バーチャルの呟き
今日も朝早く起きて、忙しく畑に行く。
畑に水をやる。
「今日は天気がいいなぁ」
見上げた空は雲一つない。
春……。
そよ風の心地よい季節。
山の上の広い土地。
畑の次は、動物小屋。
牛、羊、ニワトリなど。
身体を洗い、ミルクを搾る。
羊の毛がモコモコ。
「ちょっと待って。 今刈るから」
ハサミでチョキチョキ。
チョキチョキ?
簡単たな……。
ミルク缶、モコモコの毛をしまう。
「さて、 街へ行くか。 今日は収穫した
やつを売りに行く日だ」
重い物を持っているはずだが、足取り
軽く山をおりる。
途中、知り合いに出会い、立ち話。
暫くして街へ。
「これ、 お願いします」
商人へ、収穫した野菜やら、ミルクやらを
売る。
「まいど!」
いせいの良いおじさんが買い取って
くれた。
「 さて、何を買おう……」
しばし悩み、動物の餌やおやつ、野菜の
種など購入。
割りに合う生活ではないが、半ば強制的に
この街、あの山へと来た私。
街の発展の為……。
活気ある街造りをしなくてはならない。
らしい……。
しかし、私ばかり色々やる。
頼まれる。
何か言われる……。
交流重視。
ニコニコしながら生活。
街には店が幾つかあり、独身いい男が
経営したりしている。
まあ、婿候補?
アタックしまくり、仲良くなる。
めでたく結婚になれば……。
でも、結婚したら私が喰わせるのか。
家も建て直す。
入り婿?
結婚の準備、資金、などなどどうするよ。
しかも、高価な贈り物をしなければ、
結婚できない……。
ため息が出る。
「まあ、 いい男だからなぁ……」
皆、それなりにいい男。
文句は言えまい。
街で色んなものを物色したりして、
山へ帰る。
山は遠いが、交通手段は馬だと言うから、
今は買えないし、我慢。
山には色んな物が落ちていたり、他の
人の野菜畑などもあるので、ウロウロ
しながら帰宅する。
「私もいつか、 あんな畑持ちたいなぁ」
呟く言葉、風に吹かれ。
「あら、こんにちは。 うちの畑に何か
ご用? もう、大き過ぎるから世話が
大変なの」
……嫌味な娘が私に言う。
若いのに、立派な家に住み、使用人まで
いるし。
何か不公平?
いやいや。私だって幸せさ。
山の幸を拾い、家路へ。
「幸せとは、何だろ……」
幸せの意味を探し、毎日頑張る。
結婚し、子供を持てばましになるかな。
畑を大きくすれば、幸せかな。
それぞれ考えは違う。
価値観もしかり。
そんな中でも、繰り返す私の生活。
先の事は分からない。
「あ、 早く帰って水やりしなきゃ!」
駆け足で山を登る。
これもまた、幸せなのかな。