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ただ、おっさんが夢の中でどっかに旅立ってしまう、世間的には需要が皆無なお話  作者: 加工豚(かこうとん)
【第一章】限り無く透明に近いをぢさん
5/50

をぢさんの内面で、軍閥が二分してしまい、悲惨な内戦に突入した模様です!



緑色だった空を…

大規模に赤色に修正致しました。







有名なお米の国のSF映画、

「宇宙戦争」

あいつを連想させる。

あれだ。

砂漠の惑星タトゥイー〇

若しくは、昔に見た、無人宇宙船で降下した機器が撮影した火星だったか水星だったか金星だったかの表面の写真の風景…


そんな印象を受ける景色が広がっている。

砂漠と、岩山と。

何処までも、無味乾燥(むみかんそう)な風景が視界を占めている。


岩山が風化して砂漠になったとすれば、

大気が存在しているのだろうか?

この惑星は。


視界に入る範囲では、河川(かせん)らしき形跡は見られない。

液体は、存在するのかな?


空を見上げる…

ゲッ!なんぢゃぁー!?こりぁ~!?




今更だけども。

今更だけれども。

最初にざっと、風景を見た時は、



「気のせい」



で済ませてしまっていた。

無意識に、認識したく無かったのかも知れない。

空の色が…真っ赤だ!


それと云うのもこの惑星を照らす恒星、地球で言ったらそれは太陽なんだけども、やたらと真っ赤で、そして無駄にでかい…

余り直視すっと、目をやられそうだから直視しかねるんだけども、視線を外しているにも関わらず向こうの方からガンガン主張してきて視界に入り込んで来やがるぜっ!

何てこったい!


こうして改めて見てみるとこれは…あれかな?

この惑星とあの恒星を隔てる距離が短いのか、はたまた、あの恒星が桁外れにでかいのか、そのどちらなんだよっ!?

こんなん、疑問が尽きないよ。

それにそれを考えても仕方がないよな、もはやさ。


…この惑星の空の色は、クリムゾン・レッド。

いや、大気は確かに、確かに地球と良く似ていて、青空なんだけどもな、空一面にでかでかと主張し続けている太陽が見切れる隅とか見てみると、確かにそれは青空なんだが、なにぶん、視界に入る空のその殆どをその真っ赤な恒星で占められて居るもんだからさ、なんつーか否応もなく、真っ赤なんだよな。


生肉をさっと炙って切り出したステーキの断面。

ジューシーな血の色…

常に夕焼けなのだろうかなぁ、あの恒星さんは?

赤蜻蛉(あかとんぼ)は…残念ながら見当たらない。


さっきも言ったけども…何だか、地球で見ていた太陽なんかよりもずっとずぅーっと…太陽が大きく見えて、その太陽が真っ赤なのである…どのくらいかってゆーと、空の8割方がその恒星なんだよな。


まぁ、地球の太陽なんかと比べたらさ、あれ、太陽だとか直視出来ないでしょ?あれと比べたらさ、そんな「目がやられちまう指数」はずっと少なく感じるんだけれども、まぁ、まぶしいモノはまぶしいのだ。


んで、その恒星が空の殆どを占めている訳で、そんなものずっと見ていると怖くなってくる。


──この惑星、あの恒星の引力に引っ張られてもうすぐあの恒星に落ちちゃうんじゃなかろうか?空をじっと見ていると、恒星が近付いて来るように、ゆっくりとこっちに向かって落ちて来ている様に見えているのは、実は逆で、この惑星があの恒星の引力に引き寄せられて恒星に向かって落ちて行っているのではないのだろうか?──


なんて、そんな思いにかられてしまう程に、この惑星から見たあの恒星の存在は圧倒的であり、見ていてうちひしがられる恐怖と、自然の編み出した偶然の美しさに、魂を抜かれて仕舞うようである。





あの恒星がでかいのかなぁ?

それとも、あの恒星との距離が近いのか?

