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ただ、おっさんが夢の中でどっかに旅立ってしまう、世間的には需要が皆無なお話  作者: 加工豚(かこうとん)
【第二章】惑星、恒星、命、輪廻、ヲヂサン、全部回転物です。
46/50

毒を吐きたいお年頃…

さっそく、大腸菌の事を『日和見菌』にジャンル分けする間違いを犯している事に気が付いて文面を修正致しました。


いやぁ…

大分、大分お勉強したから、小説を進めようかなぁ、と思って再開したのですが、やはり、付け焼刃勉強+私のあまり性能が良くない脳ミソだと、抜け落ちている場所が沢山見付かりました。


参考にさんざんお世話になった本の著者さん、永田和宏先生の様には上手く行かないもんですよ。


足らないところは、ファンタジー小説と云う事で…

想像力と架空のお話である、と云うのを生かして、逃げ切るしかありません(笑)




「おーい、(サブ)よ、聞こえっか~?さぁ、俺が手にした知識を受け取るがいい!」



(サブ)のスキル【蛋白質(たんぱくしつ)の記憶】で共有されて、(メイン)から流れ込んで来ていた、訳の分からない単語の奔流(ほんりゅう)に ――訳が判らない単語の奔流なのは、恐らくはネットで検索して調べ上げているそれについて、(メイン)自身が理解し切れていないからなのだろうな、きっと。―― 悪酔いしていた時に、それは不意に起こった。


今までさっぱり(わけ)が分からなかった単語の数々が突如(とつじょ)として有機的(ゆうきてき)に絡まり合って、意味を持ち始めたのだ!

おお…(わか)る、何か、(わか)るぞこれ。

つい先程迄(さきほどまで)は、さっぱり理解が(およ)ばずに、


「いーから日本語で説明しろよテメー、つまりどう云う事だよっ!」


って苛立(いらだ)っていた情報が、みるみる判る、理解が及ぶ様相(ようそう)に早変わり。

これは…さては(メイン)が、調べ上げた資料をあらかた理解したから、(サブ)も理解が及ぶ様になって来たと云う事だろうかな?


だが、おっかしぃな、(メイン)の分身である(サブ)には(メイン)の事が良く判って居る、何にしろ長い付き合いだったのだからな。

(メイン)がこんなに頭脳明晰(ずのうめいせき)である訳が無い!

知識を飲み込んで有機的に結び付ける ――理解が及ぶ―― までに掛かる時間が、早過ぎはしないかこれ?




「お前らの世界で一瞬なのかな?これは。俺の方では約二か月もの時間が流れててさ~、ずっと図書館だとかに通い詰めて、細菌や細胞の食事問題について、調べて猛勉強していたんだよね~、まぁ、俺なりのお勉強だからさ、判るだろ?猛勉強っつってもまぁ、それを他人が見たらば、(ゆる)い自習だよな。合間(あいま)にかなりサボりが入ってるのはお約束だしね~。」




成る程なぁ…自習していたのか。

それなら納得だけれどもさ…


今、(メイン)が、()気無(げな)く、(なん)か重要な事を()ったぞ!


≪俺の方では約二か月もの時間が流れててさ~(ててさぁ~…ってさぁ~…さぁ~…) ←エコー希望≫


おい、それはつまり…


俺の今いるこの世界の中で遭遇した可及的(かきゅうてき)(すみ)やかなる判断が迫られる局面(きょくめん)、例えばそれは、望ましくはないが、不意の戦闘だとかがおこった場合だとかに…(なん)か問題が発生して解決策が()()せないでいる場合、リアルな世界のお(メイン)が、検索して調べ上げて、それについて理解し切って(サブ)にフィードバックする時間が(ほとん)ど一瞬で済む、と云う事じゃないのか!?


つまり、ファミコンだとかのゲーム機でシューティングゲームやってて、敵の弾丸が多い、やべぇ、このまんまだとやられるってタイミングでポーズボタン押して一旦停止させたからの、弾を避ける道筋をじっくりと選び直してからのポーズ解除みたいなもんでさ…




もしかして、それって、すんげぇ、アドバンテージ無い!?

チートってか、ズル技じゃない!?


「えぇ~、俺、お前のピンチの都度(つど)にお勉強するのかよ~っ、それはめんどくせぇ~」


うるせぇ、(メイン)これからさんざ、お前を利用させて貰うからねっ!


