限り無く透明に近づいたヲヂサン
人間族の王国、フェルディナンド王国の国王、フェルディナント・ディ・ザイモス三世。
フェルディナンド王国の嘗ての宮廷魔術師であり引退後に隠者となっていたカウス・フォン・ゲルファウスト。
ドワーフ族の王国の国王、ザイグーヌ・ファテマハト。
三名の精神体を吸収する。
そうして、繋がった意識の中で理解させる。
スキル、蛋白質の記憶を使うのだ。
有機生命体の体、及びその残滓に触れると、対象となった生命体の記憶を一瞬にして理解可能になるしまた逆にその対象が望めばスキル使用者が持っている情報を対象へ向かって流し出す事も可能である。
また、対象が望めば、対象の意識・魂・記憶――その存在を、スキル使用者の内部に収納して置く事が可能になる。その際は、対象とのスキル使用者の精神内部での交流等が可能になる。
…
……
お前ら、この際今は有事だ、敬語だとか何だとか、些末なあれは省略して、この危機を乗り越える相談をしようじゃないか。
俺は今、何とかこの世界の恒星の超新星爆発から生き残る覚悟で、あの眩く禍々しい外へ向かおうとしてパンターG戦車が穿った穴の方を振り向いている。
スキル【蛋白質の記憶】で三人の魂・意識を吸収し、必要な情報を選択して掻い摘んで説明しながらである。
もはや一刻として無駄にする時間は無いのだ。
意識が繋がった故か、やり取りが非常に速い速度で進捗していて、今俺は急いで外に出ようとしているのだが未だ一歩も歩み出してすら居ないのであり、つまりその位の速さで意識のやり取りが可能になっているのである。
《其方のその力…そうか、この様な。》と、人間国王、フェルディナント・ディ・ザイモス三世。
《うむ、わしの拙い知識が役に立つのならばお主にこのワシの世界の知識の盃を存分と傾けようぞ。》と、元宮廷魔術師の隠者、カウス・フォン・ゲルファウスト。
《何じゃこれはっ!戦車だけでは無かったか!》と、ドワーフ王、ザイグーヌ・ファテマハト。
お前ら、特に元宮廷魔術師、何か策は無いのか?
《嘗てわしはかの太陽神(恒星)の現身様と邂逅したことが有った。》
え!?
お前、凄いなー!
何やらかしてそうなるんだ!?
《太陽神フレイア様の現身は、己の核に似せたダミーを構想しておってのぅ、恐らくはフレイア様は此れまで幾度も、何らかの侵略者と戦って来ておった筈じゃ、わしが思うにのぅ。》
んーと、つまり、あの恒星──太陽神フレイア様ってェー奴が、何か世を忍ぶ仮の姿をして、この元フェルディナンド王国宮廷魔術師であり、今は単なる隠者じじぃ、カウス・フォン・ゲルファウストの前に姿を現した事があり、んで、その太陽神フレイア様とやらは、何らかの敵と戦っていたと…
《フレイア様は、姿を偽っておったが、わしには判るのじゃな。そう、お主がフレイア様以上の魔素をその内面に秘めて居る事ものぅ…あれには脱顎の境地に陥ったものじゃ。お主にもしも敵意が有れば、わしは乾坤一擲の一撃で以って、そなたと相打ちする覚悟でもって、物陰から見ておったのじゃからのぅ。》
…このじじぃ、然り気無くヤバい、俺のダークエネルギーとリンクした魔力の高さを看破していやがるぜ!
《恐らくは…フレイア様は、もしもの時に備え、敵を欺瞞させる核に似せた高度なる魔道具の発案には至ったのじゃが、あの方は恐らくは…魔導回路に明るくは無かったのじゃろう。わしに色々と聞いてきてのぅ。わしもまさかフレイア様本人と、現身とは言え、あのような実験と考察、その繰り返しの時間を過ごす事になるとは、思っておらんかった。》
…コイツ、あの赤くてでっかい恒星、太陽神フレイア様とやらと、魔道具の共同開発みたいな事までやってました!
《フレイア様は、魔導回路の製作こそ苦手そうには見受けられたが、それをいくつも集め、魔素を安定化させ、決まった力を出力し続ける回路構成、小さな魔道具同士の繋がりで、特定の作用を齎すその連続的な配置を、実に無駄なく、効率的かつ効果的に配置する知識には明るくてのぅ。》
…つまり、あれかな、PCで云ったらば、その…魔道回路をハンダゴテ的な魔法で作業するのは下手くそだったのだけども、全体的な効率・信頼性の高い安定した魔道回路を構想する頭脳、頭の中でのそんな作業は得意だった訳だな?
