2/2 エネルギー問題
それは指先で炸裂した。
乾燥した冬の午後のことであった。
スチールの台座の上に、 膳を置く。
昼食後だった。
580円の唐揚げ定食をたらふく食い、大量分泌されるインスリンに脳が揺れているタイミングであった。
膳を置いた瞬間、爪が弾け飛んだのかと思った。
文字通りの爪先から根元まで走る超電流。
自然現象からなるものとは到底思えない、最早それは指を先から破壊する衝撃であった。
つまりは静電気であったわけだが、年々肌から潤いが失われていくにつれ、静電気からの風当たりが強くなっているのを感じる。
私は昔から静電気を溜め込みやすいタイプで、他人に触れるたびその電撃を無差別に振り撒いていたハリネズミであったわけだが、振り撒く他人が近くにいない昨今、その電撃は問答無用に私を襲っていた。
食器を片付け、弾けた人差し指を見る。
電気の通った後が赤熱していてもおかしくないと思ったが、当然そんな事はなく、そこにあるのは朝からの部活で擦れたピンクの指先があるだけだった。
とはいえ、ここで「当然」と一蹴するのは早計かもしれない。
今回私に走った電流は、並のものではなかった。
もしこれほどの電撃を幼少期から振り撒いていたのだとすれば、当時の私の周りにいた友人のうち1人ぐらいはショックで入院していてもおかしくない。
間違いなく電撃の火力が上がっている。
今日までの上昇率を考えるのならば、50歳くらいには一撃で一般家庭1日分くらいの電撃を放出することができるようになるのではないだろうか。
そうなれば私は忽ち政府の研究施設なんかに連れ去られ、「人間発電装置」なるもののコアとして運用されかねない。
エネルギー問題はいつまでもなくならない緊急事案である。
私のような存在がいると知られれば、全ての倫理を通り越して政府が血迷わないという保証はない。
とすると今から対抗策を考えていくべきである。
国家権力に対し、ある程度の攻撃力を有していなければ、私の身は易々と発電装置の内部に押し込められてしまう。
まずは電撃を自在に操れるようになるところからか。
頭を擦り、静電気を貯める。
適当に近くにいた同期に放つ。
反動で指が弾け飛んだ。




