん。
この車内、何か臭いますね。なんの臭いでしょう?
「え~と、メガネメガネ……うげっ、なんだこりゃ!?」
なんと、これは!
ダッシュボードの底に謎の物体がベットリと占拠していますよ!
手がベトベトですね。
おや、その茶色の容器に貼られたラベルは……。
ああ、そういう事ですね。油断しましたね。
冬は手が荒れますからね、手荒れしもやけによく効く軟膏は欠かせません。
あの匂いはこの軟膏だったのですね。
しかし、今は夏です。
夏場の車内は高温になります。
使用後、蓋はしっかり閉めましょう!
その前に、夏場の車内に軟膏の放置はお勧めできません。
溶けます、それはもうドロドロに。
車内に持ち込む際にはそのアイテムの用法用量、保管方法をよくお読み下さい。
間違った保管方法は、惨事を生みます。
しかしながら、一番の注意点は、車内に軟膏を持ち込んだ事を忘れない事です。
そうです。うっかりさんはダメですよ。
夏に入る前に必ず持ち帰りましょうね。
では、ここで一つ教訓を……
『大丈夫? 車内に放置、ベットベト、クリームの香り、車酔いの元』
《 ケース4 》
今日も暑いですね。
アイスが食べたくなりますね。
おや、この方はアイスを噛めないのでしょうか?
舌でペロペロ溶かしながら食べていますよ。
ああ、どうやら、知覚過敏のようですね。
しかし、良いのでしょうか?
こんな時も、気をつけるべきなのですが……。
「ひ~……、舌がヒリヒリする、うわっ血が出た!」
ほら、ご覧なさい。
ソーダ味のアイスに赤い模様。
しばらく舌のヒリヒリは消えませんよ。
熱い食べ物が苦手な方を猫舌。
冷たい物に敏感な方は、知覚過敏。
では、この方のようにアイスを舐めて出血する。
そんな症状は何と言うのでしょう?
ご存知の方は、うっかりドジなくそう協会までご一報下さい。
では、ここで一つ教訓を……
『知覚過敏、舐めて食べても、血が出るよ、堅いアイスは、気をつけよう』
《 ケース5 》
おや、この方今ご帰宅のようですね。
帰ったらまずビールですか?
おや、ビールを冷凍庫に入れたではありませんか!
キンキンに冷えたビールを飲もうと言うのですね。
そしてバスルームに向かっています。冷えるまではシャワータイムというわけですね。
しかし、なんだか不穏な気配を感じます。
…………遅いですね。半身浴でもしているのでしょうか?
ああ、ようやく出てきましたよ。
さっそく冷凍庫を開けて、お待ちかねの風呂上りの一杯ですね。
プルタブをクイっと……。
カチッ。
「うわっ、何これ? カチカチに凍ってる!」
ご愁傷様です。残念ながらお楽しみは泡となって消えていったようです。
しかし、この凍ったビールには泡の姿はありませんが。カチコチですからね。
そのビール、翌日にならなければ飲む事はできないでしょう。
そして、その時ビールは残念な事になっていますよ。
ビールの缶を冷凍庫に放置することはお勧めできません。
注意、お酒は二十歳になってから。
では、ここで一つ教訓を……
『凍らせて、飲もうとしたら、カチコチだ、急速冷凍、恐るべし!』
《 ケース6 》
髪を乾かすにはドライヤーです。
しかしここにも落とし穴が……。
髪が長い方がドライヤーで髪を乾かし中のようです。
豪快にわしゃわしゃと、ドライヤーから送られてくる風を髪に当てていますよ。
下を向いて、ドライヤーを上に向けて前髪を乾かしています。
髪の長い方は乾かすのに時間がかかりますね。
生乾きはダメージヘアの元です。しっかり乾かさなくてはいけません。
ドライヤーを忙しなく動かしながら髪をパラパラ……。
むむっ、焦げ臭い匂いがします!
「何この匂い……いてててててっ」
ああっ! これは一大事ですよ!
油断しましたね。
ドライヤーのお尻、吸い込み口に髪が絡んでいます!
ドライヤーをオフにして絡んだ髪を解こうと奮闘していらっしゃる模様。
なかなか解けないようですが、どこからかハサミを持ってきましたよ。
ああ、あきらめてチョッキンなさるのですね。
絡んだ髪の量が多かったら……おおっ、恐ろしや!
では、ここで一つ教訓を……
『ドライヤー、上手に使えば、怖くない』
《 ケース7 》
ここは、どこかの学校でしょうか?
階段下にいる生徒が、階段の踊り場にいる生徒に向かって話しかけていますね。
「おーい、さっき貸したシャーペン返せよ!」
「わかったよ。ほらっ」
おやまぁ、横着な生徒さんですね。
ぽーーいっと、階段の上から投げて寄越しましたよ。
シャーペンは弧を描き、階段下にいる生徒の手の中に。
「よっと!」
「ナイスキャッチ!」
おや? どうしたのでしょう?
シャーペンを受け取った生徒さんが、自分の手のひらを見つめています。
「いってぇ……て、何じゃこりゃ!?」
なんてことでしょう!
