同期コラボ準備
【やっぱ何もかも足りないな】
【石炭後一か月で切れるやんけ!】
【食料どこだよ】
「うー、なにもかも足りない!」
私は今、FROSTCITYというゲームをやっている。
FROSTCITYは数年前に発売された何もかもが凍った世界で街を発展させ生き残るゲームだ。
ほぼ常に街を温めるジェネレーターを動かすための石炭、食料、建設するための資材などが足りなく、人々もストライキなどをしてくる。
私が資源の有無がわかる調査モードで周囲を調べると石炭を表す石のマークが浮かび出た。
「おっ、ここに石炭ある」
【ナイス!】
【これで何とかしばらくは持つな】
【そこの右下に食料あるよ】
【おい、ネタバレダメって書いてるだろ】
【ネタバレすな】
「おっ、ありがとう。助かったよ。でもできるだけネタバレは無しでお願いね? 自分で頑張りたいから」
【やさしい】
【神】
【やさしいな】
【よかったな】
【すみませんでした】
「あっ、探索チームが戻ってる」
実はこのゲーム、自分の街近くだけでなく、しっかりとした設備を用意することで街の周囲を探索し、資源などをとることができるのだ。
どうやら今回は資材が見つかったようだ。
「あ、資材取れる。なくなってたからちょうどいいな」
【何気に資材も危なかった】
【そろそろ炭鉱をアップデートした方がいいんじゃない?】
【研究できるかな】
「いやー、研究所さまさまだね。これなかったらだいぶ前に詰んでたよ」
【やはり研究、研究はすべてを解決する!】
【この手のゲームは研究めっちゃ強いからな】
【やっぱ研究ゲーだわ】
【こりゃ最優先で建設しなきゃな】
私は研究所をクリックし、数多くの研究候補から炭鉱を選択する。
なんとこれを研究し、建設すると今採取している石炭の1.5倍の量をとることができるのだ。
研究でここまでできるとか研究員どんだけ優秀なんだよ。
と、そんなことを思っていると配信終了時刻になっていた。
「時間だし今回はここまでにしようかな」
【もう終わりか】
【ゲームも終盤だな】
【お疲れ】
【了解】
【時間の流れはや】
「それじゃ、ばいばい!」
【ばいばい】
【じゃあな!】
【また】
【ばいばい】
【ばいばい!】
配信は終了しました
「終わったー」
私は思いっきり体を伸ばす。
なんか毎回これをやっている気がするが気のせいだろう。
「喉乾いた」
配信してて思うのが本当に喉を酷使するのだ。
めっちゃ喉乾く。
「えーと麦茶麦茶……」
私が冷蔵庫で麦茶を探していると誰かからメッセージが来た。
麦茶を冷蔵庫から取り出し、コップに入れ、飲みながらメッセージを見る。
『こんにちはレムさん、同期の佐々良めぐみです! コラボしませんか!』
どこかで見たような内容だ。
そう、数日前に。
『許可はとってるんですか?』
『はい! オフコラボの許可はとってます!』
なるほど、この人も怜と同類か。
事前に許可取ってるとは……
ん?
「オフコラボ!?」
『え? ちょっと待ってください、私たちまだあってないですよね!』
『はい、そうですね』
『なのになぜオフコラボ!?』
『そっちの方が盛り上がるかなって』
いやいやいや、何考えてるの!
怜以上のやばい人だ。
っていうかよく会社これ許可出したな。
怜とは関係あるからわかるけどさ、同期とはいえいきなりオフコラボ?
上層部頭のネジぶっ飛んでんのか……
私が困惑しているとさあらに爆弾投下。
『ちなみに明日の予定です』
『あ、明日ですか? いや、オフコラボってもっとこう段取りっていうか……初めてなわけだし……』
『そっちの方が面白くないですか?』
『え? いや別にそうは……』
『とりあえず明日よろしくお願いします』
『え、いつ来るんですか?』
『まぁ夜の八時くらいです。それでは!』
そうしてコラボの打ち合わせ? というより一方的な命令が出された。
どうやら明日うちに来るらしい。
いったいなんでこんなことになったのか、と思うと同時に私は今まで同期とまともにかかわったことがないことに気づく。
私の場合はサプライズとして急遽Vtuberになったので同期の人と顔を合わせていないのだ。
しかもそのあとの配信は怜とのコラボだし。
私は明日のオフコラボを同期と関わるきっかけとして前向きにとらえることにしたのだった。
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