魔王は電波を発している!
魔王 は 電波 を 発して いる !
「魔王ってさ、なんでそんな魔族に異様に好かれてんの?
なんかフェロモンとか出てんのか?」
勇者はふと気になったので聞いてみた。
魔王はいつだって魔族に愛されているのだ。異常なくらい、魔族に溺愛されている。
魔王を見る魔族の目がたまにおかしい時あるし。
魔王さまの為に!と言って魔族はいきなり何かをしたりする。
その行動の異常さといったらもう…
「なんだいきなり。
勇者は私にフェロモンがあると思っているのか?」
魔王は可愛らしいが色気は感じない。感じたらそいつはロリコンだ。気をつけろ。
「いんや。だから不思議なんだけど。
それとも魔王ってそういうもん?」
魔王という存在が魔族にとってそういうものなのだろうか。
「そうですねぇ。我々魔族にとって魔王さまはとても大切な方ですから。
ですが魔王さまはフェロモンなど出ませんよ」
魔族の宰相が勇者の言葉に答える。
まぁ自分でもフェロモンはないだろうとは思っていたので納得する。
「魔王さまが発しているのは電波です」
「ちょっとまて!」
フェロモンどころじゃなかった。つーか電波ってどういうことだ!
魔族は全員電波受信してんのか!それがあの異常行動か!?
「なんだ電波って!?おかしいだろ!何受信してんだ!?」
「魔王さま電波ですよ、勇者どの。魔族は常に受信しています」
誇らしげに宰相が答えるがムカついてきたからその顔を殴りたくなってきた。
だが詳しく聞いてからの方がいいと冷静になる。殴るならそれからでも遅くない。
「…魔王、電波出してんのか?」
「出てるらしいな」
魔王は自分が発信してるのによくわかっていないらしい。
「自分のことだろ…。なんで曖昧なんだよ」
「電波は扱いがとても難しいから勝手に出てる。
制御するにはもっとレベルが必要だ」
制御できないから垂れ流しな訳か。
というか魔王は幼いが高レベルなのにまだ必要だと?
「そんなすごい能力なのか?」
電波といわれてもピンとこない。コウモリが浮かぶな。
「魔王さま電波はすごいですよ」
魔王じゃなく宰相が説明を始める。
「まず魔族全員が受信します。
魔族の血が一滴でも流れているもの全員です」
一滴でも…?おい、どれだけいると思ってんだ!
そいつら全員受信してんのかよ!
「魔族全員が魔王さま電波の受信機であり中継機でもあります。
距離が離れていると他の魔族が中継機として遠くの魔族に電波を送ります。
ですので世界中にいる魔族全員が電波を受信できます」
これで安心ですね、とか言うな。安心できねーよ!
「電波は魔王さまへの服従や保護を第一に発信されます。
そして魔王さまの意向が送られてきます」
服従や保護。だから魔族は魔王を溺愛するのか。
「電波がなくても元々魔族は魔王さまを敬愛する種族なのですが、受信すると盲目的に守り従います。
魔王さまのために魔族全員一糸乱れぬまとまりを見せます」
…どうして魔王のところまで行くのにあんなに苦労したのかわかった。そりゃあ魔族全員に妨害されてりゃな…
魔王初めて会った時の嫌がってたな。それを感じ取って妨害してきたんだろう。妨害っていうよりもはや阻止だったが。
それでも全部なんとかした俺すげえ。
「たしかにあの団結力はすごかった。…魔王そんなに俺と会うの嫌だったか?」
「当たり前だ。勇者に会ったら殺されると思っていたからな。
この歳でまだ死にたくない。嫌に決まってるだろう」
勇者は魔王を倒す存在と世間じゃ言われてるからな。うん、逆の立場だったら俺も嫌だな。いきなりやって来たやつに殺されるかもしれないとか。
「まぁそれは誤解だったからいいけどな」
いまじゃこうして雑談までする仲になった。
魔王が懐いてくれたので魔王城もフリーパスだ。魔族も普通に挨拶してくれる。
「それに魔王さまを悲しませぬように魔族間での争いもほとんどおきません」
「電波マジすげえな!?」
高性能すぎだろ!俺はいやだけど。
…まぁ宰相を見る限り魔族にとってはそれが当たり前で、幸せなのかもしれない。
あの異常行動は納得できんが。
「電波がすごいのはよくわかった。
…だがな?魔王はまだ子どもだろ?子どもに何やってんだよ魔族は!」
幼女にお前ら何してんだ!変態か!いくらなんでも過剰すぎるだろ!
胸に手を当てて反省しろ!
「そう申されましても…魔王さまですから」
「歴代の魔王はこんなものだぞ?」
魔族が変なのか、魔王の電波がおかしいのかどっちだろうか…
魔王は生まれた時からこうだから疑問も持たないようだ。
電波に毒されている…いろんな意味で。
とりあえずこの後宰相は殴っといた。
魔王 10さい れべる52
ロリ 幼女 魔王電波発信中
そんなイメージで。
え?勇者?
男ってイメージしかないよ
作中唯一のツッコミ&常識人です