国家特級拷問士リョナ子さん。特別編。
実際の事件をモチーフにしております。そこそこ抑えましたが過激な描写、ショッキングな内容を含んでおります。
耐性がない方はご遠慮ください。
この国には刑期が無かった。
あるのは一度だけの罰。
罪の重さに応じた戒めを与えるのは刑罰執行人。
通称、拷問士と呼ばれる者達。
今日もまた罪人が送り込まれていく。
◇
こんにちは、リョナ子です。
拷問士をやってます。
眼鏡をかけ、白髪の癖毛、血で黒ずんだ白衣を羽織る。
自分でいうのも何ですが、現在13人しかいない特級拷問士の一人です。
コンクリートで覆われた狭い室内。
特にこの時期は寒さが身に応えるね。。
ここが僕の仕事場で。
椅子にもたれて朝のコーヒーを味わう。
喉を潤し、体を温めてくれる。
これを飲み終えた時。
僕の一日が始まる。
今日の予定を書類で確認。
「レベル4同時執行・・・・・・」
通常一回の執行で罪人一人が基本だけど、こういう場合もまれにある。
特級ならなおさら。
「人数は三人か、さて、こいつらは一体何をしでかしたのかなっと・・・・・・」
罪人の情報、罪状、事の顛末、書類には細かく書いてあった。
「・・・・・・・・・屑共、が」
思わず、書類を握る手に力がこもる。
心が揺さぶられる。
感情が表面に出ようと荒ぶる。
その直前で、僕は大きく息を吸い。
籠もる何かごと息を吐き出した。
「失礼します」
ドアがノックされ、職員が罪人を運んできた。
猫ニャンのお面をかぶり、顔を隠す。
「入れて。そして全員吊して」
これから長い執行になりそうだね。
「今すぐ始めるよ」
並ぶように両手を上で縛られ吊される男達。
「よく来たね」
罪人A、34歳、男。
罪人B、15歳、男。
罪人C、16歳、男。
未成年が二人も混ざっている。
本来、この年齢がレベル4になることはあり得ない。
では、何故この場にいるのか。
それはこいつらが起こした事件があまりにも凄惨で残虐だったからだ。
家裁から検察へ逆輸送。
「ゆ、許してくれ、頼む、反省してるから」
「なんで、俺は未成年なのに、なんで」
「・・・・・・・・・・・・あ、ああ」
三人は小さく何かを言っているけど。
「全ての行動には結果が付いてくる。お前達がここにいて、僕がいる、全ては自分自身が招いた結果なのさ」
道具を取り出す。
まずは。
「な、なにを」
男達がそれを見て声が震える。
「これはワインのボトルを開ける時に使うコルク抜き。ちょっと僕なりに改良をしているけどね」
らせん状になっている金属のスクリュー部分、そこに切り込みをいくつも入れ、返しを作った。入れる時も痛いけど、引き抜く時の痛みは想像を絶する。
「そ、れは、見れば分かる、それで何をする気か、聞いて・・・・・・」
男の問いかけ。
「そんなの入れるに決まってるじゃない」
すぐに答えた。
◇
男達は新聞勧誘の仕事をしていた。
「可愛い子が一人暮らしをしている」
これが事件の切っ掛けだった。
三人は宅配業者を装い、女性の部屋に押し入ると。
そこから22時間という長い時間、女性は地獄を見ることとなる。
◇
「ふぎゃあぁぁあぃああああぎぁあああああああぁあがあああぁあぁあああああああ」
狭い室内に反響する声。
僕の道具が男の尿道に侵入していく。
「君達は女性を縛り上げると、すぐに強姦。無理矢理腰を下ろせと包丁で脅迫しながら命令。恐怖で抵抗できない女性をそれから22時間陵辱のかぎりを尽くした」
回す、回す、回す、回す、その度、深く、深く。
血が滴って、地面に落ちる。
「いだぁああああ、いだあぁああああああああああああああああああああ」
同じだよ、被害者は真面目な学生だったんだ、その時も・・・・・・。
「これが終わったら、次は後ろの穴だね」
「あいぎゃぁ、ああああいああひああああああああああああああああああああ」
これを交互に三人分。
