ようやく伏線を回収し切ったと思ったら、新しく作っちゃった。
えーと…
特に誤字とかなかったら、第一章、チュートリアル編、これにて終了です。
読んでくれて、有難うございます。
【side名前の無い者】
この物語の主人公、ウィリアム・ウォーディセンなる人物が超新星爆発に対し計り知れぬ魔力を用いて対抗してそれが果たされたすこしだけ後の頃合いにて、別の場所…
──とある「特異点」と呼ばれている其処では、その祭壇の中の更に奥──
…何時であったか、嘗てとある恒星であった一柱が、『禁裏』と呼んでいた場所に於いて、一脚の椅子に座り眠り続けるうら若い乙女の姿と、そんな乙女よりも、まだずっと若い、日本人形の様な艶やかな黒髪と髪型をした、しかしながらそんな相貌と相反したどろりと官能に酔った様な凄まじい色香が漂うかの様な仄暗い黒い瞳を纏わせた女の子が、眠り続けている乙女の傍らに於いて、確かそこは祭壇の奥である、つまりは何らかの建物の内部であるにも関わらず、地平線が果てしなく視界に広がる、そんな緩やかなる山頂にて、これも果てしなく広がるそんな星空の元に、その星達をじっと眺めているのであった。
女の子は夜空の星に、一つ明るくて大きな星が突然とその輝きを更に目映くした後に消える姿を見て、続いてそれよりも小さな一つの流れ星、更にそれよりも小さな3つの流れ星、更に更にそれよりも小さな3つの流れ星…それらが連続して流れた事を見やると、その美しい頤を想起させる、それを覆っている真っ白で無垢な薄い皮膚をムニムニと動かして、それはどうやら、喜色の為にそうやっていたらしく、やがて美しく整った紅色の、ぽってりとはしているのだが分厚過ぎない感じの上下の唇を動かして一人ごちた。
周りには他には誰も居ない、いや、一脚の椅子に座ったまま眠り続けるうら若い乙女が居るのではあるのだが…それはそうするともしかして、この眠る乙女に語り掛けている言葉なのであろうか?
うん。
やるねー、おじさんやー。
惑星回収、3つの月も回収、生き残り三体回収…
完璧じゃぁーないか!
惑星ちゃん、激怒していたけれどもねぇ、あれは最上の結果だよ、そこ、判っているのかぃ?
椅子に座ったまんま、眠っている惑星ちゃん、それに近付いて、脇腹コショコショ。
はっはっは、苦しかろう、今頃悪夢にうなされているだろう。
…何でその椅子に座っちゃったかなー。
もう。
私の仕事が無くなってしまうじゃないか。
まぁでも、思えば、アナウンス仕事って退屈だったからいーんだけれどもねー。
おじさん、グルグルー。
コーヒーカップみたいに楕円形回転しながら自身は高速回転。
もうすぐ戻って来るねー。
はーい、回収♪
此処は特異点。
時間の無い場所だからねー。
こうして意識して追って見ると、その人間の運命、現在・過去・未来…
全て見えちゃうのさ。
だけどもね、人生はホログラムなんかじゃない。
未来が決まっているのなら、惰性で生きたって良いじゃないか?
