2/21 マスターの陰謀
2021 2 21
覚醒。
胎盤の中にいるような揺蕩う様な感覚を置き去りに、微睡の中私の意識はノンレムの海の底から浮上した。
時刻は午後十二時四十二分。
無意識のうちにSEIKO の目覚まし時計を確認した私の心に、焦燥混じりの喪失感が吹き抜けた。
別段、今日何かしらの予定があるわけではない。
が、しかしこの自分だけの休みというものを惰眠によって浪費したことに対しての自分への怒りが私にこのよく分からない口調の文章を書かせているのだ。
睡眠状態からの覚醒というのは、一般的な学説では一日の疲れから身体が回復したと脳が体内時計によって認識するために脳が身体に起きろとの指令を下すため覚醒するらしいが、私はそうは思わない。
思うに、人間が寝てる間、そこには天使か悪魔か、何やら超常的な存在がいるのだ。
この超常的な存在は、布団やベッド、勉強机等、あらゆる所に隠れ潜み、午後二時から夜中の四時頃に行動する。
そして色々一日あって疲れた人間や、クソ怠い原文の授業を聞いている学生の脳に巣食い、意識を奪うのだ。
奴らの行動原理は至極単純、人間が覚醒中に集めたあらゆる知識、経験を啜り、やがて人類を凌駕し、この世界を支配することである。
我々人類が各各の時間に暇している間、奴等は徐々に徐々に力をつけ、人類征服の計画を着々と進めているのだ。
「我々の意識を奪い、睡眠状態に見せかけて我々を支配する魔物。」
これが俗にいう「睡魔」その正体である。
中でも私には、睡魔の帝王、「睡魔仙人」が憑いている。
その事に感づいたのは、ごく最近のことである。
普段の私は、全くもって睡眠を必要としない。
証拠として、私は月曜日どころか毎日夜更かしをすることができる。
そうして睡魔に記憶を奪われることを防いでいるのだ。
しかし最近、ふとした瞬間に私の意識は飛び、気付けば遅刻寸前の時間に目が覚めるという事態が発生している。
これは普通に考えて、「睡魔仙人」がまったく寝る必要性を感じていない私に痺れを切らせて強制的に眠らせているというのが妥当であろう。
しかも設定として「睡魔仙人」は睡魔の究極系。
人間の能力を吸い尽くし、神にも勝る存在となったそれにとって、一介の学生とニートの狭間にいるよく分からん存在な私の能力など、なんら価値はないはずなのだ。
つまり奴は戯れで私を強制昏倒させているということになる。
おのれ睡魔仙人。
…そんな事を布団の中でグダグダ考えていたら1時間が経過していた。
おのれ睡魔仙人
私は貴様を許さない。
私はここに叫び示す!
誰も2/21が2026年のものとは言っていない!
それがたとえ5年前に書いたものであろうと!
それは2/21の日記であるのだと!