《お互いに切磋琢磨して、高め合えた物じゃった、その相手がフレイア様だと云う事が、わしには望外身に余る光栄じゃったがのぅ…》と、隠者。
…そりゃ、この惑星でどうやら崇められていたらしい、太陽神フレイア様とやら、それ本人と魔道具の共同開発なんてやる人間族なんてそんな居ないだろうし、特別な体験立ったろうなぁ。
《私の元を離れてから、その様出来事があったのか…私は其方が羨ましいぞ。》
と、人間国王。
まぁそうだわな、だって、自分の国の元宮廷魔術師がさ、引退後に神様と作業してんだもん、そりゃびっくりするだろうし、それにこの王様、先程スキル、蛋白質の記憶を使って地球の文化やら政治体制やらを伝えた時に同時にやった「信頼に足るしっかりとした理性を持ち合わせた人物なのかチェック」の際に垣間見えたその思考・思想・嗜好の中で…
「本当は王様なんかやりたくない、何か夢中になれる趣味の世界で生きて行きたい、それは旅だ!きままに世界を放蕩して様々な文化に触れて交流してみたい!嗚呼、私もザイグーヌ・ファテマハトの様に、そして、カウス・フォン・ゲルファウストの様に、何か夢中になれる物に打ち込むような斯くありたいのだがなぁ…ファテマハトずるい、奴は私と同じ王であるのに、鍛治やら何やら充実していて、あれは羨ましいぞ!ゲルファウストもだ!フレイア様と共同開発だとぅ!むむっ!う、羨ましいっ!」
と云う甚だしくも、王様らしからぬ思いの持ち主であり、そして、同時に過ぎ足る力を手に入れて邪なる欲望に染まる事が無いようなしっかりとした制動を持っている人物であったのだから、この人物も信頼に足る人物だと判断した次第である。
元宮廷魔術師であり、そして隠者となったカウス・フォン・ゲルファウストの話はまだ続いていた…
《そして、それからまた遠くない或る日…フレイア様が再び現れてのぅ…『私の命と引き換えに発動する術式を核に刻む作業を手伝って欲しい』と、のぅ。その頃じゃ。フレイア様がもう長くないと知っておったが、それがより短くなったのであるな、この世界はいよいよ以って終焉に近づいたのだな、と、覚悟を持ったのは。》
それからか、それで、このじじぃは宮廷魔術師を引退して、終末世界からの避難構想を持ってこんな巨大な避難ブンカー設備を作り始めたのは。
《フレイア様はのう、姿を偽って、この世界の諸国をそんな風にして時々は巡っておったのですじゃ、ドワーフ王、ザイグーヌ・ファテマハト様よ、かつてドワーフの国を訪れたすっきりした顔立ちの、すっきりした衣装に身を包んだ、すっきりした心根の人間族の男の話を、マグネシウムの閃光を浴びせて悪戯して。酒を酌み交わした男の話を…あなたは楽しそうに話しておられたが、それがフレイア様の現身なのですじゃ。》
…へー、あの恒星─太陽神フレイア様か、意外とミーハーってか、世俗的な事に興味あったんだなぁ…ってか、このドワーフじぃさん、ザイグーヌ・ファテマハトもフレイア様にそれとは知らず会っていて、何かフレイア様に対して悪戯を仕組んでいたらしい…悪ガキだな、頭ん中がまるで悪ガキだ。
《なんとまぁ、あの男か!気持ちの良い男じゃったがのぅ。そうか…》
と、ドワーフ王。
未だ足を一歩、それすらもやっていない段階だ。
俺の足はその右側を踏み出そうと、宙に浮いた途上の状態である。
蛋白質の記憶、便利な機能だ。
それを使い、三人の知識を総動員して、この難局を乗り越えよう。
《さて、此の世の名前では、ウィリアム・ウォーディセンを名乗るお主よ、この焦眉の急たる事態を、何とか乗り越える方法を、一つ、思い付いたのだ。》
カウス・フォン・ゲルファウストが言葉を続けた。
流石は元宮廷魔術師であり、神と共同開発なんてやらかした男であるので、俺にとっては晴天乃霹靂の様なこの事態も、彼にとってはそれに対応策があるのだという…
まぁ、彼の場合は、あの恒星の終わりが近い事を知っており、それに対応して生き残る事を構想して居たのだからな、かなり前から。
だから、奴にとってはこれは晴天乃霹靂な事態ではなくて、ある程度の時間があった訳だよ、俺には奇襲みたいなこの招かれざる事態は、奴にとっては急襲、いや、精々が強襲みたいなもんなのだろう。
それが近々「襲ってくる」事を理解して居たもんだから、当然、幾つかの対策をやっていた訳で、それがあの避難ブンカーだったりしたわけだし、まだ頭の中に形になっていない具体的な対策が残されている事をこの際は願おう!
