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11/2 履歴書を出し忘れた者の歩み
「真に勇のある選択とは、決まりきった結果に迎合する事でもあるのですよ。」
私の背に老人の言葉がぶつかる。
既に足は岩のように重く、擦れる地面が描く足跡の延線は歩を稼ぐ程に隙間を埋めていく。
肩肘に骨が増えたような凝りを覚えつつ、私はその老人を睨みつけた。
「悪鬼が。貴様の諫言など等に飲み下している。再三の提言が私の決意を揺らがせるものか。」
土の混ざった様な声と共に絞られた抵抗は、老人の薄ら笑いを咎める事も出来なかった。
「それは決意では無い。それこそ現実への迎合だ。真実への迎合は、時に現実への抵抗になり得る。貴方はそれを成す覚悟が、勇気が足りないのです。」
「黙れ!私は止まるわけにいかぬ。たとえ喉が潰れようと、適性検査が散々な結果であろうと、決められたからには受けぬわけにいかぬ!大河の激流に戸は建てられん!!」
激昂にとどまらず、しかし足は既に土に半分埋もれている。
「弱き人よ。自らの弱りも理解できぬ愚か人よ。貴方は自らの怠惰に、自らの萎弱に締め殺されるのです。骨も肉もつかぬ様な細腕に、じわじわと引き潰されるが良い!」
突き刺さる老人の声に、それでも私は足を止めることは無かった。