「ちくしょう~、だから知らせたくなかったんだよな~、やっちまったぜ、トホホ…」




…今まで隠してやがったのか、こいつめ。

ふんっ!発動せよっ!

【精神攻撃スキル】っ!




「グギャー、馬鹿っ!馬鹿っ!あの頃の俺の馬鹿っ!死ね、死ね!輪廻転生(りんねてんせい)を50回くらい繰り返して、その根本(こんぽん)から構造を変えちまえっ!」




黒歴史でも見ているのだろうな、コイツ(笑)









……



今なら理解出来るし、何か、カウス・フォン・ゲルファウスト、あの元宮廷魔術師の隠者じぃさんが気を利かせて魔術を使って提供してくれた視界、その見え方も今では何だか変化して来ている。

理解が及ぶとは、こう言う、物の見え方すら、変化してしまう物なのだろうな。

カプセル状の身体の形には変化はない。

だが、そのカプセル状の身体の表面全体は、何だかひっじょうに細かい、人間で云ったらば、産毛(うぶげ)みたいなモノでびっちりと覆われて居る。


恐らくは、これが『リポ多糖(たとう)』と云う物だろう。

この産毛(うぶげ)こそが、リポ多糖(たとう)



俺は今、腸炎ビブリオに異世界転生をしていて、その腸炎ビブリオは『グラム陰性菌(いんせいきん)』に分類されている菌である。



グラム陰性菌(いんせいきん)とは、


『その細菌がグラム陽性菌(ようせいきん)に属するのか、或いは、グラム陰性菌(いんせいきん)であるのか』


と言う、細菌の大まかな特徴から、細菌たちの種類を大雑把に二分して分類させる方法で、『陰性である』と判断された菌の事だ。

この分類(ぶんるい)方法は、地球の、人間である、

Christian(クリスチャン)Gram(グラム)と言う名のデンマーク人が考案(こうあん)した、細菌達を顕微鏡(けんびきょう)や何かで見た時に、見易(みや)く、可視化(かしか)させやすくする為に、細菌達を染色物質(せんしょくぶっしつ)色付(いろづ)けした時に大別(たいべつ)された染色結果(せんしょくけっか)から恐らくは出来上がった分類方法である。






【グラム陽性・陰性、判別方法】


     ↓


〈細菌達をガラス板上に固定…〉


ほら、小学生の時にやらなかったか?

理科の実験の時に、ガラスの板、『プレパラート』と呼ばれていたあれの上に、スポイトで、田んぼから採取してきた水やなんかをポタっと一滴垂らして、その垂らした一滴の上から、プレパラートよりももっと小さな、孫プレパラート的な細かいガラスの板を乗っけて、いわば、ガラスとガラスでサンドイッチにした様にしっかりと挟み込んでから、顕微鏡で覗き込むやつ。

ミジンコだとかケンミジンコだとか、ミドリムシだとかを顕微鏡で眺める学習でやった。

あれだな、それをやってから…


     ↓


〈クリスタルバイオレッド(青)を用いて染色〉


     ↓


クリスタルバイオレッドがどの様な物質で、どの様な仕組みでこの物質が細菌達を染色(せんしょく)するものなのか、そこまでは(メイン)は調べ上げなかったらしいが、この物質は細菌達を染色可能な絵具的(えのぐてき)なモノであるのは判るだろう。

この工程(こうてい)で細菌達は青色に染色されるのである。


     ↓


   〈Nal+l2処理〉


     ↓


ヨウ素液(Nal=ヨウ化ナトリウム)をそこに作用させると、菌達の体内でクリスタルバイオレッドとヨウ素の複合体が形成されて分子量が大きくなる。

つまり、分子量が大きくなる事によって、色の元が細菌達の身体から抜けにくくすると云う事かな?

あれか、美術の時間に、木炭で画用紙に描いたデッサン、あれが仕上がった時に、描いた木炭の色がこすれて色が抜けたりしなくなる様に固定させる目的で吹き付けるスプレーあったじゃない。

あれみたいに、定着させる為の工程かな、これは?

