表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/19

勉強オフコラボ



『みなさん、今現在一定の人々が過ごしている素晴らしい期間であると知っていますか?』


『素晴らしいって……いやまぁそうだけどね?』


【俺は……その一定に入っていないんだ(涙)】

【最高っすね】

【ずっと続いて欲しい】

【くれよ、俺にも……】


今現在、私は配信のためにVライブの事務所にいる。

大体私1人の配信が多いのだが、今回は違う。


『夏休みだな!』


『あ、おいコセン! 先走るんじゃない!』


『夏休み……やっぱ夏といったらこれですね』


そう、Vライブ3期生が全員揃っているのだ。


【夏休み最高!】

【永遠に続いてくれ】

【俺にもちょーだいそれ】

【ナツヤスミ? 聞き覚えがないな】

【ナニソレシラナイ……】


『学生諸君! やはり夏休みは至高! 長期休みでゴロゴロし放題だ! 尚、社会人の人は例外とする』


めぐみちゃんの最後の発言に社会人の視聴者が反応する。


【おい!】

【ざけんな!】

【俺らにも休みをよこせ!】


『君たちはもうすでに体験したでしょー』


『確かに』


『それはそうだな』


【うぐっ】

【正論やめろや】

【社会人にダメージ】

【それでも欲しいんですよ】


夏休み。

学生にとって夏最大のイベントと言っても過言じゃないものだ。


今年はすごかったな。

まさかVtuberになることになるなんて。

一年前の私はかけらも思ってなかった。


Vtuberになって配信やって……とても濃い夏休みだった。

だけど、そんな夏休みも……


『そろそろ終わりか……夏休み』


時間の流れは早いな、と年寄りみたいなことをふと呟く。


【うわぁぁぁぁ!!】

【やめ、やめろぉぉおぉ!】

【その話はやめよう、いいね?】

【レムちゃん、夏休みに終わりはないのだよ。ははは】


『そう、レムの言う通り! 夏休みが終わろうとしています!』


『終わるの早かったなぁ……私体感1週間くらいしかたってないよ?』


『俺もだわ』


『去年よりも終わるのが早く感じましたね』


『私たちは今年から新しいことを始めてるからね。今もやってるけど』


【デビューからはや1ヶ月か】

【時の流れは早いものだ】

【夏休みー終わらないでくれー】


『さて、私は夏休みがそろそろ終わるなーとぼーっと考えていると、とあることに気づきました』


【ほう?】

【何かね?】


『……』


『……』


『……』


そこでめぐみちゃんの雰囲気が重くなる。

いや、めぐみちゃんだけじゃない。

コセンくんとリリスちゃんも気のせいか雰囲気が重くなっている。


【な、なんだ?】

【悲しいとか?】

【あ、待って(察し)】


『そう、私は気づいてしまったんだ……課題終わってない!!』


【うがぁぁぁぁあ!】

【課題……やらなきゃ……】

【あ……終わった】


『そうだよ。気づいたんだよ、私課題終わってなかったんだよ。夏休み終了までもう1週間もないのに課題はほぼノータッチ。これはやばいとみんなに連絡。みんなご存知で私たちは同年代だからね。すると』


