仮
このお話は暫定であり、内容が変化して尺も伸びます。
ご了承ください。
グリコカックスと言うモノが有る。
細菌等の細胞表面を被覆する存在だ。
糖たんぱく質や多糖類で構成されている。
それは、例えば魚の表面のぬめりだとかがグリコカックスであると言われている。
じゃあ、細菌の場合のグリコカックスはどうなのかと云えば、良く見かけるのは、あの水回りの、そして排水口のぬめり、歯の歯垢、舌の舌苔。
ツルツルと滑る、硬い表面で科学的な反応が起こりにくい、その事を『不活性』と云うのだが、そんな不活性な表面…排水口のプラスティック部品や流し台のステンレスの表面、歯の表面。そんな場所にも、彼等がその生存の為の範囲を広げられるのは、このグリコカックスある故なのだろう。
ある種の細菌細胞の表面や、より大きな生物、例えば哺乳類やらなにやらの、消化器官細胞の表面だとか、身体が外界と接する部分は大体はこの物質で覆われて居るらしい。
そう、消化器官の中は、あれは『体内』では無くて、『外界』に分類されている。消化器官の中では例えば大便の1gの中には、1兆個もの細菌達がひしめき合って生息している、あれはその様な『外界』であって、腸管上皮細胞の細胞膜が『内と外』を隔てている、その薄皮一枚の向こう側、上皮細胞の内部は、あれは『体内』であって、細菌達やウィルス等は殆ど生息していない。生息している場合は、その細胞は病に侵されていると云う事になるだろう。
極鞭毛をフルに駆動して、まるで旅客機が、地表を見るみたいにして腸壁表面から離れてこの体内の世界を俯瞰している。そこから更に、高度を下げた旅客機が地表に近づくように接近して、ホバリングみたいに停止して見てみる。
腸内の細菌達は、同じ種類が有る程度より集まり、集まって固まって、更に陣地みたいにグリコカックスやそれに良く似た材料と性質をもった粘液質の粘液層の城壁を周囲に張り巡らせて、いわば、戦時の城塞都市みたいな感じで寄り集まって生息している。そんな城塞都市と別種の菌の生息する別の城塞都市とが隣り合って延々と続いている地面。そんなイメージで、これが元の世界で、乳酸菌飲料のCMの謳い文句で言われていた『腸内フローラ』と呼ばれていた奴で、フローラとは、『お花畑』を意味するらしいのだが、こうして生まれ変わった視点でそれを間近で見て見るに…これはその様な夢のあるパステルカラーではなくて、むしろ、コンクリートのヨットハーバーで目にした、お互いに硬い貝殻の鎧をまとってコンクリート表面をみっちりと埋め尽くす、野生の牡蠣の、あの世界の如くである。
その、一つの城塞都市と別の城塞都市。
善玉菌と悪玉菌の境目に接近する。
悪玉菌と善玉菌との腸内の領土の境目、係争地帯。
そこに善玉菌と悪玉菌、それぞれの支配している陣地から、更にお互いに相手の領土へ、その触手を伸ばそうとするかの様に、善玉/悪玉のそれぞれのグリコカックスが、まるで牽制し合った結果として綯い交ぜになってしまっている部分が有る。
その係争地帯の絡み合ったグリコカックスの、恐らくは善玉菌側だと思われる方向へと、標的を定める…普通、こう言う場合、良くある小説なんかでは、恐らくは主人公やなんかは、『善』の名前の付く方へと、何ら根拠無く加勢するのだろうさ。善だとか、悪だとかと言う、その名付けが、人間の側から見た、些か恣意的な、便宜的な名付けであるに過ぎないのだけれどもな…
俺は今現在、客観的に見たらば、『病原菌』扱いなのだ。
明らかにそれは、宿主に害成す存在であり、恐らくは善玉菌にとって相容れない存在なのに違いが無く、だからと言って、悪玉菌から見たとしても、俺のこの存在は、新入りの癖に暴れすぎて、しかもルールや何かを一切理解して居ないアブナイ奴に違いが無いのだろうが、まぁ、善玉菌なんかよりかは俺の存在と近いと思うのだな、恐らくは。だから、俺は善玉菌の方を攻撃して見ようかと、そう、企んでいる。
ふふふ。
あの特徴的な『Yの字状』の形は、奴の知識が確かであれば、恐らくはビフィズス菌と呼ばれている菌だろう。どらどら、どうせだから、少し鑑定して見ようか。
「鑑定っ!」
【名前】 ビフィズス菌
【レベル】 5
【種族】 善玉菌
【性別】 ―
【年齢】 ―
生命 0.000135/0.000135
魔力 0.000032/0.000032
SP 0.000076/0.000076
Str 0.000050
Dex 0.000050
Vit 0.000180
Agi 0.000050
Int
Mnd
Luk
Cha
【所有スキル】
乳酸製造
【種族スキル】




