枯れ木峠
あっという間にステラの村は見えなくなっていた。
この先のミトラという街に行くには枯れ木峠という魔物が出る難所を越えなくてはならない。
そろそろ峠に着く頃なのだろうが…
「さっきまで緑が多かったのに茶色い木が出てきたな」
「そうだね。そろそろ枯れ木峠だとおもうよ」
少しすると枯れた葉だらけになってきて少しスリップを起こしそうな感じになってくる。
バイクが進んでいくと通ったところの枯れた葉が舞う
「ユウマ大丈夫そう?」
「大丈夫だよ」
リナが心配して来る、すると目の前に狼の大群がいることに気づく。フラグになってしまった。
「ユウマ!ウルフの大群!」
バイクを即座に止め腰につけていた銃を取り出す。
流石に何度も使うと慣れて来る物で、反動を制御することができるようになってきた。
前の方にいた数匹を倒すがキリがない。
「リナ!まとめて倒すことできたりしないか?」
「やってみる!ファイヤーボール!」
リナの放ったファイヤーボールが炸裂し、辺りに狼たちの断末魔が響き渡る。焦げ付くような匂いが鼻を衝き、一気に数は減ったものの、それでも残った狼たちは飢えた目をぎらつかせ、こちらを威嚇している。
「すごいなリナ!でもまだ結構いるな……」
ユウマは残りの狼の数と、弾薬の残量を頭の中で瞬時に計算する。このままだとジリ貧になるのは目に見えている。
「これ以上はまずいね!援護するよ、ユウマ!」
リナは杖を構え、再び魔力を集中させ始める。
その間に俺は、体制を立て直し、残りの狼たちへと狙いを定めた。
バイクの影に身を隠しながら、慎重に引き金を引く。一匹、また一匹と狼が倒れていくが、その度に新たな狼が奥から現れる。
「くそっ、キリがない!」
その時、リナの杖の先から光が放たれ、地面に円状の魔法陣が展開された。
「サンダーストーム!」
リナの叫びとともに、魔法陣から無数の雷が放たれる。あたり一帯に雷が降り注ぎ、残っていた狼たちは次々と感電し、崩れ落ちた。
数秒後には、目の前の狼の群れは跡形もなく消え去っていた。
「やったな、リナ!」
「うん!でも、ちょっと魔力使いすぎちゃったかも……」
リナは少し顔色が悪く、息を切らしている。
「悪い!少し休憩しててくれ」
「ごめんね、いつも頼ってばかりで」
「何言ってるんだ、お互い様だろ。それに、こうやって協力し合わないと、この世界じゃ生きていけないんだから」
リナの肩を軽く叩き、再びバイクに跨る。枯れ木峠を越えた先のミトラの街までは、まだ距離がある。
「よし、行くぞ。ミトラの街はもうすぐそこだ」
バイクのエンジンが再び唸りを上げ、二人は残された枯れ木峠の道を走り出した。
バイクのスピードを上げ少しでも早くこの面倒な場所を通り抜けようとする。
今のリナでは戦うことは大変だ。銃の弾も心許ない。ダガーはあるが近接戦闘はあまりしたくない。
早くミトラにつけると良いのだが…