新Vtuberの誕生
感想や評価してくださった方ありがとうございます!
redmoonさんのランク上げの日から数日後
『じゃあみんな、今日もFAやっていくぞ!』
暗い私の部屋に一段と明るい声が響く。
もちろん私ではない。
「赤月怜……かぁ」
私はパソコンを見ながらそう呟いた。
パソコンに映っているのはアニメに出てきそうな赤い目をした薄いピンク色の髪の毛をした美少女だった。
彼女の名前は赤月怜、いわゆるVtuberである。
そして
私の長いフレンドであるredmoonでもある。
「いやぁ、自分で自分の配信を聞くのは恥ずかしいね」
私がそんなことを思っていると赤月怜本人がそう言った。
その返しに私はもう一度この質問をする。
「そっちがやらかしたんだから我慢してください。それでredmoonさん、あなたがこの赤月怜ってことでいいんですよね?」
「うん、そうだよ」
「はぁ……」
その即答ぶりに私は思わずため息をついた。
「どうしたの、ため息なんかついて」
「いや考えてみてくださいよ。自分のフレンドがチャンネル登録者200万人越えの超人気Vtuberだったんですよ? どう思うと思います?」
私の感覚ではredmoonさんは親友のようなものだ。
簡単に言ってしまえば親友が超人気俳優だった! みたいな感じである。
「うーん、うれしい?」
「違いますよ、驚きというか信じられないというか……すみません、やっぱ自分でも良くわかんないです」
「ま、そんなもんだよね。私もくらもちに自分の正体をバラす時が来るとは思わなかったし」
「そっちのせいでしょうが……」
「ハハハ……それは耳が痛い。それで? あの話は考えてくれたの?」
「あの話……私がVtuberに……ってやつですか?」
「そうそう」
実はあの後Vライブ、redmoonさんがVtuber『赤月怜』として所属している会社から連絡があったのだ。
うちでVtuberとして働きませんか?
と。
「それ本気で言ってるんですか」
「イタズラで会社が動くわけないでしょ?」
まぁそりゃそうか、とredmoonさんの言葉に私は納得する。
「それでどうするの?」
「いやどうするって言われても……そもそも私Vtuberそんなに詳しくないですし」
「別にそれは関係なくない? 自分がやりたいならやっていいと思うよ。ま、とはいってもしばらく話題にはなるだろうね」
「え?」
私はredmoonさんの言葉に思わずそう言った。
「とりあえずSNS見てみたら?」
「? はい」
私はなんで? と思いつつ、言われたとおりにSNSを開く。
するとそこには……
「『くらもち』トレンド一位……なにこれ」
「自分で言うのもなんだけど私って結構人気なの。そんな人のフレンドがかわいい声を出して喋った、話題にならないわけなくない?」
「そうなんですかね……ん? かわいい?」
「うん、めっちゃかわいい。かわいいけどなんて言うか聞いて落ち着くというかそんな不思議な声。もしくらもちがVtuberなら絶対推してたね。実際のVtuberいうんだから間違いない」
そ、そうなんだ。
なんか恥ずかしい……
「それとさ、私は会社とかそういうの関係なしにVtuberになってほしい」
redmoonさん自身が私にVtuberになってほしい?
「なんで?」
「だってVtuberって楽しいんだよ! いろんな人がいて一緒に笑ったり泣いたり。そういった楽しさを私はゲームだけじゃなく同じVtuberとして楽しみたい」
その彼女の心の底からの言葉に私は感動した。
いつもふざけてるredmoonさんにやられたと思うとちょっと悔しいな。
「……わかりました」
「!? やってくれるの?」
「誘ったのそっちじゃないですか。ゲームも楽しいけどVtuberも楽しそうだなって思っただけですよ」
「そうと決まれば早速連絡するね! あ、それと……」
redmoonさんはそこまで言うと黙り込む。
「どうしたんですか?」
「それだよそれ!」
うぉ! びっくりしたぁ。
っていうかそれって何?
言われてもピンとこない。
「敬語」
「言葉遣いですか」
「そう」
「とは言われてもredmoonさんの方が年上だし」
「そんなの関係ないから、それとredmoonじゃ長いよね。これから怜って呼んで」
「いや、でもredmoonさんで――」
私がそこまで言うとredmoonが強引にかぶせてきた。
「怜!」
「怜……さん」
「ダメ、怜」
「れ、怜」
「よろしい。それじゃあ私は会社に連絡するから、またね」
「わかりまし―-」
「ん?」
「わ、わかった」
「うん! じゃあね」
こうして、新たなVtuberが生まれることが決まったのである。
評価やブックマークをしていただけるとモチベーションが爆発します!
感想もぜひぜひお願いします!