正確な所は判らない。

まぁ、(メイン)(にかわ)付け焼刃(やきば)的なお勉強ではわざわざ調べなかった部分なのだろうな。


     ↓


  〈アルコールで洗浄〉


     ↓


これは脱色(だっしょく)の目的でやるらしい。

アルコールで、細胞壁(さいぼうへき)損傷(そんしょう)を受けて、薄い細胞壁しか持たない種類の菌は体内に形成されたクリスタルバイオレッドヨウ素複合液体が体外に流出する。

これに対して、細胞壁が分厚い細菌達は、少々のアルコール程度は防ぎ切って複合染色液の流出は起らない。

なので、細胞壁の分厚い菌の仲間達は青色に、細胞壁の装甲が薄い菌の仲間達はここで色が抜けてしまい、無色になる。


     ↓


〈サフラニンorパイフェル液で染色〉


この段階で、無色となった細胞壁の薄い種類の細菌達が赤色に染色される。

まぁ、赤い絵の具的なモノだなぁ。






…こうやって青色と赤色の二種類に染色された細菌達、青色に染まった細菌達を、『グラム陽性菌(ようせいきん)』と呼び、一旦着色された青色がアルコール洗浄によって脱色されてまた無色になってからの、そっから更に赤色に染色された細菌達を『グラム陰性菌(いんせいきん)』と呼ぶそうなのだ。


つまり、グラム陰性菌(いんせいきん)達はアルコールで脱色され、グラム陽性菌(ようせいきん)達はアルコールでは脱色されないのだ。


これは恐らくは細胞壁の分厚さが分厚いか、分厚くないかでアルコールを防ぎ切る事が出来るのか出来ないのかの違いで、考えて見れば、病院やなんかでは良く殺菌だとか言って、注射の前に布にアルコールを染み込ませて注射を打つ部分を(こす)る。

それなんかは、アルコールが弱点のグラム陰性菌(いんせいきん)を殺菌する効果が有るのだろうなぁ…でもさ、グラム陽性菌(ようせいきん)達は生き残っちゃうんじゃぁないのだろうかな、それだとさ?

まぁ、俺のこんな疑問に関して、明確なる答えが頭の中に入って居ないと云う事は、その辺は(メイン)のお勉強の範囲外だったと云う事だよな。





細胞壁の装甲が薄くて、アルコールに弱い、そんなグラム陰性菌達(いんせいきんたち)にはけれども、グラム陽性菌達(ようせいきんたち)とは違った強みがあって、陽性菌達が持っていないモノがある。


外膜(がいまく)」と言う奴である。


陰性菌達は、細胞壁が薄くてひ弱い分、細胞壁の更に外側に、この「外膜(がいまく)」と言う外壁(がいへき)を持っているのである。

これは例えば家屋(かおく)に例えたならば、陰性菌達(いんせいきんたち)の場合、庭が有って、それを「外膜(がいまく)」と言う名の塀で囲っているのである。その分、家を構成している壁は薄いのかな、そんなイメージ。


これに対して、人間の家屋(かおく)に例えたなら…陽性菌達(ようせいきんたち)の身体は、家全体(いえぜんたい)分厚(ぶあつ)い壁に囲まれてはいるけれども、扉さえ開けてしまえばもう、そこはダイレクトに体内(なかみ)なのだ。


あれだ、後で説明するが、陽性菌達(ようせいきんたち)細胞壁(さいぼうへき)分厚(ぶあつ)さは、陰性菌達(いんせいきんたち)細胞壁(さいぼうへき)の厚さと比べてしまうと、まぁまぁ、ミクロの世界であるから、人間から見たらば等しく(びび)々たるモノだとは思うのだが、こうして細菌に転生してしまった俺からの視点で見てみるとさ、これはもぅ、圧倒的であると言って良い位に分厚い。


家屋(かおく)に例えたけれども、グラム陽性菌(ようせいきん)の細胞壁の分厚さは、これは(いえ)ってか、ちょっとした要塞(ようさい)といっても良い。

第二次世界対戦だとかでさ、要塞、トーチカやらブンカーやら、あったろ?

コンクリートが数メートル規模で覆っている分厚い壁、250kg爆弾だとか落とされてもそう簡単には降参しない要塞(ようさい)…グラム陽性菌達(ようせいきんたち)細胞壁(さいぼうへき)は、いわば、家ってか、要塞(ようさい)さながらだ。





ざっくり、陽性菌と陰性菌の特徴を比べれば、


グラム陽性菌…外膜無し、細胞壁、超分厚い重戦車装甲で、要塞で、その分厚さは250nm nm(ナノメートル)は、mm(ミリ)に直すと、0,00025mm、アルコールに強い。


