ゲーテが云っていたよね、「我々は互いに誤解し合う、つまりはこれこそが運命だ」ってさ。
お盆に幽霊のお話をするタイムリーさ(笑)
偶然なんですけれどもねぇー。
余談ですが、終戦記念日だから…それっぽいテーマでって、ついこないだ、作曲・編曲担当、歌い担当、歌詞担当に分かれて、私は歌詞担当で、ネットのチャットだけのやり取りで、お互いに一切メールだとか、電話番号だとか知らない間柄で、一曲作ってみました、楽しかったですし、時代は進んできて、そういう時代になったのだなぁ、と、自覚いたしましたよ。
【side・駄女神】
あぁーし、やるっすよぉー、大口、手に入れるっすぅー、…だって魂のB値93だとか、美味しすぎるっしょ、あの男子ショタ子、高いよなー、何やったらあーなるんすかぁ~?
見た限り、血縁かな、あの二人ぃー。
年上の方は…イケメン女子かぁー。
あぁーしぃー、タイプだわぁ~。
ぎゃははっ!
二人ともタイプど真ん中高めな感じぃ~。
バット長く持って葬らん!
どらどら…こぉーゆぅー時に、女神って便利っすよねぇーって、痛感しますわー、だって裏パラだとか、見放題じゃないっすか~…ほぉほぉ、やっぱ姉弟みたいっすね~。
弟くんが93でぇー、おねーちゃんの70も先ず先ずは良い値を叩き出してるっすよねー、B値、…系統樹から更に、幹枝に分け入り、葉…を見ると…どうやらおねーちゃんと…その弟で間違いないみたいっすー。
よっ!
このぉー、当たり判定姉弟、AAAのお肉みたいに、心ん中でまさに太鼓判押すかんじぃー、おねーちゃんの方はぁ~、お尻に焼き印ジュー!弟くんの方はぁ~、背中にジュー、かなぁ~…苦悶に満ちた表情で呻いて、そこぉーあぁーしが手厚く看病するふりをしつつ、わざと傷口に触るんすよぉー。
やぁー、ヤバイっすぅー、何か濡れてくるかもっすねぇ…、下半身の唾液ダラダラっすよぉ~、たまらんっすねー!…って、いけねぇーっしょ、仕事は一応ぉーきっちりやらねぇーと駄目っしょ。
まぁ、裏パラのこの値が高いのは大体は「当たり」で間違いない、今までもそうだったし…この「裏パラ」ってぇーやつはねぇー、あぁーしら女神クラスとかじゃないと見えないんっすよねぇー、B値=輝度値っすよ、魂の純粋さ、かなー。
ふっふっふ、あの姉弟に比べたら、さっきの中年ハゲの精神体とか、よごれつちまつた悲しみに…ってーやつでねぇー、B値クソっすよクソ、話になんいっしょ実際、兎に角、上の世界だとB値を重要視しているらしいんすよねぇー。
まぁ、あぁ~しには詳しくは判らねぇ~っすよ、そんなもん。
あぁ~しには関係ねぇ~っすよ~♪大口を手に入れたら沢山「アレ」が貰えるんすからぁ~♪その事実だけで充分動機はあるんっすよねぇ~。
B値が高いのを勇者候補生にすると、何か上司からの評価上がるし、アタシにも美味しいの貰えるんすよねぇ~、だから、断然、頑張るっすよぉー!
