2/23 結局のところ
私は寒いのが嫌いだ。
身も心も冷え切らせるあの風が、熱を渇望して震え出す体が、私の言うことを無視し始める指先が、何もかもが嫌いだ。
私は暖かいのが好きだ。
緩やかな風、棘は取っ払われ、世界は全てを祝福するように包み込む。
気温16℃。
コートを首元まで閉め切らずとも、駅までの道は暖気に満ちていた。
起きかけの太陽も今日はいつもより寝覚めがはっきりとしていて、もう何週間も植え込みに突っ込まれている焼酎瓶がいつもより輝いて見えた。
気温18℃。
ほんの少し部室にいただけで外はあっという間に温まっていた。
風は柔らかで、ジャージだけになってもいつも来るはずの震えは、肌に突き刺さる凍えは身を潜めているようだ。
気温20℃
太陽はその位置を天頂に据えんとしている。
日光は燦々と降り注ぎ、遮るものが無いこの場所には確かな熱が充ちている。
ジャージを脱ぎ捨てた。
気温22℃
それは地を焼き尽くそうとしている。
地面は熱を吸いつくし、その吸収上限に達してしまったようだ。
雲行き怪しくこの場に篭り続けた熱は発散せず、停滞している。
あたりには熱気が満ち、生温い風が頬を舐め回す。
服の中に籠った熱を抱え、私は長らく失っていたその記憶を取り戻した。
身も心も削り取っていくようなこの風が、熱に乾き、体がドリンクを渇望して震え出すのが、私の言うことを無視し始める体温調節機能が。
ああ。
そうか。
私は。
私は暑いのも嫌いだったんだ。




