同期コラボ①
「これでよしっと」
私は家の掃除を終え、リビングで休憩をしていた。
部屋の掃除をしている理由は単純、急にオフコラボが入ったからである。
もともと定期的に掃除はしていたが、人、しかも初対面が来るならば話は変わるのだ。
家に来るという時刻は6時。
現在は5時50分だ。
そろそろ来るかな、と私がそう思っているとチャイムが鳴った。
「来たかな?」
何か頼んだりしてないので宅配の可能性はない。
私のマンションにくる人もいないのでおそらくそうだろう。
私がドアを開けるとそこには黒髪の美少女がいた。
ぱっと見のイメージは優等生っぽい感じ。
その時、私は相手が自分を見て固まっていることに気づく。
「えっと、あの、私がどうかしましたか?」
「あっ、いえ。あなたはレムさんですよね?」
「ってことはあなたは……」
私がそこまでいうと
「オフコラボ、よろしくお願いします。佐々良です」
そう、元気に言った。
「それじゃあ始めますか」
「ですね、やりましょう!」
【おっと、きた】
【ついに同期とか】
【そもそもいきなり怜とコラボしてるのがおかしいんよな】
【それな】
【同期コラボ初は佐々良か】
そして配信が始まる。
「上官のみなさんこんにちは、倉持レムです!」
「そして、同期コラボ一番乗り! 佐々良めぐみです!」
その明るい声と共に画面に猫耳のある黒髪の美少女が映し出された。
なんか昨日とは違いすぎない? と思ったのは秘密だ。
【来た!】
【同期コラボ】
【めぐみ!】
【佐々良!】
【同期きた!】
「えー、今回はゲームとかなしに雑談、そしてマシュマロの返答をしていきます」
【待ってました!】
【初雑談!】
【マシュマロきた!】
【きたこれ】
と、言ったものはいいものの……
「雑談ってどうしたらいいんだろ」
「えぇ?」
【ガチ困惑助かる】
【佐々良のこんな声初めてだわ】
【なぜ雑談をしようと思ったのか】
私は助けて、とチラッと佐々良の方を向くと
「はぁ。とりあえずマシュマロ開けましょう」
「はーい」
【てぇてぇ】
【保護者になってきてないか?】
【佐々良ママ】
【親と子供やんけ】
「えーと、まず一つ目はこれ!」
『怜ちゃんと初めて関わった時の第一印象は?』
【なるほど】
【おっ、あたった!】
【よかったやん】
【第一印象か】
「うーん、そうだなぁ。第一印象はやっぱり明るい人かな。あとはゲームを心の底から楽しんでるなぁって思った」
【わかる】
【めっちゃ明るい】
赤月怜【ありがとー!】
【本人きたんだがw】
【本人おるやんけ】
「うぇぇ!? れ、怜!? 見てるなら言ってよぉ……」
自分の顔が赤くなるのがわかる。
恥ずかしい。
よりにやって怜が見ているところで……
あとで知るとかだったらまだマシなのに……
【恥ずかしがってるレム…実によき】
【おっ、仲間だな】
【全俺が歓喜した】
赤月怜【かわいすぎ】
「なんで恥ずかしがってるところで喜ぶの? おかしくない?」
【おかしくない】
【まったく?】
【逆に聞こう、なぜ喜んじゃダメなのかを】
【ありがとうございます】
「いや、おかしくない? そうでしょ? どう思う?」
「え? 私に投げるの?」
【おい、わかってるよな?】
【無論俺らの味方だよな?】
【めぐみちゃんはリスナーに優しいもんね?】
【圧かけてやがるw】
「えーとでも今のは……可愛かった」
「えぇ!?」
【勝った】
【てぇてぇ】
【やはり俺らの勝ちだ】
【てぇてぇ】
【てぇてぇ】
「ま、まぁ、この話はそれくらいに……次!」
『互いに思っていることは?』
「互いに思っていること?」
「だれとは書かれてないですね」
【ほんまや】
【書き忘れたんかな】
【レムちゃんとめぐみちゃんでいいんじゃね?】
【それでいいか】
「コメント見たら私と佐々良でってことだからそれでいい?」
「もちろんいいですよ」
「えー、それじゃあ私からね。佐々良はまじめだなって思った。あと優しい。今日あったばかりだけど配信いろいろ助けてくれたしね。ありがとう」
「……っ!」
【おっと?】
【何も言いませんね】
【もしかして:照れてる】
【まじめキャラ崩れたな】
【かわいい】
「……次は私の番ですね。それではまず、レムさんオフコラボ勝手に決めてすみませんでした!」
【え?】
【レムちゃんがやってたんじゃないの?】
【レムはあまり自分からやらなそうと思っていたが】
【そういうことね】
「自分たち同期と関わるには怜先輩とコラボしたこのタイミングしかないと思ったんです」
その言葉に私は納得した。
いくら知り合いだったとはいえ先輩である怜とコラボしたのに同期とはコラボしないのはおかしな話だからね。
「それはいいんだけどなんでオフコラボ?」
「それは……」
【それは?】
【わくわく】
「先輩とのコラボに同期のコラボで負けたくなかったからです!」
【なんだコイツくそ可愛いんだが】
【可愛すぎ】
そうしてオフコラボは続いた。
評価やブックマーク、感想をしていただけるとモチベーションが爆発します!