…
……
………
【side三ノ宮貭典】
三ノ宮貭典は現在、この異世界に来る前、
──それはつい先程まで己がその存在と云う名前の籍を置いていた場所、つまりは──
…地球の日本で生活して居た頃から彼が屡々遭遇し、彼自身を悩ませていたとある事象に今現在、遭遇してしまっていた。
その事象とは、つまりは「霊体」との遭遇である。
それを始めて見始めたのは何時だったろうか、と、彼はその記憶を手繰ろうと無意識に海馬の旅を始めた…
たしかあれは…幼い頃の或る日、それはお盆の季節であり、三ノ宮家の親戚のとある一家が遊びに来た時で、他の家族全員が階下にて宴を行っており、クーラーをつけても尚暑苦しく思えるような熱気と、歓談の声に満ちたそんな最中にいるなかで、彼にはそれが何だか少し疲れてしまっており、彼はトイレへと向かってから…
1階の喧騒とは全く関係が無いかの如くに振る舞っている異世界、2階へと向かう階段の静寂感にふと魅せられ、その幼い好奇心を拠り所として2階を探索してみよう、と、彼は階段を登り始める…
恐らくはこの時点で「魔」の存在は彼を誘っていたのであり、彼はその術中を受けてしまい「霊的世界」への扉をあけてしまったのである。
2階は矢張り、先程に階段が見せてくれた如く、静寂感の飽和した世界となっており、時々1階から漏れ聞こえてくる宴会の歓声、それが却ってこの2階の静寂を引き立たせているかのようだった、宛らそれは、「スイカに振り掛けた塩」と云った風情であろうか、下から漏れてくる歓声が無い時は、まるで静かすぎて、逆に耳の中にえも言われぬ静寂達が主張しあって、却ってざわめいているかの様であり、耳朶の奥にむず痒さを感じる程の、それは静寂の世界であった。
まるで、「魔に魅入られた」かの様なそんな彼の冒険の行く末…それは、押し入れの隙間から此方を覗く気配、…目には見えないが、確かにそこに存在している気配…幼き彼にはそれはとても怖くて、だがしかし、好奇心も確かに存在しており、彼が思い切ってその押し入れの扉を明けやると…
…
……
………
どうやらぼくは夢を見ていた様だった、先程のは真昼の自宅の夢…そうして気が付く、ぼくが見ていた夢と同じ場所にて、ぼくは就寝についていたのであり、今はお盆で、親戚が遊びに来ており、そんな親戚の子供たちの中に、今思うと「誰も知らない女の子」が居て、昼間にそんな彼女と遊んでいたのだった、彼女は誰だったのかなぁ、お布団だって、彼女の分は敷かれていなかったしな、と…
幼かったこれはその当時の彼の声である。
親戚の子供たちは貭典と同じ部屋の中で、今やすっかりと夢の世界へと旅立っている様であり、豆電球越しの視界には、蒸せるようで野暮な臭いを放つ蚊取り線香が、開放されて網戸一枚だけにされた窓の枠のレール上に置かれており、それは豆電球と似通った朱くてポテっとした遠赤外線を小さく発しながら緩やかで豊かな煙を燻らせており、視界を変えると、つい先程に夢に見たのと同じ押し入れの隙間が見えて…その場所、押し入れの隙間からは夢と同じように、此方を伺う気配がしており、そこで不意に…痺れたように動かなくなる。
──現在の貭典にはすっかりと慣れてしまったその感覚、「金縛り」は、今思えばその時がきっと、初体験であったろうか?──
首が、いや、身体中動かずに、視界がロックされた中で、押し入れの方向をぼくの否応とまったく関係無しに見続けさせられている…
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい…
押し入れの、あの真っ白な引き戸は、今や豆電球の心許ない光を浴びて、仄暗くて、そして朱色だ、そこへ、その場所へ、真っ白くて暗く朱い引き戸…まるで五匹の黒くて小さな蛇が這い寄る様にして、あの形は五本の指だろうか…
それがニュルリ、ニュルリと…黒が引き戸の白い朱を侵食するみたいにして延びてきて、やがて、もはや疑いの無い「手」を形作り、それが引き戸を開けて来ている、内側から。
押し入れの隙間がゆっくりと開いて来たのだ!
そうやって現れた黒い塊…それは次第とあの、昼間に見た、そして遊んだ「誰も知らない女の子」の像を結んで行き、着物を着た、おかっぱ頭の長髪の少女の輪郭までが、やがて、はっきりとしたものとなり、その闇夜より尚も深い双眸にて、
──此方を見ているのだろうか?暗すぎて彼には判らなかった。──
黙り込み、そうしてから、整った唇を開いて…
──彼にはその言葉の意味は未だに判らない、判らないのだが、余りの恐怖故に、その彼女の言葉を幼い脳味噌のネガに焼き付けてしまったのである。──
「せんかたなさにこわきことなどさんせぬか」
おかっぱ頭の少女からは考えられないようなしわがれた老婆の声でもあるかのような声を聴いた時に…幼き彼の脳味噌の保護回路がその過剰なる電流値に対して危険と判断したものなのか、以降、彼はすっかりと意識を失い、そうして目覚めれば普段と似たような朝を向かえる事になる、いや、やがて彼は知る事となるが、彼にはその日から普段は普段では無くなって仕舞っているのではあるのだが。
…
……
………
その朝を起点として、彼には「見える力」が備わって仕舞うのであった。
或る場合に於いてはただ只管に彼に向かって怒号を上げ続ける、怒りに満ちた男性の姿が1ヶ月、彼の枕元の直ぐ側に四六時中存在していたり、また或る場合に於いては、遠距離から見ても明らかに血まみれだと判る位に真っ赤な女と街中で不意に視線が合ったかと思うと、そのたった先程までは30m位はあった彼と彼女との距離が瞬きの内に1mの距離になっていて、
「私が見えている?」
と、話し掛けて来た事を切っ掛けとして、それから暫くの間、日々の生活の中で、…それは例えば通学中、授業中、休日の散歩中…先程の彼女が唐突に現れては、彼に向かって…
「ねぇ、見えているんでしょ?」
「見えないふりをしているの?」
と、話し掛けて来たり。
彼は、何か魂の本能的な領域で、「霊に話し掛けてはならない」と、その直感を信じて、一切彼女に応じて答えを返すことは無かったのだが。
三ノ宮貭典、彼はだから、「霊と視線を合わせてしまうと言う危険性」を知っており、普段ならきっとその霊体を凝視し続ける事など、有り得ないのである。
その理由としては、大体は霊達は、貭典が「見ている」事に気が付くと、凡そ面倒臭い、先程述べたような「変なアピール」をするのであるから、貭典にとっては、その「アピール」の数々が、「たまったものでは無い」「面倒臭い」出来事に該当する故である。
では何故そんな三ノ(の)宮貭典は、霊体を今現在に於いて凝視しているのだろうか?