いやいや。
そうではないのさ。
そら、帰って来た。
お出迎えしないとねー。
…
……
………
目覚めると、二回目…
──いや、ふて寝があるから三回目だな──
の見慣れつつある天井だった。
横を見ると、魔法陣の上に寝そべっているのが判る。
一回目と同じだ。
景色も同じ。
世界よ、お早う。
俺のお目覚めである。
苦しゅう無い。
そのまま、楽に致せ。
余は寛大である。
《此処は、何処なのだ!?かの恐ろし気な黒い穴を抜けた先が…斯様な場所へ通じておるとは。》と、国王。
《お主の知識から察するに、これこそが恒星の終焉の先なのじゃな。お主よ、此処は…此処こそが、黄泉の国だとでも云うのかのぅ?》と、隠者。
《あの金属を組み合わせたベルトを回転させ、地面と接する事で動力とするのか…》ドワーフは戦車の思考に未だ囚われている様である。
そうだったな。
このじじぃ三人は此処の事を理解して居ないのだった。
スキル、【蛋白質の記憶】の情報公開範囲を広げた。
緊急でこいつ等を取り込んだ際に、それは決めていた。
スキル、「蛋白質の記憶」にて三人の魂を回収した際に此方に流れ込んで来た彼等の詳しい情報、思想、思考、指向、嗜好…総合して見るに、感じるに、こいつ等は、ちゃんとしたまっとうな奴等だった。
与えられた知識を用いて、己の恣意の儘に、欲望のままに血の道を切り開くなんて事はしないだろう。
しかし、ドワーフ王よ、お前、棒投げたら走って追いかける犬みたいだぞ、まっしぐらだな、ある意味、興味の対象となったものにまっしぐらな俺と、そんな俺達と似ているのだが、少し違うのは、俺達の脳味噌はとても残念スペックなんだけどもな、主に前頭葉皮質が。
まぁ、俺だってこの場所は詳しくは判らないのだが、知っている情報は三人に公開することにしようか、俺は現実世界の俺の意識体の一部分である、と云う事、現実世界の俺が或る日、宇宙について妄想していて、その妄想に視界を提供するために、俺がブラックホールの前面に立って俺に視界を提供していたら、奴が俺を実験台として、事故に見せ掛け、芝居まで演じてブラックホールへと落とした事、ブラックホールに落ちたら、俺も説明出来ないこの場所に来ていた事、そしてこの場所で多分、恐らくは太陽神──恒星フレイア様?それなんかよりも恐らくはずっとランクが高そうなヤバくて怪しい『声だけ聞こえてくる変な奴』の導きによって、あの惑星へと赴いた事、今現在、俺よりもむしろ俺がこの世界では本体みたいになっていて、現実世界の俺が俺の『視界前面担当』と云うポストに就いて、何だかちょっと、いや、かなり、『主と副の関係が捻じれた状態』となっている事……
《ふむ…其方は差し詰め、星の旅人よのぅ。その旅路、私も相伴に与らせて貰いたいものよ。》
と、人間族、フェルディナンド王国国王であるフェルディナント・ディ・ザイモス三世。
王様、あれだろ?
けっこーそーゆー刺激とかに飢えてんだろ?
判るぞー、退屈そうだもんなー、王様とか。
蛋白質の記憶を使って触れた時に流れ込んできた思い、隠者とドワーフの自由さに嫉妬していたしな。
《何とものぅ。お主、物凄い奴じゃのぅ。わしの見聞を広げるには、お主にぴったりと花粉の様にくっついておると、楽かもしれん。》
元宮廷魔術師、引退後は隠者のじーさん。
カウス・フォン・ゲルファウスト。
なんだ?
スリップストリーム戦術か?
F1で、セナの後ろでプレッシャーかけるプロストの立ち位置?
《あれは鍛造では難しいぞ。砂型を作って鋳造するのか…それで組み合わせてはどうか…》
ドワーフの王様よ…
ザイグーヌ・ファテマハト。
あんた、ぶれないよな。
もう俺、掛ける言葉が見付からないわ。
俺の分隊、武闘派、オカマ、野球、ヒッキー、俺は既に情報を共有化しているので特にその類の混乱は見られ無い。
武闘派は俺の脳内の町内会に存在している組事務所に籠ってDVD見てるし、構成員達は麻雀屋に行ったり、中華屋行ったりしているようだ、取り立てドサ周りやっている奴等も居るようである。
オカマは、今は寝ている。
夜の仕事だからな。
他のオネ―仲間達もきっと似たようなもんだろう。
野球少年は今は授業中である。
あ、アイツノートに落書きしておる。
パラパラマンガ作ったり、正岡子規をモヒカンにする落書きしたりしている。
授業聞けや!