距離が近すぎたらば…潮汐(ちょうせき)ロックだとか言って、惑星の自転と公転が同期してしまって、つまり、この惑星があの恒星の周りを一周する公転の間に、自転が一回転…地球に例えると、一日が365日分あり、一年も365日であり、例えたなら常に地球に同じ面を見せ続けている月みたいに地球を恒星と見立てたならば、月は昼間の部分と夜の部分にくっきりと分かれてしまって、地球に向けてずっとおんなじ面を向けている…いわゆるそれが潮汐(ちょうせき)ロックと云う現象なのだけれども、あれみたいになるのかな?


この惑星はあの恒星によって潮汐ロックを受けており、俺はたまたま、あの恒星が照らし出す面の方へ転移魔法で来たのであり、あの恒星が照らさない側に転移していたならば、ずっと永久に恒星の光が差し込まない極寒の地へと跳んでいたのであるのかなぁ?


そして、あの恒星は赤色矮星(せきしょくわいせい)って奴なのか、この恒星は?

確か、太陽なんかよりもずっと小さい恒星は、赤色矮星って名前で、太陽なんかよりもずっと低エネルギーの核分裂反応で、赤く見えるとか何とか…んで、大きな恒星と比べたらば、ゆっくりと時間をかけて核分裂が進む為に、その寿命が数兆年だとかすんげぇー長寿の恒星で、少しその反応は不安定で、でもそれにさえ気を付ければ、充分に生命を育むと云う…


それか、まさに寿命が尽きる寸前の赤色巨星(せきしょくきょせい)

赤色巨星だったらば…ヤバくないかな?

人間の時間から見たらば、恒星の寿命なんてお目にかかる機会なんて滅多に無いとは思うが、何にしろ地球に居た頃と違ってあの、今現在俺が目にしている恒星は太陽ではなくて、あれは未知の恒星なのだ…そして、それ故に明日あたりにでもいきなり寿命を迎えて超新星爆発…なんてありえない事ではないのだ。

一切情報が無いのだからなぁ。


いったいどちらなのだろうかなぁ?

あの恒星が赤色矮星(せきしょくわいせい)なのか、赤色巨星(せきしょくきょせい)なのかは判らないが…どちらにしろ、あれだ。

『名前の無い(ホル)』が云っていた様に、どうやら本当に生物は一切居ないみたいなのだなぁ…


っつーか、何で俺、今呼吸出来てんの!?

生物が存在していない惑星って事はさぁ、

当然、植物が無いんだよ。

つまりは、酸素が無いんだ。



原初の地球で考えてみよう。



原初の地球は、生物にとって有害な塩酸だか硫酸の雨だとか、

硫黄化合物みたいな、温泉街で良くある、有害な温泉ガスが噴出して

酸素や窒素なんて無くて、一酸化炭素だとか、そんなんばっかで満ちていた筈なんだよな。


たまに、現在の地球でも、温泉で温泉ガスが噴出して、その空気の質量が、既存の地球の大気と比べて重いもんだから、窪地とか盆地だとかみたいな地形に、さながら、「グラスに注がれた液体」の如く、既存の地球の大気と交じり合って薄まる等と言う事もなく、浮かばれない旧日本兵の如く、または、地縛霊の如く、さらにまたは、肉ばかり食っていて、二三日お通じが無い時にまろび出る屁の如く、しぶとくその場に留まり続けて、何も知らずにそんな場所にうっかりやってきた生き物は、その、生物にとって凶暴且つ致命的な毒性を持つその気体を遺憾無く食らってしまい…時には死者を出す…みたいな…


大事な事だから、二回言おう。

俺、何で呼吸出来てんのさ!?


…うん。

俺、ちょっと考えてみようか。

このスペックがかなり悪い脳みそ、いわば一昔前の、そう、



「コア2デュオ」



以前のシングル・コアCPUみたいな、

大した演算処理(えんさんしょり)が出来ない、

メモリーも容量があまりにも少ない残念な脳みそだからこそ、いま少し慎重に、落ち着いて、考えてみよう。


良いか?