それは恐らくは、明らかに普通の霊体とは違って、精神が壊れたかのように同じ事を繰り返したり、意味不明な言辞で以って彼に語り掛け続けたり、明らかに見た目が崩れていたり、血塗れであったり、そんな風な、普段彼が遭遇してきた「面倒くさい・関わり合いにはなりたくはない」類の霊体とは一線を画した様な、そう、たまに彼が廃墟巡りの中で出会う様な、その類の「知性が人間の領域を保っている」感じの霊体であるからだろうか。
この類、即ち「知性が人間の領域を保っている」霊との遭遇は実は彼は嫌いではなかったのである。
元々が浮世離れしてしまっている感性を持ち、そして厭世感に包まれていて、共感性が無い事を他人に対しては隠すように生きている三ノ宮貭典にとっては、その類の霊体との会話は、何も気負う事無く、偽る事無く、自然で、本音で、肩の力を抜いて話せる相手だからである。
「ちょっとこの状況について、あのおっさん霊と話してみたいなぁ。」
彼はその様に思って彼を凝視していたのだが、女神だと名乗るその女性が、自分を含めて五人へと何か
話がある様であり、一旦はそれを諦める事にしたのだった。
…
……
………
【sideウィリアム・ウォーディセン陣営】
…んだあの学生風の小僧。
な~にさっきからいっちょ前にこっちにガン垂れてんだコノヤロー!
ぼっさぼさの髪型しやがってよぉ、ダサ坊がよぉ!
…何か腹立つなぁ。
殺っちゃおうかなぁ、あぁ?おら!
三ノ宮貭典の視線のその意味をその様に履き違えたウィリアム・ウォーディセン事、ヲヂサンは、彼をサングラス越しに睨み返しつつ、胸中ではその昔の一時期、彼が大変にやんちゃで血の気が多かった学生時代の頃に似た感情と喧嘩の血を滾らせてしまっていたのである…
それは入学式等、心機一転の新しい場面に於いて新しい人間関係に囲まれた時にありがちな、大変にやんちゃな人々が屡々やる判りやすい奴、それに近い感情である。
それは恐らくは持って生まれてしまった「血だとか性格だとか」に起因してしまうのであろうか?