グラム陰性菌…外壁有る、細胞壁、超薄い紙装甲軽戦車で、一般家屋で、その紙っぺらさは8nm、0,000008mm、アルコールで殺菌されがち。




そんな感じ。

マジかー、俺、アルコールで殺菌されちまうんだー

酒、飲めねぇーんだー…

ちょっとショック。





まぁ、まぁ、大分、話が逸れはしたのだが…

つまり、俺は今現在、『グラム陰性菌(いんせいきん)』の仲間達に属している腸炎ビブリオである、と云う事であるな。

細胞壁、薄いらしいよ。

その代わりに、外膜(がいまく)があるらしーよ。


そして、細菌の身体に転生したこの俺の、カプセル状の体表一面(たいひょういちめん)ににびっしりと生えているこの産毛(うぶげ)に似ているリポ多糖(たとう)、これは、グラム陰性菌達(いんせいきんたち)が持っているモノで、人間にとっては内毒素(ないどくそ)となる。


内毒素は、エンドトキシンとも呼ばれている。


内毒素=エンドトキシンは…

宿主(やどぬし)つまり、今の場合だと、俺はどうやら、異世界中世ファンタジーのモンスターの定番の内の一種であるオーガの体内にどうやら今現在存在(いまげんざいそんざい)しているらしいから、このオーガがこれに当たる。


オーガ=宿主

俺=寄生生物


グラム陰性菌が持っている、リポ多糖/この産毛は、宿主/オーガにとっては、内毒素/エンドトキシンであり、この産毛状(うぶげじょう)のリポ多糖は、毒物になりうるのである。


でもさ、ここで()って、今現在の俺のステータスを思い出して見ようか…






《ステータス・オープン》





【名前】  ヲヂサン


【レベル】  1


【種族】腸炎ビブリオ(非病原性)<憑依>


    ガイスト(人間基)


    《種族ランク ロイテナント》






【種族】腸炎ビブリオ(非病原性) ←ここ!






う~ん…

つまりは、病原性は無い。

病原性は無いにも関わらず、内毒素/エンドトキシンなんて、御大層な名前の 産毛(うぶげ)/リポ多糖…

これは一体どういう事かと云えばこれは、恐らくは、(メイン)が必死こいて頭に詰め込んだらしいお勉強の成果が頭の中に流れ込んで来たので、これは判る。


グラム陰性菌の外膜(がいまく)の外側をびっしりと覆っているのが、さっき言った産毛(うぶげ)みたいなリポ多糖質(たとうしつ)な訳なのだが、この産毛みたいなリポ多糖達の、そのより先端に近い部分は、『O-抗原(こうげん)』と呼ばれている。

ほら、人間社会で一時期、ニュースで取り上げられた、O-157って言葉を知らないかね?




別名、病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)、O-157の事だよ。

大腸菌(だいちょうきん)って奴はさ、人間の腸内に普通に存在して、実は人間には作り出す事が出来ない栄養素(えいようそ)である、ビタミンKを作り出したりして、ある意味、人間を助ける働きもしている腸内細菌の一種で、善玉菌(ぜんだまきん)悪玉菌(あくだまきん)日和見菌(ひよりみきん)って人間の都合(つごう)によってそうやって種類を大まかに分類されたルールの中では、悪玉菌(あくだまきん)分類(ぶんるい)させられている菌だ。


悪玉菌(あくだまきん)に属する細菌達は、宿主/人間 にとって、一応は害が有る種類の細菌達のグループである。


腸内で善玉菌(ぜんだまきん)達と常に腸内の領域の土地を奪い合っているのが、善玉菌(ぜんだまきん)悪玉菌(あくだまきん)達との関係だったかな。

戦国時代に、強い大名(ぜんだまきん)と強い大名(あくだまきん)に(さは)まれて、その都度(つど)、強い方の味方をして節操(せっそう)なく寝返っちゃう地方の弱小勢力(じゃくしょうせいりょく)豪族的(ごうぞくてき)な立ち位置として、日和見菌(ひよりみきん)なんて勢力もあったりするらしい。


まぁ、この『善玉菌(ぜんだまきん)』『悪玉菌(あくだまきん)』『日和見菌(ひよりみきん)』達の腸内に()ける構成比率(こうせいひりつ)は、健康な成人を参考(さんこう)にすると 善20:悪10:日70 らしいので、一応(いちおう)地方の弱小豪族的(じゃくしょうごうぞくてき)()位置(いち)日和見菌達(ひよりみきんたち)構成比率的(こうせいひりつてき)にはむしろ主力となっている。

有名な戦国大名たちだって、その勢力の中に多くの地方豪族達のを取り込んでいるし、そうして当てはめて考えて見れば、(ますま)(すも)って腸内細菌達が戦国時代の有象無象(うぞうむぞう)な大名・豪族達に見えて来る気がしてこないだろうかな?