今の俺は、俺であって、俺ではない。

(メイン)半身(はんしん)みたいな感じの(サブ)

精神体みたいなもんだよな…

妖精みたいな、または幽霊みたいな、はたまた、受肉していない天使みたいな…

ちょっと、錚々(そうそう)たる種族だとか、崇高そうな存在と比べたら、

何かものすごーく、その存在としての価値で負けている気がして不愉快なんだがな。


まぁ、あれだよ、うん。

スピリチャルな存在なんだな。

今の俺は。


だからか。

だから、空気無くても大丈夫なのだな。


はぁ……

慣れね!

まっったく、慣れねー。

現実世界の(メイン)から離れて、

精神体としての、独立した存在としての、(サブ)


まだまだ、実験したり、考察したり、

検証したり、やる事、山積みっぽい。

前途遼遠(ぜんとりょうえん)じゃないすか~。


その時、現実世界の俺に対して今まで散々、

容赦のない第三者視点で突っ込みを与えてきた

そんな俺自身の言葉のセンスが、

今度は俺自身の脳裏に容赦無く牙を剥いてきた。

不意討ちである。

油断していたなぁ。

そうだよな。

閃きとは、時として、罪なんだよ。

何てゆーか、

とても嫌ぁーな言葉のフレーズが浮かんできた。














































『ようせいをぢさん』






ぷぷっ!






今のお前…ようせいをぢさん

ぎゃははっ!


つまり、それがお前の今の状態。

スキンヘッドの中年妖精。

救いようが無いよな。


どうすんだよ?

これからそれ一本でやってくの?

それで良いの?


ってか芸人なの?

流行るの、それ?


なぁ?なぁ?なぁ?なぁ?

なぁ?なぁ?なぁ?なぁ?






俺(突っ込み)は、(リアル)に対して、

いつもこんな無慈悲な事を言っていたのか…

自分が食らってみて初めて判る、被害者の気持ち。

今後、ヤツに再会できたらば、

少しは優しくしてやる…

気にはならなかった。

自分の興味本意で(メイン)は、(サブ)を実験台にしてブラックホールに放り込んだんだぞ。

まるでリトマス試験紙扱いだよな、ホント。

若しくはあれか、春の田んぼで採取した

ミジンコとかケンミジンコ扱い…

ちょっと考えてみ。

被害者指数は俺の方が高いね。

断然。


だが、しかし、



「ようせいをぢさん」と云う、



今現在の自分を端的に現した、

いささかショッキングなその表現…


そいつに少なからず動揺してしまった自分。

そんなことを考えていた俺の脳裏に、

更に容赦の無い追撃が繰り出されて来た。

コンボである。

追い討ちだ。

戦争の基本だよな。

敵の防衛線を食い破り、敗走する敵を熱狂的に追撃する時が、戦争では大体は一番戦果がでかい。

一番敵に人的被害を与えやすい。

一番効率が良い殺戮チャンスだ。

逆に言えば、劣勢になり、守勢に入ってしまった側からしたら、この時が一番しんどい。

くっそ!


俺ながら、馬鹿の癖にやりやがる!

馬鹿の癖に立派な戦術家と見たね。


その追撃は、

脳内動画ファイルデータとして、

敵側から放たれた。


俺の脳裏の、普段は性能が悪い脳内CPUが、

こんなタイミングの時に限ってバッチリとクリティカルな性能を発揮させて、どちらかと言えば絶対に、間違いなく、見たくもないであろうと直感が囁く、そんな動画モーションの準備が整った報告をして来やがる…

判るんだ、こんなタイミングで出てくる動画モーションとか、大体はろくなもんじゃぁない。



























やだなー、

こわいなー、






















やだなー、

こわいなー、










夏になると需要が増える、怖い話が得意な、

俺と違って需要が見込まれるおじさん。

そんなとある芸能人の口調が自然と出てきた。



















動画ファイルを再生させますか?



















はい

いいえ






































はい▼

いいえ



























まず言わなければならない残念なお知らせがあります!


