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3/12 今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイド


私がランプの魔人に頼む3つの願いのうち一つ目は「今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明する片目隠れぱっつんメイドになってください」と決めている。


この願いは「猿の手」的な、願いを代償を伴って叶える系のアイテムに対して特に有効であり、かつ片目隠れぱっつんメイドを召喚する事ができるという面においても非常に有効である。


例えば巨万の富。


今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイドがいない場合:


手元にはランプがある。


最初はただの古びた金属の塊にしか見えなかった。

だが、指先でそっとなぞるたびに、遠い砂漠の風と香辛料の芳香がふっと立ちのぼるような気がする。この小さなランプが、数え切れない物語と伝説を内に秘めていることを直感が静かに告げている。


心に従うがままにランプの側面を手のひらで擦る。


突如、注ぎ口から青白い煙が勢いよく噴き出す。煙は生き物のように渦を巻きながら天井へと昇り、やがて巨大な人影を形作り始めた。空気が重くなり、古い香油と灼けた砂の匂いが部屋を満たす。


現状を認識しようとする頭と状況に混乱する心臓が相反しあって冷や汗が溢れる。


煙が凝縮し、威厳ある魔人の姿が現れる。筋骨隆々とした上半身、ターバンを巻いた頭部、燃える炭火のような瞳。腰から下はまだ煙のまま、ランプへと繋がっている。黄金の腕輪が鈍く光り、その圧倒的な存在感に足がすくむ。


魔人は雷鳴のような声で恭しく頭を垂れ言った。


「願いを言え。」


「巨万の富を下さい!!!」


「承った。」


金にそこまでの執着がある訳ではなかったが、将来の不安のほとんどが金について発生するものであることは誰もが知る所である。


唾を飛ばして願う私の言葉に目を瞑って返した魔人は指を鳴らす。


直後、部屋は大量の札束に埋め尽くされ、私は圧死した。



なんてことになりかねない。


そうでなくても、空から降ってきた2000tの黄金がマンションごと私を踏み潰すとか、銀行の金庫にテレポートされるとか色々考えられる。


だが、いくら慎重に願いを考えようと魔人は思考を凝らして何かしらの代償を支払わせようとしてくるだろう。


そこで必要なのが「今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイド」である。



今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイドがいた場合:


「では、二つ目の願いを言って下さい。」


今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイドになった魔人が二つ目の願いを問う。


「んじゃ巨ま…!!」


早速本来の願いを言おうとしていた私の顔の前に手をやり、魔人は目を伏せて忠告した。


「いけませんご主人様、端的かつ不明瞭な願いでは、魔人に曲解された挙句悲惨な末路を辿る事になりかねません。ここは一つ慎重に、多くの前提条件をつけて願いを考えるのが宜しいかと。」


「えいや、魔人ってあなたじゃ…」


私の言葉を遮り、魔人が人差し指を立てて続ける。


「とかく、まずは自身の安全、かつ確実に富が手に入る方法を願うべきです。ここは、日の0時に現在の価値で100万円(非課税)をその時最も都合のいい銀行口座に毎日振り込むとしましょう。」


「あっはい。」


「では、どうぞ。私に続けて。2026年3月11日現在の日本円の価値にして100万円を」


魔人が手元にカンペを取り出し、言葉を文字に起こす。


「あー、2026年3月11日現在の日本円の価値にして100万円を」


「日本時間の0時0分に」


「日本時間の0時0分に。」


「その時最も都合のいいやまとりさとよの銀行口座に毎日振り込む。」


「その時最も都合のいいやまとりさとよの銀行口座に、毎日振り込む。」


「「また、振り込まれた資産は非課税でかつ、日本円が使用不可になった場合別の通貨にて振り込まれる。」」


魔人はニコリと微笑み、カンペを懐にしまった。


「よくできました。これにて願いは受理されます。1時間後の3月12日0:00時点で銀行口座に100万円が追加されるでしょう。」



となる訳である。


こうして私は巨万の富を手にし、多くの事業を展開。


YouTubeショートを瞼の裏に投影する技術の開発を進める。


今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイドがいるのだ、失敗することはない。


どんなに危うい橋であろうと、被る不利益が説明されている私には怖く無い。


今後上がるであろう株式を未来余地かのように取得し、ガチャすら外す事がない。


完璧だ。


完璧な願いだ。


ああ。


ただ一つの問題点は、今ここに願いを叶える魔法のランプも今後私が被るであろう不利益について必ず余裕を持って対処可能な期間までに説明してくれる片目隠れぱっつんメイドもいないと言う事だろうか。

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