…多分俺がお前の立場だったら、やっぱり授業なんて聞かないけどもな。
ヒッキーは人が来ない砂浜で寝ていて、鳥の囀りを耳に、寄せては返す波の音を耳に、何か物悲しい曲を、頭の中で再生させている。
俺、こいつは今、PCに向かって文字を打ち込んでいて、時々、目を瞑り、あーでもない、こうでもない云って、しばらくすると、頭の上に豆電球でも浮かんでいそうな表情をして、ひたすらに文字を打ち込んでいる。
相変わらず、千葉県は木更津駅前からほど近い、地域活動支援センター通いの様で、時々、気分転換なのかな、タバコを吸いに、携帯灰皿を持って外に出ている。
俺が魔法で超新星爆発の衝撃と一緒に巻き込んで吸い込んじゃった奴等…
恐らくは、三つの月、こいつ等、意識が有ったんだな。
控えめな性格なのかな?
喋る気配が無い。
それでいて、此方を黙って見ている気配がある。
これ、あれだ。
キッチンだとか、PCだとかに向かっている人間を見上げて…
人懐っこい猫が、人間のやる事じっと見ている感じの気配と似ている。
ん?
これは…
三つの月と一緒に、俺がここ数ヶ月試行錯誤していた場所、つまり、俺が踏み締めていた大地、惑星も吸い込んだんだけど、あれ!?
これって…
無機質アナウンス女の気配だよな!?
へ?
アイツ、そうだったの!?
《てんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!私の管理対象をっ!返せっ!戻せっ!このタコキムチがぁーー!んだお前ら!?はっ……離せっ!はぁーなぁーせぇー!》
《おねーちゃん、うぇいと!》
《びー、くーる。》
《ねーちゃん、はうすっ!》
…三つの月の気配。
そいつがどうやらあの無機質アナウンス女の気配…あいつが惑星で間違いない様だな。
奴に取り付いて引き戻す気配がする。
何故、あの無機質アナウンス女、突然感情豊かになったんだ?
俺があの惑星にて出会った三人や、3つの月や、あの無機質アナウンス女…つまりは惑星自身だが、そいつ等とそんなやり取りを寝起き?気絶起き?の、そんな回転数の低めな脳裏にてやっているそんな頃合いに、とある声が直接脳内に響いてきた。
奴だ、『名前の無い者』である。
《やぁやぁ!》
《われこそはぁー!》
《名前の無い者であるぞっ!》
《頭がたかぁーい!》
《控えおろぉー!》
こいつのこのノリも相変わらずそうだよなー。
元気そうだ。
何よりだ。
…
……
………
《…で、そこでだよっ!》
《この…》
《恒星君の最期の戦いの後の諸問題…》
《恒星君の最期の思い、》
《惑星ちゃんと3つの月の救助と…》
《未だ残っている魂の救済。》
《そこでっ!》
《私は一計を案じたのだよ!》
《この面倒事をっ!》
《そのまんま、》
《君にぶち投げればいーじゃないってさ♪》
《るららん♪たららんっ♪》
《結果、オールオッケーみたいなさぁ!》
《やっぱ私って凄くね!?》
《天才美少女じゃね!?》
こいつ…そんな事を思っていたのか…
けれども、何故か腹は立って来ないのだよな。
恐らくはそれは以前にコイツに一瞬にして流し込まれて来たあの情報の為だな、あれを聞いて、俺はコイツに対する嫌悪感が消えたんだっけな。
…
……
《んで、惑星ちゃん、疲れ過ぎたのか》
《そのまま…》
《椅子に座っちゃった出来事ですらもっ!》
《君を介する事で問題解決っ!》
《暫くは、その手の世界の…》
《便宜上のシステム運営係決定だよねっ!》
《座っちゃったんだから…》
《仕方がないよねー♪》
《私の仕事を奪うなんてさー。》
《何てラクチ…げふっ!》
《不敬極まりないよ、うん。》
《罰として暫くは…》
《その業務を続けて貰う事にしたよ。》
《いやぁ、私って、寛大だよねー♪》
