二 オリンポス
そんなこんなで、僕はゼウス様のもとへ行くことになった。
ゼウス様が住んでいる「オリンポス」までは、数時間ほど飛んだところにある。
クリスマスの前に飛ぶことになるとは思ってもいなかった。
もう、サンタさんしっかりしてくださいよ。
そんなことを思いつつ、僕はオリンポスに着いた。
初めて行く場所だったけど、なんとか着いたのでひとまず安心する。
オリンポスには、地球にある白を基調とした宮殿のようなものがあった。
多分そこにゼウス様含め、オリンポス12神が住んでいる。
僕がそこに着くや否や、12神の1柱──ヘルメス様が向かい入れてくれた。
「あら、トナカイさんこんにちわ。こんなところに来ちゃってどうしたの?迷っちゃったのかな?」
そして僕の頭をわしゃわしゃする。
そんな、ペットじゃないんだから。
一応でも神の使いなんだけどな。
「あ、あの──」
「迷っちゃったのか〜。じゃあサンタさんのところまで送ってあげようか?」
僕がまだ何も言ってないのに、勝手に話が進む。
そしてサンタさんのところへ帰らされそうになっている。
「いや、そういうわけではなくてですね、──」
「うん?きっとサンタさんが悲しんでるよ?早く帰らないといけないんじゃないの?」
「あ、あの今日は、ゼウス様に用事があって……」
「んー?でも今はゼウスいないよ?」
え、なんだと?
それは困るな。
「そうなんですか?」
「うん。そうだよ?」
「じゃあ、いつならいますか?出来れば今日中に会いたいんですけど……」
「ゼウスならいるよ」
その声の主は、同じく12神の1柱──アポロン様だ。
「まったく。私がサンタの使いが来るという予言を伝えて喜んだと思ったら、こんなことをしてたんだね?」
「んー?こんなことってどんなこと?」
「トナカイに嘘をついたことだよ」
あれ嘘だったのか!
僕は驚いてヘルメス様の方を見る。
「アハハッ!ごめんねートナカイちゃん!」
また僕の頭をわしゃわしゃしてくる。
いやだからペットじゃないんだよ。
「もう、ヘルメスは先に宮殿に戻ってなよ」
「う〜ん、そうするね〜。トナカイちゃんなんも持ってきてないし。あ〜あ、せっかくなんか盗れると思ったのにな」
そんなことしようとしてたのか。
「また盗ろうとして……」
アポロン様が嘆く。
ヘルメス様は宮殿の中に入っていった。
「ごめんね〜、ヘルメスってやんちゃなやつだから許してやって?」
「あ、いえそんなに気にしてませんから大丈夫ですよ。」
正直結構面倒なやつだなとは思ったけどね。
言わないのがお約束。
あくまでも、僕は神の使いでヘルメス様は神なのだ。
「ありがとね。あ、それでゼウスのことだけど今案内するよ。着いてきて」
「ありがとうございます」
アポロン様は信用できそうだ。
宮殿の中は、外見と同じく白を基調とした建物だった。
でも外から見た時より建物が広い気がする。
まあ大体の建物がそうだから、特に驚くことでもないけどね。
アポロン様に連れられて宮殿の中を進む。
「この部屋にゼウスがいるよ」
「わかりました」
アポロン様がその部屋のドアをノックして、開ける。
「父さん、サンタの使いが来たよ!」
「お、やっと来たか。サンタの調子が悪いみたいだって聞いたぞ?その理由を聞きに来たのか?」
ゼウス様がソファに横になりながらそう話す。
「知ってるんですか?」
僕は思わず食い気味に言う。
「もちろんだ。とりあえず中に入るといい」