3/5 錬金術
古の人々は石を金にしようと錬金術を編み出した。
錬金術師たちは賢者の石を求めて、薄暗い工房で昼夜を問わず実験に没頭した。
彼らは鉛や銅、水銀や硫黄を相手にるつぼと炎を駆使して無数の試行錯誤を重ね、結果的に金を生み出すことはできなかったものの、蓄積された膨大な実験データと技術は決して無駄にはならなかった。
そして今、それら数多の執念と技術の末に、それが生み出されたのだ。
一昨日UberEatsをやった事がないと友人に漏らしたところ、凄まじい勢いで紹介コードを手渡され、何やら何もわからぬままにインストールと相なったわけだが、昨今の花粉事情と季節を知らぬ三寒四温にうんざりした結果それを初めて起動したのが今さっきである。
並いるクーポンの数々。75%OFF、1800円以上で1500円分お得、配送料無料云々。
…。
…??
75%OFF??
1500円OFF?????
まさかそんな事があっていいはずがない。
この世は等価交換で成り立っている。
店に足を運ぶ分の仕事量を代わりに受け言わせるために配達料が存在しているのだ。
その場でしか使えないからクーポンが存在しているのだ。
まさかそんなそんな、スマホポチポチだけで勝手にダブルチーズバーガーLLとシャカチキとナゲット8ピースが安くなるわけ。
なった。
¥1845の表示からいろんなものが引かれて最終的に400円ちょいになった。
信じられない思いで引き落とされた金額を見ても、同額が減っていただけだった。
十数分後に届いたマクドナルドの紙袋からは、占めて2000円弱の商品群が丸ごと出てきた。
何だこれは。
ボタンポチからの配達員が私の玄関の戸を叩くまでにあったはずの数々の仕事はどこに消えた?
なかったことにされた1500円近くの金はちゃんと正規の手段で処理されたのか?
もしかしてこれが錬金術なのだろうか。
Uber Eatsが錬成した賢者の石からはもしかしたら無限の金が溢れているのかもしれない。
そうでなくてこれほどの術が行使できるのか、一度UbarEats社長の錬成陣を拝みたいところである。




