温泉の村、ルミナ
ミトラを出発して数日、そろそろ保存食に飽きてきたころ。
「ユウマー。干し肉飽きてきたよ」
「って言ってもなあ…」
後ろでリナが肉に文句を言ってきた。
そろそろどこかに行けるといいのだけど…
数時間後、いくつかの建物が見えてきた。
ステラより少し小さいが周りから湯気らしきものが立っている。
近づいていくと1人の人を見つけた。
「こんにちは、ここって泊まれるところはありますか?」
「旅人ですか?貧相なところですがうちでよければ泊まれますよ」
「ここってなんてところなんです?」
「ルミナって言う小さな村です。温泉があるちょっとした秘境的なところですね」
確かにぽつぽつと浴衣の人がいる。
バイクを宿の方に止め、手続きを済ませる。
部屋に荷物を置きカウンターのところにいた人にご飯が食べれるところを聞く
「すみません、ご飯が食べれるところってありますか?」
「それならここの反対にあります。ここのご飯は美味しいですよ」
外に出てお店を見てみる。
確かに美味しそうな匂いが漂ってくる。
「ユウマ!早く行こう!」
リナに引っ張られ店に入る。
そこにはたくさんメニューがあるようで店内にいる人は多種多様なものを食べている
席に案内されると、隣にいた人が話しかけてきた。
「見ない顔だな?新入りか?」
「いえ、旅の途中なんです。」
「そうか!ここの飯はうまいし温泉もあるからゆっくりしてけよ!」
「ええ、ありがとうございます。もし良かったら何ですけど、近くに温泉が入れるところってあります?」
「聞かなくてもいいぐらいたくさんあるが、俺のおすすめはここを出て左にあるところのだな!あそこは入った後のビン?とやらの飲み物が美味い!」
「それじゃあそこに行かせてもらいます!助かりました!」
お腹もいっぱいになりお店を出ると、確かに説明されたところに温泉があった。
「これが温泉かあ〜。ちゃんとしたところのは初めて見た!」
リナはとってもウッキウキのご様子。
店内に入り、料金を払う。
別れて風呂に入ると、どうやら露天風呂のようだ。
そこそこ人気なようで、人がいる。
しばらくちゃんとしたお風呂には入れていなかったのだ。暖かさがとても心に沁みる。
「ねぇ〜!ここの景色綺麗だよユウマー!」
リナの声が反対側から聞こえてきた。
お願いだから辞めてくれ…何か言われそうだよ。
「よう、連れが元気だな。」
「ええ、恥ずかしいですけど」
「まあまあ、元気なのはいいことだ!」
ほら!言ったじゃないか!もう笑えてるかも怪しいよ…
風呂をでると、確かにカウンターで飲み物が売っていた。
「すみません、それ二つください」
「はいよ、銀貨1つね」
「ありがとうございます」
買い終わったころ、リナも上がってきたようだ。
「あー、気持ちよかったぁ〜!」
リナは両手を広げて伸びをしている。
「はい、さっきの人が言ってたやつ」
リナはそう言ってにこにことビンを差し出す。
俺は一口飲んでみた。
懐かしい甘さと、さっぱりとした酸味が口いっぱいに広がる。
「うまっ!」
「だよね?すっごく美味しい!なにこれ、初めて飲んだ!」
リナは目を輝かせながらゴクゴクと飲み干していく。
「なんだろうな。ジュースみたいだけどそこまで甘すぎるわけじゃないし…」
「なんだろーね?」
ビンには見慣れないマークがついていた。
よく見ると、村の名前である「ルミナ」と書いてある。
おそらく、この村で作られている特産品なのだろう。
「ふぅ〜、生き返った〜!やっぱ、たまにはこういうのもいいよね」
リナは満足そうに空になったビンを眺めている。
俺もビンを飲み干し、ふたりで夜風に当たりながら宿へ戻る。
満点の星空が、俺たちを照らしていた。
旅の疲れが、温泉と美味しいご飯と、この甘い飲み物で癒されていく。
翌朝、俺たちは宿を出る準備をしていた。
「ありがとうございました。おかげでゆっくり休めました」
カウンターのおばさんに挨拶をすると、「またいつでもおいで」と笑顔で送り出してくれた。
バイクのエンジンをかける。
「ユウマ、お土産!」
リナが嬉しそうに何かを抱えている。それは、昨日飲んだあの飲み物とパンだった。
「買い占めてきたのか?」
「ううん、これはおばさんがおまけでくれたんだ!道中、これで元気出せって!」
リナは照れくさそうに笑う。
「…ありがたいな」
「でしょ?この村、なんか温かい人ばっかりだったね」
リナはそう言って、後ろの席からビンを一つ取り出し、俺に手渡した。
「出発する前に、もう一本飲んでおこうよ!」
青い空の下、俺たちは再び旅に出た。
何だか日本を感じれた気がした。
「良かったからまた来たいなあ…」
「ねー!今度はもう少し観光したいなあ」
そんな会話をしながらバイクは進んでいく
お久しぶりです。最近忙しくて更新できてなくて残念!さて、今回は温泉がある村に来た2人ですが何だか旅で仲良くなってきたご様子。
そろそろ個人的には冬のストーリーを描きたいなあと思いつつちょっと早いかなあ、、
後そろそろ忘れ去られているであろう、銃も活躍させたいものです
次の更新も遅くなってしまうかもしれないですが、ゆっくりとお待ちいただければ幸いです!