メリゴーランドとケーキ
今日は君との記念日デート。
付き合った日と結婚の記念日の両方を祝う日。
付き合った日からもう何度目だろう、遊園地のメリーゴーランドに行くのは。
いつも遊園地に来ては少し巡って楽しんで、それから夕暮れ時にメリーゴーランドへ行くのがお決まり。
それを記念日などによく行っていたけど、不思議と飽きなくて毎回新鮮で楽しかった。
今年は嬉しいことが2つもあるから幸せだなあ。
君には感謝しなきゃね、とっても沢山。
「今日も綺麗で可愛いね。流石私のお姫様」
何で始めたのかもうお互い忘れたけど、この一言で始まるんだ特別な日は。
もう何度も繰り返しているけど、相変わらず顔が真っ赤っか。
そんな君が可愛くて愛しくて大好きだよ。
「ありがとう。あなたもかっこいいわ」
「やっぱり慣れないね。面映ゆくて仕方ないよ」
君はそう言ってそっぽ向いた。
全く、相変わらずなんだから。
そんなこんなでお互い準備が出来たので、電車に揺られること1時間。
目的地の遊園地に着いた。
ちなみに道中は特に何もしなかったかな。
人が沢山居たから、ね。
「じゃあ行こうか。お姫様、お手を」
やらなくても良かったのに真っ赤な顔で君はそう言った。
「真っ赤っかよ、あなた」
「……っ! ほら、いくよ!」
そう言って強引に手を引く君。
そんな君が可愛くて愛しくて大好きだよ。
強引なのは最初だけで、その後は優しく手を引かれた。
そして一番の毎度お馴染みである目的地に着いた。
「今年もまわろうか、世界を」
そう言ってゆっくりと一緒に乗って、世界をまわった。
「今年もこうしてあなたと世界をまわれて嬉しい」
「私もだよ。そして今年はもう1つ嬉しいことがあるから、そのお祝いでもあるからね」
「うん。私嬉しくてとっても幸せで、今からとても楽しみ」
「一緒に楽しんでやっていこうね」
その言葉に私は笑顔で答えた。
「落ち着いた頃にこの子たちと一緒にまわりたいね」
「そうだね。絶対来よう」
春に君と出逢って、夏に君と付き合って、秋に君と結婚した。
そして……この冬に双子の女の子が、君との子が産まれる。
楽しみで嬉しくて幸せで仕方ない。
「それにしても毎年まわる世界が違うから楽しいよね」
「うん。毎年コンセプトが変わっているからね」
「でもいつかコンセプトが尽きそうだなって」
「そうなったとしても楽しいからいいよね。君とだからこそだけどね」
そう満面の笑みで君は言った。
「私もあなたとまわれて楽しいよ。あなたとだから」
私もそう応えた。
「そろそろ終わっちゃうね」
「メリーゴーランドは終わるけど、今日はまだまだ終わらないよ」
そう言ってそっと私の手を握る君。
そしてメリーゴーランドが終わって次に向かったのは、何年も変わらずにあるケーキ屋さん。
そこで食べるのがお決まりの私たちだった。
「さあ、行こうか」
そう言ってまた手を引いてくれる。
そして優しく温かく手を引かれ、ケーキ屋さんに着いた。
「今年は何にする?」
「今年も限定にしようかな」
「今年の限定は苺をつかったケーキだね。久しぶりだね、苺を使った限定は」
「そうだね、楽しみ」
そうして少しの間もなく、ケーキが届いた。
ちなみに君が頼んだのは、相も変わらず私が次に食べたいであろうケーキ。
自分が食べたいものを選んだらいいのに、何年も変わらないんだから。
本当に優しくて甘いんだから。
「そのケーキ美味しい?」
「うん! とっても美味しい。説明出来ないけど……」
「私も一口食べたから分かるよ、その美味しさは」
「あなたのも食べたいな」
「いいよ。ほら、あーん」
「あ、あーん……もぐ……ん、これも美味しいね。こっちの方が好きかも」
何年も何回もしているけど、あーんは少し面映ゆかった。
「それはよかった。私もこれが好きかな。もちろんこっちも捨てがたいけどね」
「分かる。私も同じ」
二人して同じなんて、相変わらずだなあって思う。
これから先何年もこうして居られるといいな。
仲良くして居られるといいな。
ううん、居るんだ絶対に。
それから私たちは観覧車に行った。
夜景を眺めるために。
「今年も綺麗だね」
「君の方が綺麗だよ」
そう言う君は相変わらず真っ赤っかだけどね。
「嬉しい。あなたもよ」
私も真っ赤っか。
面映ゆいしドキドキする。
観覧車の頂上で私たちは言い合った。
「愛してるよ、あなた」
「私も愛してる」