2/5 三分割
その日がいつか来ることは知っていた。
それを後回しにしたことも、先の私にその代償を支払わせることも。
苦渋の決断を三分割にして感傷を和らげたことも。
前の私も今の私もいつかの私も、結局は私でしかなくて、受ける苦痛は同じなのに、きっとその日にはもう治ってるからって。
痛みは消えることなんてないんだって、カラダは癒えてもココロはずっとジクジク苦しいママなんだって。
分かってたのに。
分かってた。
分かってたのになぁ…。
あの日突きつけた三下り半、家を飛び出して、3丁目の角を曲がった先にあるスナック。
ママにネグローニ出してもらって、散々っパラ吐き出して、翌朝見たライン。
一言「ごめん」って。
それが聞きたいわけじゃないのに。
それが全部じゃないでしょう?
アタシ達、もうオシマイなのね。
これだけ持って、始発に乗る午前5時。
エルメスのバッグ、詰めたティッシュも随分前に空になって。
行き先なんてない。
このままどこにもつかずに消えちゃいたい。
このまま、このまま、地獄にでもなんでも行ってしまいたい。
バッグを胸に抱えて、揺れる電車で薄れるセカイ。
いつのまにか、バッグは無くなってたわ。
残ったのはポケットにしまってたスマホだけ。
ああもう、何もかもダメなのね。
オシマイなんだわ。
立ち尽くす、朝の板橋。
太陽はやっぱり陽気で、皆何か目的があって。
でもアタシには何もない。
何もないのよ。
その時、いきなりデンワが震えた。
何かに縋りたかった。
何かを教えてほしかった。
耳に当てたアイフォン15は、静かにこう言ったわ。
「イオンフィナンシャルサービスです。カードの引き落としについて…」
…
前々から連絡はあったんです。
ただ私にGmailを無視しがちな癖さえなければ。
2/2。大体3日前。
そう癒えば疑問ではあったんです。
なんか引き落としされてないなって。
パソコン代。
1月ちょい前位に買って、代金を3ヶ月払いにした奴。
月々5万ちょっと。
来てました。
3日前に、引き落とし。
ただ問題は、私の銀行口座には500円くらいしかなかったのと、来ていた電話とメールを全部無視した事。
止まる。
止まるてカード。
でもね、アタシ挫けない。
だっていつだって空はこんなにも晴れてるんだもん。