手の平にシャーペンの芯が埋まってしまっています。
この光景はちょっと怖いですね。
力を入れるとポキポキ折れるシャーペンの芯ですが、彼らも時には人間に反撃に出ることもあるようです。
この生徒さんにしたように。
では、ここで一つ教訓を……
『シャーペンは、手で渡してね、投げちゃダメ!』
物は大事にしましょう。
シャープペン、投げるの禁止、ダメ! 絶対に!
《 ケース8》
今日は朝早くから夜遅くまで、大変でしたね。お疲れ様でした。
おや、一日留守にしていた家の中から、何やら音が聞こえますよ?
こぽこぽこぽ………。
何の音でしょうか?
この方、お手洗いに行くようです。
ガチャリ……。
「あっ! トイレの水止まってない!」
ああ、朝のドタバタで油断しましたね。
しかし、丸一日水が流れっぱなし……怖いですね。
数日後、この方の元に不幸なお知らせがポストに届くでしょう。
それは、先月より高い水道料金の請求書です。
あれ、おかしいな?
そんな時は……水漏れ、故障には水道修理屋さんにお電話を!
放置しても、とまりません、直すまでは。
では、ここで一つ教訓を……
『コポコポと、やまない音は、要注意、気づかず放置、あとが怖い』
《 ケース9》
おや、洗濯物を朝取り込むのですか?
ああ、昨日夜干しっぱなしで家の中に入れるのを忘れてしまわれましたか。
今朝わ雲行きが怪しいですからね、ササッと取り込んでしまいましょう。
でも、お待ち下さい。気をつけたほうが良いですよ?
裏にして干したジーパンは表側に直して……。
「ぎゃあーーっ、何これ!?」
どうしたのでしょう?
たたみかけていたジーパンを投げ出してしまわれました。
投げ出されたジーパンを覗いてみましょう。
これはまた……おぞましい!
ジーパンの裾に得体の知れない物体が、びっしりとくっついているではありませんか!?
よく見ると、何やら小さな粒状のモノが固まっていますね。
恐らく何かの卵かと思われます。
ゾゾゾ~っ、寒気がしますね!
洗濯物の片付けは終わったようです。
おや、今度はお着替えですか?
では、終わるまで外に出ていましょう。
……………。
「痛っ! 何か刺さった……ひぃっ!」
悲鳴が聞こえましたが、なんでしょう?
ちょっと失礼して……おおっと、スカートに蜂がいます。
さあ、早く窓を開けて蜂を追い出しましょう!
しかし、攻撃してくる恐れがありますよ。油断は禁物です。
おお、何てことですか! 足が赤く腫れていますよ!
この方スカートの中に蜂が入っている事に気付かず、スカートを履いてしまわれたご様子。
しばらくその腫れは引かないでしょう。
注意、蜂を刺激してはいけません。
注意、蜂に刺されたら病院へ。
では、ここで一つ教訓を……
『気をつけて、来る〜ついて来る〜、夜の外干し、虫には住処?』
《 最後にわたくしから 》
「そろそろこの辺で、一息つきませんか?
ここまでお付き合いいただいた奇特なあなた様に、わたくしとっておきのコーヒーをお入れしましょう」
お客様用のカップはどこに……ああ、有りました。
「ホットとアイスどちらにしますか?」
アイスですね、氷の準備もしましょう。
「お砂糖、ミルクは入れますか?」
ブラックですか、大人ですね。
「了解しました、しばしお待ちを……」
コーヒーの瓶を取り出して……。
カポッ、ゴトッ……ざざざざーー。
「うわぁっ!!」
あっちゃあ~、これはまた派手にやってしまいました。
「ああ、お気になさらずに。なんでもありませんよ!」
わたくしとした事が、床にコーヒーをばら撒いてしまいました!
どうやら、コーヒーの瓶の蓋をしっかり閉めておかなかったようです。
わたくし、油断しました。
お客様をお待たせするわけにはいきません。
急いで拭かなくては……いえ、拭き取るより、いっそ掃除機で吸い取ってしまいましょう!
ゴーーーーッ。
ザラつくのでササッと拭いておきましょうね。
「お客様〜。コーヒーですが、たまには気分を変えてカフェオレに変更なさいませんか?」
瓶にかろうじてカフェオレ一杯分のコーヒーが残っていて運が良かったです。
注意、瓶を取り出す時は気をつけましょう。危険事前回避には蓋をしっかり閉めましょう!
では、ここで一つ教訓を……
『キュッとして、ギュウッと閉めると、開かないよ』
そして、翌日。
今日はわたくし休日です。
天気の良い休日にする事はお掃除ですね。
ゴーーーーッ。
「ん? 何やら部屋中芳しい香りが……はっ! これは……」
掃除機でコーヒーを吸い込んだその後は忘れずに処理しましょう!
では、ここで最後の教訓を……
『コーヒーは、消臭代わりに、なるのかな?』
お後がよろしいようで……。
注意、この物語はフィクションです。作者とは一切関係がありません。まったく、これっぽっちも、関係ないフィクションです!