1/15 チル
チルだ。
部屋の電気を消し、夜空に瞬く星をベッドの中から見上げる。
最高にチルアウトである。
かなりの長きにわたって夜空に浮かぶ星々が点滅するのは切れかけの電球と同じ原理だと思っていたが、そんな愚かエピなどどうでも良い。
実際見上げる夜空は街の明かりのせいでよっぽどの明度ある星が2、3個見えるだけなのと同じくらいどうでも良い事だ。
部屋が暗すぎて移動の拍子に落としたマウスがPCを起動し、その明かりが窓に私の顔を映し出した事くらいどうでも良いのだ。
ていや、どうでも良くない。
のそのそと立ち上がり、PCをスリープモードにした後、モニターの電源を切る。
暗闇の中でふらつく足を抑え、どうにかベッドに舞い戻る。
チルだ。
最高にチルタイムだ。
ベッドに横たわり、夜空を見上げる。
喉の渇きを覚え、側にあった経口補水液を煽る。
うまい。
通知音。
Gmailのバナーと同時にスマートフォンの液晶が点灯する。
それなりの光度を保つそれは、先ほどのモニターと同様の結果を窓に映し出した。
反射する室内。
逆光になっていても、ベッドに横たわる私の姿が見える。
顔面の殆どが空気に触れていない。
デコには冷えピタ、目は眼鏡、口はマスクに覆われ、時たま咳で影が揺れる。
風呂の温度とあまり変わらない体温と、20時間ほど続く頭痛が睡眠の気を軒並み剥ぎ取る。
常に涙が滲む視界が、夜空の星を実際より少し多く映していた。
チルでありたい。
周辺状況は完璧にチルアウトだ。
あとは私自身がそうなるだけ。
私にチルタイムはいつ来るのだろうか。




