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永久の想い  作者: 兎羽
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それぞれの想い


『空也…』


溜め息のように漏れた声。

その声は暗い夜闇に浸透する――…。









「俺ね、妹もいるんだ」


「妹?」


まるで自慢するかのように話す空の言葉にコウは耳を傾けていた。

一つ一つ、たわいもない話をする。

コウにとってそれはとても新鮮なものだった。

けれど、そんな想いと共に罪悪感が自分を責め続ける。


“空と普通の友達になりたい”


それもまた、遠くて儚い夢…。






「お前も我慢強いなー」


二人の会話を聞いていた秀秋はついそんなことを呟いた。

さっきから聞いていたが、明らかに一方的に話す空の話を聞いているコウに同情。よくもまぁ、コイツの話を長々と聞けるな…、と逆に感心する。

秀秋は自分なら絶対耐えきれないと思った。


「我慢?」


「ヒデ!!俺に対して失礼だぞ!!!」


怒ったように叫ぶ空。

その姿は本当に空也の生き映し。


なんで俺たちは、今になっても過去にしがみついて離れられないんだろう…。








最近――…

同じ夢ばかり見ている。


「俺の話、つまんない?」


ヒデ兄の言葉で少し不安になる。

もしかして、無理矢理コウに話しに付き合わせてしまっただろうか。


「ううん、おもしろいよ」


でもコウは俺の不安を一気に消し去った。

にっこりと優しく微笑んで、違う話しも聞きたいな、とも言ってくれた。


「俺なら耐えらんねぇ…」


「ヒデ兄!!!」


俺は叫ぶ。

なんでヒデはいつも意地悪なことしか俺に言わないんだ!!

そう思いながらも、結局許してしまうのは、やっぱり……好き、なんだと思う。

なんだかんだと、兄弟なんだし、嫌いにはなれない。

意地悪だけど、時には頼りになる。あくまでも時には!!だ。

もちろん司も大好きだ。

妹のくせに俺に偉そうな態度とってムカつくこともあるけど、根は優しい。

二人ともかっこいいし可愛いしで、自慢できる兄妹だ。


けれど最近おもう。


俺たちは本当に兄弟なのか、と。


自分がなぜそんなことを思うのかも不思議だった――…。








遊びに行った日からコウはよく空と遊ぶようになっていた。

その光景を見ながら、いつもおもうのは…。


秀前がいない、と。


はたから見れば、俺が秀前の生まれ変わりなんだからいるように思えるんだけど。

いつも夢では、三人が楽しそうに話しているのを見ていたから…かな。


いない秀前をかわいそうだと思う自分がここにいるのだ。


「ヒデ兄ィ、トモとかイっちゃんとか誘ってボーリング行かない?」


「ボーリング?」


「そ。賭けしようぜ、賭け」


こんなにも自然な光景なのに…。

俺はただ三人が昔一緒に遊んでいたことを知っているだけなのに…。

俺の目には、その光景が不自然に思えて仕方がない。


「へー、勝つ自信あんの?」


「もち!!」


そう言って…いつも負かされているのはどこのどいつだ。


秀秋は携帯を開き、二人をメールで呼び出した。


「現地集合でいぃよな?」


「おっけーおっけー!!ほんじゃ、行こうぜ〜」


等身大の鏡を覗くと、俺の想い描いた世界がある。


無邪気に笑う空の横にいる。

あの日の面影を残したままの秀前の顔。


不自然でもなんでもない、ありのままの光景――。


ただ、秀前のかわりに俺がいるだけだ。


「ん?どうした、コウ」


いつも笑みを浮かべているコウの表情はどこか暗い感じがした。しかし、「何が?」と顔をあげて笑ったコウの表情には、すでにそんなもんは消え失せてしまっていた。


「なんでもないよ…」


いつもと変わらない笑みを浮かべて玄関へと走っていくコウの背中を見て、俺は気にしないことに決めた。


「ちょっと何してんの?早く〜!!」


すでに靴を履いて準備万端の状態の空に急かされて、俺はサイフと携帯をポケットに突っ込んだ。


「そーいえば、妹いるって言ったじゃん」


「ん、あぁ」


そういえばさっき、空がコウにそんなことを話していたっけ?


すでに空は玄関を飛び出していた。

姿のないことを確認するとコウは、再び口をひらく。


「それ、誰?」


「誰って…ツカサ」


「うっわ〜、言うと思ったよ!!んな、会った事もないヤツの名前言っても俺が分かるわけないじゃん。前世は誰ってきいてんの!!」


…何か、今、すげー馬鹿にされた気がした。

つか、コイツ…俺と空に対する扱いチガクね?


「空也のおとーと。の、司魁」


「司魁!?うわ〜…性格悪そ」


お前が言うな。


「てか司魁っていったら、俺らの司令塔だったヤツじゃん。お前の敵じゃん、敵」


「え……?」


それを聞いた途端…


ドクン、と大きく心臓がはねあがったかのように、頭に響いた。


頭に秀前の顔が浮かんで、消えたと思ったら。


俺の意識まで途切れた――…。


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