不良漫画とかでお馴染みの、入学式で、または転校生がやって来て、またまた、偶々通学に使う電車やバスの中で…他校の生徒とお互いの視線が絡み合い、そしてタイミングを見計らってその相手に近づいてからの…
「おぅごるぁ、にぃーちゃんよ、ちっと話、あんだけどもよぉー…」だとか
「おめー、次の駅で降りろや」だとか
「よぉ、新入り、俺が教育してやっから、今からトイレ付き合えや」だとかのあれである。
馬鹿な中年ヲヂサンはその様な勘違いを彼に対して抱いてしまっていた…
…
……
………
【sideウィリアム・ウォーディセン陣営隷下】
ヲヂサンと三ノ宮貭典との間に於いて、偉大なる文学者であり、また作詞家であり、詩人でもあり、哲学者であったゲーテ、その彼の言葉の一片…
「我々は互いに誤解し合う、つまりはこれこそが運命だ」
と言うその言葉の命題に例えるにしては、些か器が小さすぎて情けない誤解が発生していたその頃…
ヲヂサンこと、ウィリアム・ウォーディセンの精神の内部に存在している分隊の中で、「武闘派」と彼から呼ばれて居る分隊メンバーの内の一人の、更にそんな武闘派を補佐している彼の右腕…組事務所の若頭補佐こと、安田安兵衛が、彼から離れて行動出来て、更には契約書類関係に詳しいと云う理由で偵察任務への白羽の矢がプスリと刺さった時に、同時にその契約書類に施されているであろう筈の魔術の術式…その種類や目的を分析する役割を嘱望され、安田安兵衛と云う『船』に対して、自身は彼内部から離れられない故に、安田安兵衛に対して『視界とヤスベエに指示を出す為の意志だけを乗船』させ、書面に施されているであろう術式の分析任務に就いた、彼のスキル【蛋白質の記憶】により、緊急避難の為に吸収されている状態の元宮廷魔術師、カウス・フォン・ゲルファウスト、その二人の組み合わせは、現在の所、惑星コルネリウスの管理者兼女神を自称するナタリアと、この場所へと転移してきた五人の集団の合計六人のナタリア側の背後から様子を伺っている。
《ご老人、この位置であれば問題はありやせんですかいっ?》
《おぉ、ヤスベエ、ベストな位置取りじゃ、大儀、大儀。》
《早速と、会話一部始終と、書類のチェックを始めましょうや、ご老人。》
《うむ、ヤスベエよ、ワシは書式に掛けられておる術式の解明を優先するからのぅ、お主は書類の中の、「騙す意図」のチェックじゃ、ぬかるで無いぞ。》
《合点しょうち致しやした。》
…
……
………
【side・駄女神&転移五人組】
「それでは、改めまして…初めまして、私、あなた方様五名が今後、転移、または転生する事になります、惑星『コルネリウス』を管理致します、女神『ナタリア』と申します、以後、お見知りおき下さい。」
すまし顔でナタリアがそう云い、何か軽く手を振るう所作をさり気無く行った。
すると五名が各々腰かけている席に相対したカウンターにそれぞれ五つ、茶を飲む器が現れて、虚空にはティーポットだろうか、それが浮かび上がっており、ナタリアの次の軽い所作に応じて、そのティーポットがナタリアから見て右側から順に五つのカップに茶を注いでゆく…
「その件について、少し話して置きたい事があるのですが、ナタリアさん。」
他の四名、その誰もが迷ったように女神、ナタリアのそんな挙動の前に様子見をしているそのタイミングで、話の先陣を切ったのは四季石晴那である。
「私とこの弟…後はこの、彼ですが、我々は、偶然の事故によって、出現した魔法陣に囚われてしまい、この様な場所へと来てしまいました。」
晴那は『この弟』のくだりではその視線を四季石泰孫の方へと巡らせ、そして『この、彼』の部分では三ノ宮貭典の方向に軽く視線を巡らせた後、は終始ナタリアの方を向き話している。
彼女の胸中は即ちこうである、私も最近の『ラノベ』だとか『異世界転移・異世界転生』とやらに通暁してはいないので確信は無いのであるが、少なくとも、今のこの私と云う存在は『小説の中の一人物』等ではなくて、確かに実在している。
私は社会や他人と関わってそれに影響される範囲の以外では殆どの場合に於いては私の行動の主人は私自身であり、私の後方に私以外の見えぬ存在があって、私の行動を裏から不可視の糸で以って操っている等と云う事は無い、つまりは社会や他人に影響される以外の面に於いては『私は私』であるのだ、だから今現在起こっているこの一連の出来事は『お話・小説・映画・漫画』等の『創作物』ではなく、つまりは、『お話の展開を盛り上げる事が必要』等と云う事もあるまい、今私たちが地球へ戻ったとしても、視聴者または読者も居らぬのであれば、『今現在、このお話を練っている創作者』等も居らず、『話が盛り上がらないから』と云った理由によってそれが不可能になると云う事も無い筈であって、ここでこの恐らくは私たちを転移魔法によって呼び寄せたであろう女神本人へ素直に事情を話して上手く交渉すれば、それが上手く行けば、或いは私たちは地球へと難無く帰れるのではないだろうかな、と。
しかしながら、彼女のまず常識的と云っても良いこの思考アルゴリズムから演繹された解答は、女神・ナタリアの次の言葉で虚しく霧散して行く事となる。
「残念ながら、先程皆さま方に起こった『転移』と言う事象は不可逆であり、零れたミルクを元に戻す事は叶わないのです。」
( ᯣωᯣ )ジィー…
\(*°д°)ノクソガキャァー、ワレ何ガン垂れかましてんだごるぁー!




