3/8 呼び出し音
多くの場合、私は携帯にかかってきた電話を一度無視する傾向にある。
それは親しい友人とのオンライン会話はそのほとんどがDiscord或いはLINE電話にて行われるのもそうだし、そもそも私は顔が見えない状態の通話がかなり苦手というのもその理由に挙げられる。
幼少期、家の固定電話にかかってきていたありとあらゆる電話を取り、そのほとんど全ての会話を「今お母さんとお父さんいないんです」で早々に終わらせてきた事からも、電話嫌いを裏付ける証明となっている。
こうして長く培われてきた悪癖は、時として致命的な問題を引き起こしてきた。
高校の時の顧問からの電話、マンションの契約云々、生命保険や、保健所からの電話。
詐欺電話だったことも多くある。しかし、私にかかってきた電話のうち6割近くは私にとって重要の事を告げるためかかってきていたのだ。
そうであってもやはり私の中で大きく膨らんだ電話への忌避感は、尚も緑色の通話ボタンを押下する事を躊躇わせる。
昼頃、寝転がりながらYoutubeを眺めていた私の元にかけられた一本の電話。
耳元で鳴り響くベルの音にそれでも私は何も聞こえてないふりをして反対側を向いた。
ややあって鳴り止む呼び出し音。
こう言った電話が来た時の行動はいつも同じだ。
電話番号をコピーし、Googleに貼り付ける。
詐欺電話の通知には須く同じ被害を被った人間がいる。
インターネットはそうした人々をつなげる事ができる。
そうして検索バーに打ち込んだ電話番号は、やはりというか同様の番号からかかってきた人がいるようで、サジェストにすぐ出てきた。
納得感と共に検索ボタンをクリックする。
「フィナンシャルサービス」
銀行の残高は、カードの請求額を下回っていた。




