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名もなき剣に、雪が降る  作者: 妙原奇天
巻頭文

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【巻頭文】

◤登場人物紹介◢


■沖田 おきた・しずか

名を持たず雪の朝に現れた、影のように静かな少年剣士。

・年齢不詳、裸足で雪道を歩いてきたが足跡が残らない

・剣の型を知らないはずなのに、動きは“完成形の残響”

・本人は気づいていないが、“殺気”ではなく“無”をまとう

・感情が欠けているようで、ときどき人より優しい

──彼がふと呟く。

「刃が……骨に当たる音を、聞いた気がします。でも……誰のものか、わかりません」

静の正体は“物語の核心”。



■榊 宗兵衛さかき・そうべえ

老剣士。静を初めて“人間として”受けとめる男。

・道場の師範

・誰よりも剣を知り、誰よりも剣を嫌う

・静の一挙手一投足に過敏に反応し、“ただ者ではない”と気づく最初の大人

・「生きたい子」に弱く、名を与えてしまったことをすでに少し後悔している


彼は、静を救うのか。

それとも、静の過去を知る最初の犠牲者となるのか。

すべてはまだ描かれていない。


■霧島 葉月きりしま・はづき

村で静を最初に見つけた少女。物語の視点を揺らす存在。

・静を“怖い”より先に“ひとりだ”と感じた

・常に一歩離れて静を見つめる観察者

・静の中に「人の温度がない」ことに、最初に気づく

・しかし怖れながらも、唯一“話しかける勇気”を持つ

──彼女が抱く小さな違和感が、のちに

「世界のズレ」に気づく最初の伏線になる。


■門下生たち

静を“異物”として見てしまう、普通の少年たち。

・暴力的ではないが、理解できないものを遠ざける

・読者がもっとも感情移入しやすい“平均的な目線”

・静の強さに嫉妬し、恐れ、しかし憧れてしまう

彼らは静を排除するのか。

それとも、静によって変わるのか。

人間の揺らぎこそ、物語を深くする。


■この世界

“名を持つ者”と“名を奪われた者”の差が残酷に響く世界。

・戦争と徴兵が日常

・無名の者は、歴史に残らない

・剣は生きるための道具ではなく、“記録を残すための道具”

・そして、名を奪う者たちがいる


静の存在は、この世界の歪みそのものを照らし出す。

彼は本当に“名をなくしただけ”なのか──それとも。


・・・・・・・・・・・

はじめまして。

本作は、《名を持たぬ少年が、世界に名前を刻むまでの物語》です。


静かで、淡くて、残酷で――それでも優しい、おとぎ話のような戦記を目指しました。

ヒーローではない少年が、ひとつずつ「生きる理由」を見つけていく物語です。


第一話はゆっくりと始まりますが、

物語は巻を追うごとに、“あの雪の日”の意味が変わっていきます。


もし少しでも続きを感じていただけたら、

あなたのブックマークが、この作品にとって大きな力になります。


静の歩みを、どうか見届けてください。

 ――名もなき剣に、雪が降る

  ――最初に、彼を見たのは、雪の降る朝だった。

  そこここに雪煙の立ち上る里山の境を歩いていた。

  田畑はもう何も植えられておらず、薄く白く凍っていた。川も、細い命のように音を立てながら、ただ黙って流れていた。

  その川沿いに、一人の男がいた。

  白い着物に、裸足。首元から覗くのは、血のように濃い墨染めの紐だった。

  肩に担いだ剣が、誰かのものか、自分のものか、遠くからではわからなかった。

  動いていなかった。

  ただ、立っていた。

  雪の中に――木立の向こう、風の影のなかに。

  こちらに気づいたのかも、わからなかった。

  声も、音も、残されてはいなかった。

  けれど、どうしてか忘れられなかった。

  あの背中を思い出すたびに、

  わたしは思うのだ。

 「きっと、あの人は――」

  名乗ることもなく、何処にも帰らず、

  ただ誰かのために剣を振るい、

  何処かへ還っていった。

  その名もなき剣士の話を、今からしようと思う。


目次

巻頭文


第一章:道場の少年

 第一話 草の匂いが消える日

 第二話 木漏れ日の稽古

 第三話 沈黙の輪郭

 第四章 外から来た声

 第五話 灰と硝子と、春を越える風

 第六話 言葉になる前の噂

 第七話 風の名を知らぬまま

 第八話 別れの稽古


第二章:鬼神の出陣

 第一話 軍道、白き影を連れ

 第二話 兵営の影、歩く白

 第三話 白の影、血の花

 第四話 沈黙の剣、夜の声

 第五話 剣に名はなく、ただ斬るばかり

 第六話 斥候の夜、剣の沈黙

 第七話 白い異端

 第八話 鬼神の影、野を駆ける

 第九話 名を持たぬ剣、語られる影

 第十話 影の名を知るとき

 第十一話 沖田けは、名を呼ばず

 第十二話 問いを抱いて歩む者


第三章:戦友との邂逅

 第一話 その背に立つ者

 第二話 まだ名もなき信頼

 第三話 深紅に濡れた問答

 第四話 その剣は、奪わずに届いた

 第五話 はじまりの横並び

 第六話 静けさの中で呼吸するもの

 第七話 刃の沈黙に降るもの

 第八話 その背に、人の影はあるか

 第九話 声の届かぬ背中に

 第十話 名を呼ぶことで、まだ

 第十一話 それでも、刃を持って

 第十二話 斬らずに、立ち尽くすために

 第十三話 それは命を選ぶということ

 第十四話 沈黙の火のなかで

 第十五話 この刃のまま、どこへ


第四章:命を奪わぬ剣

 第一話 鬼神、空を裂く

 第二話 四十の影、白刃の中に

 第三話 その剣に、名は要らぬ

 第四話 その眼が、すべてを赦していた

 第五話 それでも、剣はまだ温かかった

 第六話 そして剣は、風に還る

 第七話 夜の静寂、遠い光


第五章:最後の戦

 第一話 名を呼ばれる剣

 第二話 雨音が名前を呼ぶ

 第三話 水面の揺れは、先に沈む

 第四話 名もなきものたちの灯

 第五話 それでも名を呼ぶ者たちへ

 第六話 その谷には、言葉の届かぬ影がいた

 第七話 語られなかったものを背負って

 第八話 誰が、火の中を駆け抜けるか

 第九話 それは、“人間”の姿をしていたか

 第十話 この手が覚えているのは、誰の鼓動だったか

 第十一話 僕が人でなくなったなら、君は何をしてくれるか

 第十二話 裂け目が呼ぶ声を、誰が拾うか

 第十三話 その名を呼ぶために、夜を越える

 第十四話 声を重ねる日々に、雪は降らない

 第十五話 沈黙の予感、夜を包む刃

 第十六話 崖っぷちの影、それでも剣は

 第十七話 信じる者を、斬る覚悟

 第十八話 囁かれた標的

 第十九話 囁くは、死を数える風

 第二十話 戻らぬ者の背に、雪が降る

 第二十一話 鬼神の剖裂

 第二十二話 剣の向こう、聲の彼方

 第二十三話 魂の檻を越えて

 第二十四話 雪、帰るべき名を持たず


第六章:記録にない死

 第一話 終焉の名を呼ぶ者 

 第二話 名簿に残らぬ者

 第三話 血痕と鞘

 第五話 斜陽の影

 第六話 名もなき剣、雪に還る


『名もなき剣に、雪が降る』

あとがきにかえて――

次のページから本文がはじまります。

沖田静の人生を、どうか温かく見守ってください。

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