そんな悪玉菌(あくだまきん)に分類されている大腸菌(だいちょうきん)の中で(さら)に細かくタイプ・種類分(しゅるいわ)けされた内の一種(いっしゅ)が、病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)O-157だったりする。

この病原性大腸菌O-157なんかは、人間の都合によるジャンル分けでは、悪玉菌(あくだまきん)の仲間に入っている菌だ。

名前と人間達に対する毒性の強さから判断するとこいつ等なんかは悪玉菌(あくだまきん)(がわ)の、さぞかし()周辺諸国(しゅうへんしょこく)(ひび)(わた)り、日和見菌達(ひよりみきんたち)地方豪族達(ちほうごうぞくたち)からは畏怖(いふ)されている、そんな強い戦国大名(せんごくだいみょう)を連想してしまう。




この、病原性大腸菌O-157の名前にちょっと注目して見ようか。

O-157の部分だ。


O-157の『O』これが何を意味するかと云えば…

グラム陰性菌(いんせいきん)細菌達(さいきんたち)宿主(たどぬし)に対して 内毒素(ないどくそ)/エンドトキシン としての働きをもたらす物質、『抗原(こうげん)』の、そのどのタイプの抗原であるのかを『O/抗原(こうげん)の種類』として表している。


(うえ)()べた(よう)に、この『抗原(こうげん)』には、何種類かあって、例えばそれは…



K抗原(カーこうげん)…グラム陰性菌達(いんせいきんたち)莢膜(きょうまく)

F抗原…グラム陰性菌達の細網(さいもう)

H抗原…グラム陰性菌達の鞭毛(べんもう)

O抗原…グラム陰性菌達の外膜(がいまく)のリポ多糖質(たとうしつ)



等の、いわば、グラム陰性菌達の身体そのものの一部が、宿主にとっては 内毒素(ないどくそ)/エンドトキシン と()()る訳で、このO-157の『O』の場合は、つまりはこの、『リポ多糖』の事であり、O-157の後半の『157』は、その、リポ多糖質(たとうしつ)の種類を表している。


グラム陰性菌の仲間である大腸菌の外膜の外側にびっしりと細かく生えているこの リポ多糖質(たとうしつ)/産毛(うぶげ) には実は170種類程(しゅるいほど)沢山(たくさん)の種類が有って、それぞれに構造が違っているのである。

金髪だとか、茶髪だとか、黒髪だとかパーマだとか、ソバージュだとかドレットヘアだとか…髪質、髪型の個性的な種類が170くらいは有ると云う事を想像してくれれればそれに近いイメージだろうか。


つまり、病原性大腸菌O-157は、大腸菌の外膜全体(がいまくぜんたい)をみっちりと包んでいる リポ多糖質/産毛/髪質/髪型/ のタイプが157番の型番(かたばん)のタイプ、そんな リポ多糖/産毛/髪質/髪型 を持った大腸菌、と云う事を表している。


O-157の 毒素/エンドトキシン は 宿主/人間 にとっては、それは強烈な毒素を持っているらしく、有害で有るのだが、このO抗原の別の番号の 産毛(うぶげ)/髪質(かみしつ)/髪型(かみがた)/リポ多糖(たとう) が全て、このO-157と同じ様に、宿主/人間 にとって明らかなる有害をもたらしている、と云う訳では無くて、むしろ、別の「O抗原」の中には、わざと人間の体に取り込んで、アレルギーが起こるのを防ぐ為に人間達が利用して、いわば、薬みたいに利用されているものもある。


つまり、腸炎ビブリオに転生した今現在のこの俺の状態は、(さき)の大腸菌で述べたのと同じように、この体表面にびっちりと生えている産毛(うぶげ)みたいなリポ多糖質、その種類が、別段、宿主にとって有害と成り得る可能性が無い、そんな毒を持たないタイプの 産毛/髪質/髪型/リポ多糖 の型番を持っている 腸炎ビブリオ/グラム陰性菌 だと云う事である。


ちぇ、何だか残念な気がするぜ…

毒を吐いてみたいのだぜ。



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