『やってなかったよ……完全に忘れてた』


『マジでノータッチ! 何もやってねぇや! ……終わった』


【お前らw】

【コセンは予想通りや】

【リリス様にしては珍しい】

【はしゃいじゃったんやろなぁ】

【んじゃ残りの2人は?】


『私はコツコツやってあるよ。今日でちょうど終わるくらい』


『俺はもう終わってますね』


【しゅーりょー!】

【優等生組はやはり優等生だった】

【うん、知ってた】

【だよね】

【だろうね、さすが】


『ってことで今日はみんなで勉強会です! ちょっとでも課題消化しないとやばい』


『なぁあきはる。お前のやつと俺のやつ交換しないか?』


『何言ってんだお前』


【バッサリ切られたなコセン】

【だろうな】

【そんなのとおるわけないだろw】


『ねぇレムちゃん! わからないとこあったら教えてちょうだい?』


『うん、いいよ』


【こっちは平和だ】

【うん、いいねこういうの】

【なんか和むわ】


『レムー! ちょっと私の分ついでにやっといてくれない! ちょっとでいいから!』


めぐみちゃんがそんなことを言いながら私に向かって突撃してくる。


『うわっ!?』


【こいつ、いいところに割り込みやがって】

【貴様! そこをどけ!】

【お前はこっちにくるべきじゃない!】


『うるさいな君たち! 身近に課題終わってる人いたら手伝ってもらいたいでしょうが!』


【それはそう】

【まぁ、それは……ね】

【俺がこいつと同類……だと? 終わった】


『おいそこ! 勝手に絶望すんじゃない!』


『とりあえず課題やろうぜ。こんなことやってたら一生進まんぞこれ』


『……そうだね。コセンの言う通りだ。とりあえず進めよう。レムー! わかんないとこあったら私も教えてー!』


『了解』


『レムさん。そっちの女性陣はお願いします』


めぐみちゃんがいやいや課題を開いてるところを見ていると晴明くんから声がかかる。


役割分担をしようってことね。


『OKです。コセンくんはお願いします』


【何これ】

【あきはるとレムの手際が良すぎる】

【コセンやったな、あきはるとのマンツーマンだぞ】

【なんで自然にこうなるんだ】


『この配信を見てる学生の皆さんは課題が終わってなければ一緒にやりましょう。これでめぐみちゃんの逃げ道を無くします』


辛くなったら学生の視聴者はやってないから! とか言ってサボりそうだしね。

私の個人的な意見だけど。


【腹黒レムキタコレ】

【確かに俺らを盾にサボりそうやな】

【はぁ、やるかぁ】

【課題やるしかないのかな……はぁ】

【頑張れ学生諸君w】


『社会人の人は貴重な休みだと思うので思う存分休んでください。こんな時もあったなー、とかそんなことを思いながら見てくれると嬉しいです』


『っかレム! 私のことそんなに信用できない!? 視聴者盾にしないって!』


『いややるだろ、お前』


『やるでしょ君は。私わかるよ』


『やりますよね』


【いや、お前はする】

【お前はやるだろ】

【嘘つけ】

【盾にするって信用はしてる】


『ひっどー! もういいちゃんとやってやるんだから!』


『大丈夫、信用してるって』


『本当?』


私の発言にめぐみちゃんが食いつく。

うん、もちろん信用してる。

だってーー



数十分後



『これさ、私去年も最後まで残して終わらせられたし今やらなくてもいいよね。うん、いいよ別に今じゃなくても』


『ほらやっぱり』


【案の定逃げたな】

【知ってた】

【ですよね】

【逃げるな卑怯者!】


『だって去年もできたもん! 今年だっていけるって!』


『それで間に合ったの?』


『もちろん!』


『去年は少しは進めてたんでしょ? 今年は?』


『終わらないなんてそんなことは……ふ、終わった』


めぐみちゃんは目の前にある課題の山に目を向け、何やらカッコをつけてかっこ悪いことを言った。


【ふ、バカめ】

【今年は課題多いって】

【諦めたなw】

【まだいけるだろ!】


『いーやーだー! 課題したくない!』


『何子供みたいなこと言ってんの。いや子供だけどさ』


『だってめんどくさいじゃん! そう思うでしょコセン!』


『え、俺?』


【ここでコセンか】

【さぁどうする?】

【飛び火したなw】


『俺は別にそうわ思わんけどな』


『コセンはお前と違って黙々と進めてますよ。こいつ別に頭悪いわけじゃないですからね』


『嘘だぁ!』


【コセンは挨拶以外はまともなんよ】

【コセン結構頭いいぞ】

【挨拶除いたら完璧……ではないな】

【まぁまぁやるぞコセンは】


『珍しくお前ら俺を褒めるな』


『挨拶ちゃんとやればコセンは面白いんだけどなぁ。あ、レムちゃん。ここわかる?』


『あー、ここはね。ここの部分を式変形して……』


『おー、なるほどー。OKありがとー!』


『……あれ、もしかしなくてもちゃんと勉強できてないの私だけ?』


【お前だけやぞ】

【その通りだ】

【せやで】

【せや】


『うっそぉ……』


『ってことでちゃんとやろうよ。後から苦労するのは自分だよ?』


『うぐぐ……そういうレムは教えてばっかだけど大丈夫なの?』


『うん。大丈夫。もう終わらせたから』


『え? いやそんなわけ……マジ?』


めぐみちゃんが私の手元を覗き込み、驚く。

手元には終わらせた課題がまとめてある。


【マルチタスクすぎる】

【いつの間に!?】

【すご!】

【マジかよ】

【できる女レム】



2時間後



『ふぃー、少し休憩しようぜ』


少し疲れたのかコセンくんが体を伸ばしながらそう提案する。

確かに疲れてきた。


『そうだね。そろそろ休もうかな』


『おー、思ったより進んでる。やっぱ集中してやると違うね』


【だいぶ勉強してたな】

【すげぇ、めっちゃ進んでる!】

【ずっと見てました】

【進んだわ】

【これから定期的にこれ頼むって】


『今更だけど結構時間経ってるね』


『そういやそうだな。そろそろ終わるか』


『そうだねー。私としてももう今日は勉強はしたくないや』


『終わり!? 終わりね! よし、終わろう!』


勉強が終わるかもという希望を抱いたのかさっきまでぐったりしていためぐみちゃんがガバッと顔を上げる。


【そこまで終わりたいかw】

【勢いがすごいw】

【すごい勢いだなこいつ】


『いや、もう終わるけどさ。お前そこまで勉強いやかよ』


『うん大っ嫌い』


『そこまでハッキリ言うといっそ清々しいな』


『ということで今回の勉強配信はここで終わりにしようと思います』


『それではみなさん、さようなら』


『バイバイ!』


『じゃーな』


『じゃーねー!』


【バイバイ!】

【さようならー!】

【じゃ、またな】

【バイバイ】

【さよなら!】



評価やブックマークをしていただけるとモチベーションが爆発します!

感想もぜひぜひお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
……オフコラボ?3D配信?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