無機質アナウンス女改め、惑星女、ざまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
《でもねー、でもねー。》
《君が惑星ちゃんを丸ごと…》
《吸収しちゃったもんだからさぁ…》
《惑星ちゃん、今後は、》
《もう無機質では無くなるよ。》
《『道』が出来ちゃったから。》
《うまく使えばあれなんじゃない?》
《あんな事や…》
《こんな事やら…》
《ぐっひっひっひっひ!》
《君次第だよね、仕置きは。》
まぁ、許してやれよ。
あの子もお前の説明聞いてっと、色々あったんだ。
…
……
………
《さて…》
《それでだよ、》
《改めて聞くけれどもさ…》
《君にはとって今までのは…》
《チュートリアルって》
《奴だったんだけどもさー》
《結果として、》
《私的には君は満点な結果を…》
《もたらしてくれたのだからさー》
《君さえ良ければね、》
《これからも…》
《本編を続けて見たらどうかなぁ?》
《…と、》
《改めてスカウトしてみるよ。》
俺の考えは決まっている。
何の因果なのか、俺は此処へと来てしまった。
そうして、本体と離れて、この世界を、こちら側の宇宙を。
見聞してしまった。
《君は此岸側の世界では、》
《物質的には存在していなかったから》
《私の…その…》
《出口に向かって落ちて来たんだね。》
《あぁもぅ!》
《セクハラだぞ君、》
《いきなりあんな場所に》
《入って来るなんてさ。》
《お嫁に行けないから、》
《責任、取ってね♪》
そう、あの時、俺は俺の精神中の存在で、物質的には実在して居なかったから、光すら這い入る事が不可能なその場所に、落ちて行く事が出来たんだ訳で、つまり俺の視界には反対に見えていて、即ち、ホワイトホールが、ブラックホールに見えて、そうして、実在の物質的存在とは対極に位置する、精神的存在だったが故に、物質に対する反物質みたいな作用で以って、光の速度ですら這い入り込めない場所へ、つまりは此処へと落ちて来れたんだな。
反物質的だった俺にとっては、ホワイトホールはブラックホールとしてしか認識できなかったし、また、その様に物理法則が働いてしまった…と云う訳だったか…
「俺は此処で続けるよ。」
お前は言ったよな、『此処は死の世界で、イメージの世界…』
俺は此処に興味がある。
その願望は、本体の物だがな。
その本体が悔やんだ、もう現実の世界で会えない生物、その断片にだって出会える可能性が有るのだよな。
《うん…》
《君ならそう言ってくると思ったよ。》
《君なら、そう、言ってくれると、思ってたよ。》
《もう、判っているんだろ?》
《わた…》
《ゲフッ!あ、ゲフフンッ!》
《その、生き残りの精神体三体と…》
《君が吸収した恒星・惑星・衛星もね。》
《一緒に連れてってよ。》
《さて…》
《チュートリアルはもう終わりだ。》
《あの惑星に飛ばしたのは…》
《世界文化やシステムが…》
《似ていた場所だったから。》
《これから…》
《私が本命とする場所へと飛ばすよ。》
《準備はいいかぁ~♪》
《新しい旅の始まりだぁ~♪》
《いつもの様に》
《そこの魔法陣へぇ~♪》
《さぁ、乗った乗ったぁ~♪》
魔法陣に乗る。
魔法陣が輝き出した…
溶接眼鏡をかけなきゃ眩しくて目をやられてしまう強さの光の奔流も、前回と一緒。
さて、今回は、どうなるのかな?
俺は、目を瞑る…
おちつけー( *'ω'*)っ
びーくーる( ˙-˙)っ\(*°д°)ノ離せぇー!Σ(°-° )!!
はうすっ!( ˙࿁˙)っ
国王(⊙⊙)凄い!
隠者( ¯-¯)ワシもつれてけ!
ドワ( `ᾥ’) あーしてこうして…
名前の無い者( ¯-¯)楽チン