この動画は、俺に鋭い突っ込みを入れて動揺させる事に成功した敵勢力が更なる追撃を企図し、この機会に俺をすっかりと覆滅(ふくめつ)させて、此の戦闘に於ける最良の戦果、すなわち、「俺/俺」戦争を戦略的な勝利で納めよう、と、そんな意気込みを一身に込めたそんな容赦の無いプロパガンダの動画である。

乾坤一擲(けんこんいってき)の殺意さえ感じる。




すなわち、


『ようせいをぢさん』


と言う、新種の生物…ではないな。

新種の妖精の…

つまりは、限り無く俺に近い姿の…

そんなほぼ俺のフルヌード動画である。


正直に言おう。

この脳内動画ファイルを見た瞬間、

卒倒しそうになりました。

かなりのダメージ食らいましたよ。


だらしがない垂れた肢体を惜し気もなく

中年太りのスキンヘッド野郎が晒している


羽をパタパタさせて宙に舞い、

何か上手い具合に大事な場所が見えない

そんな巧妙なタイミングや角度で撮影されているような

いわば男性版グラビアアイドル的なイメージビデオ動画であった。



この時点で致命的である。



たまに、見えそうなタイミングで、

見せてはいけない部分が謎のフラッシュをして、

これ、あれだ。

アダルトな動画を提供するメーカーを

監視する協会ですら、これを見たらば、

さんざ悩み抜いた末に、

暫定でギリギリな許可を出しそうな…

そんな最低なる感じで最低な理論感を最低限に守っている最底辺な映像である。

映像の中で、俺がはしゃいでいる…



相変わらず、フル◯ンである。

見えないように上手く見せている。



端的に云って…悪夢である。



現実世界の俺の行動を今まで第三者視点で散々に突っ込み入れて来た、そんな俺だったが…

その俺を以てしても…

この動画は突っ込んで笑いに変えられなかった。

俺が言葉でフォロー出来る限界を軽くぶっちぎっていたのである。








こ、れ、は、酷、い。








「きゃははっ!」

「お花の密、たべたーい!」

「わーい」

「甘いモノ、甘いモノー(はぁと)」









歌ったり、踊ったり、

お花の中で昼寝をしている…

そんなスキンヘッドに羽を生やしたデブ…

フ◯チン。



そうかと思えば、

親指の爪を唇で軽く噛みながら

上目遣いの明らかなカメラ目線を送ってきた…

フルチ◯デブ。



何か、妖精とは一切関係がなさそうな、

爽やかそうにシャワーを浴びるシーンや、

カメラ目線で、人差し指を一本、唇に当てて

せくすぃーに、




「しぃー!」

「内緒だよっ!」




とかやってやがる…

◯ルチンハゲ



しかも、バスタオル一枚の姿で、

ベッドに寝転び…




その脂ぎった肢体、光る頭皮…

色々と無駄にお肉が付いている、

そんな垂れぎみでやんちゃなわがままボディーを包むバスタオルを…

じょじょに…開いて行き…





何かBGMが流れてきた…

未来の世界で腐った海と呼ばれる細菌やカビなんかが繁茂する世界のファンタジーアニメで…

その世界では既に、生物の頂点の座から凋落してしまった人間は、昆虫等の脅威に怯えて生きていて…

女の主人公が少女の頃に、木の洞に匿っていた昆虫を、バレそうになって必死に隠しているそんな回想シーンで流れてくる、無垢な少女の声がひたすらにランラン歌っているあれだ。



























































ずずびしぃいぃいぃいぃいぃいぃいぃいぃいぃっっっっ!!!!!








どんっ!






かいしん の いちげき! ▼





ようせい をぢさん を たおした! ▼




































危なかった。

もう少しでやられる所だった。

紙一重で、勝った。

一撃に賭けた。



こうして、俺の内面で反旗を翻した

クーデター派は消えたのだった。

だが、しかし…



俺の心の中に、

拭いきれぬトラウマと

人に知られたくない黒歴史が

また一つ増えてしまった…
















俺の歴史がまた1ページ…
















よし。

一旦寝るぞ!







疲れた。

今日はもぅ、

なぁーんにもしたくねー。












































꧁˙꒳˙꧂{ようせいをぢさん!



Σ(๑°ㅁ°๑){ナンデスト…!?

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