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2/18 “それ”まで9歩
絶望が私の内を占めていた。
時刻は22時半。
部活終わりに飲みに行き、帰って風呂に入っている最中である。
ジップロックに包まれたスマートフォンを弄りながら、Youtubeショートを見ていた時である。
この間寒さがぶり返してきてからかれこれ4日が経過したが、未だ寒さは衰える事を知らず、人々の身を、心を芯から凍えさせている。
三寒四温どころか三死四寒くらいになっているのが今年の冬であり、そのせいで私の周りのカップルが軒並み別れまくっているのだと密かに考察している。
とかく、その寒さは年中フリーたる私の身にも降り注ぎ、精神的かはともかく肉体的なダメージを常に与え続けていた。
中でも部屋の冷え様は群を抜いている。
暖房をつけなくては冷気が窓や換気扇の隙間から入り込み、肌を覆い尽くさんと忍び寄ってくる。
私が帰ってすぐ風呂に入ったのは、体を洗う事の他に身を温める意味もあった。
が、風呂に入って数十分、ふと気づいたことがある。
暖房を入れた覚えがない。
湯が入るや否や服を脱ぎ、タオルを抱え湯船に突撃した記憶しかない。
そっと風呂のドアを開ける。
見えるリビングのヒーターは、黒々とした液晶パネルを映していた。
絶望が私の内を占めた。