「22時間、ぶっ続けで執行するからそのつもりで」
まだまだ先は長いね。
◇
被害者の傷は酷く、事件後歩行困難になるほどだった。
2カ所の傷は縫合手術を行うほど損傷。
髪など全身の毛をそり落とされ、傷は眼球にまで及んだ。
その様子を撮影され脅され。
果てしない暴力の末、妊娠中絶手術を受けることも余儀なくされたという。
◇
「うぎゃああああああああああああああああああああああ」
缶切りを、肉に食い込ませ。
小さく円を描き抉り取っていく。
これも僕の改良版、抑えを直接肉に突き刺さるようにしてる。
「女性の乳房もボロボロだったね。だから僕はこうしようと思う」
ぼたりと切り取られた肉片が落ちる。
「うぅう、も、う、許、して、くだ、さい」
それを見ていた他の男から声が漏れるも。
「次は君、その次は君だ。きっちり三周するからもう少し待っててよ」
コンクリートの壁に反響して男達の絶叫が響く。
それに重なるように。
女性の声も聞こえだした。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
もうやめてと。
木霊する。
脳をかき混ぜるように。
強く、響く。
受け止めて。
全部。
受け止めて。
「さて、もう一回、下行くよ」
螺旋を描く銀色は、すでに赤く染まっていた。
小さな穴がこじ開けられ切り刻まれながら奥へ奥へと。
根元まで到達すると、後は抜くの。
回したりしない。
力のかぎり引き抜いた。
執行、20時間経過。
男達の悲鳴は小さく。
だけど、僕の集中力はまだ増していく。
「そろそろ眼球にいこう。道具は・・・・・・このままでいいかな」
瞑っていた瞼をこじ開けて。
先端が黒目に向かう。
後は回すだけ。
回して進んで。
そうしたら引き抜こう。
綺麗にとれたなら。
いいのだけど。
◇
その日まで真面目に生きていた女性がこの日を境に人生が一変する。
男達の鬼畜の所業はまだまだ続く。
排泄を強要されたり、それを・・・・・・といったように。
これが人がする事なのか。
この世界は歪で。
何もかも不完全。
救いはなく。
声は届かず。
伸ばす手を取る者もおらず。
心をずっと殺され続け。
◇
「あぐあふぁがあっぁあああああああああああああああああああああ」
男はまだ叫ぶ、痛みはまだ続く。
書類を読んで。
全身にナイフが突き刺さるようだった。
身も心もズタボロにされて。
同調する、できる限り。
被害者の絶望はきっとこんなものじゃなかった。
「いがやああああああああああああああああああああああああ」
引っ張る、抜けるよう力いっぱい。
「大丈夫、大丈夫、もうあっても無くても変わらないから」
地面に転がる二つの丸みを帯びた物
これで最後。
三人目。
「どうだい、死んだ方がましとさえ思うだろう。これがレベル4。今度ここに来るような事があったなら・・・・・・」
引き抜く。
「この上の世界を見せてあげよう」
こうして22時間におよぶ執行は終了した。
◇
仕事を終えて、僕はふらふらになりながら仕事場を出た。
張り詰めていた糸が切れたように一気に疲れが押し寄せた。
「ぐおおおお、疲れたぁ」
今回のはいつもに増して大変な執行だった。
ちょっと前の僕なら他の拷問士の力も借りたと思う。
今は早朝。空が明るんで来ていた。
光を淡く帯びた空がとても綺麗で。
「癒やされるねぇ」
世界はこんなに美しいのに。
人の醜さを毎日浴びて。
同時に汚されていく、浸食されるように。
それでも僕は生きていく。
コーヒーが美味しい。
本も好きで。
飼い猫は可愛い。
小さな幸せを両手いっぱい広げてかき集めて。
こうして僕は生きていく。
もしよろしければ本編も見て頂けると幸いです。
拷問士メインの本編。その続きである殺人鬼連合、昆虫採集部編、こちらは戦闘シーンなど多く本編よりエンタメ色が強くなっております。