《理論的には当然可能である方法では有るのじゃが、それは膨大なる魔素の使用を前提としておってのぅ、実行レベルでは破綻的と云うか、『当たり前』過ぎる発想故に見落としがちなのじゃがのぅ…お主のその、常識外れの魔素が有れば、それは容易いのやも知れぬ。》
お。
流石は隠者と云う捻くれ拗らせ知識偏差じじぃだ!
…あれかな、説明を聞くに、かなりな力技の匂いがする、なんつーか、正座している奴の胸倉掴んで大外刈りでぶん投げる的な奴なんじゃないのか、それは?
いいぞ、もっとやれ!
もっと説明しろ!
現在、二歩。踏み出している。
外へと向かって。
超新星爆発の衝撃から、俺達が生き残る為に。
《太陽神フレイア様のご本尊、即ち彼の御来光、それを全部、そなたの魔素で覆うのじゃ。》
成程、規模がでかすぎる話をしている…
蛋白質の記憶で以って三人のじじぃを吸収し、その情報を得た今では手に取る様に理解できている、…この元宮廷魔術師、カウス・フォン・ゲルファウスト、このじじぃはこの世界に於いて比較無比たる魔素を身に纏える、いわば、規格外野郎である。
そんなじじぃの魔素は、俺から見たらば…九牛の一毛、
──九匹の牛の内から毛を一本だけ取り出した感じ──
それ以下の、更にそれ以下の以下の以下の…烏賊ゲソ、九牛の一毛以下、フライにして食べるべくも無いレベル、それだけ、ダークエネルギーとリンクしちゃった俺がバグ性能と言う訳だよな。
けれども、履き違えてはならない、俺のそれは、いわば、棚からぼた餅、瓢箪からコマなのであり、奴の先天的な才能と言う鉄に、努力と研鑽と言う他の金属や炭素、また、それに使ってきた時間と言う叩いて来た鍛造時間、歳を経た冷しこみによって仕上げられ、それで作った一振りの秋水の如き鍛え抜かれた太刀と、俺のそれなんかそれと比べたらさしずめ俺は鉄だけで出来たインゴットであり、刀にすら、なっちゃぁーいねーよ。
履き違えるな、俺よ、そこを間違えると、傲慢と破滅の道にまっしぐらだから…俺の歩みはパンターGが砲撃を加えて瓦礫の山と化した堆積物が足元に溜まっている通路にまでやって来たところ。
《…準備は良いか?では、今から念じるのじゃ、わしの言葉を頭の中で復唱するイメージじゃ。行くぞ…》
目を閉じる。
目を閉じながら歩みを進め、俺は隠者じじぃの言葉に続けて頭の中でその言葉を復唱する。
《『私と私に連なる遍く魔素の奔流よ、理に従い、疾く私の命に従い給え』》
──私と私に連なる遍く魔素の奔流よ、理に従い、疾く私の命に従い給え──
《太陽神フレイア様、御許の終焉の焔を、私の掌へを集め、私の中へと注ぎ給え》
──太陽神フレイア様、御許の終焉の焔を、私の掌へを集め、私の中へと注ぎ給え──
《終焉を終焉の儘とせず、新たな始まりと生す力と為して、我が胸の内に秘め給え》
──終焉を終焉の儘とせず、新たな始まりと生す力と為して、我が胸の内に秘め給え──
《不可思議たる器を私の中へと創造し、此岸から彼岸へと、また、彼岸から此岸へと、不可逆の理、自在に解きて、我が肱の儘に抱かれよ!》
──不可思議たる器を私の中へと創造し、此岸から彼岸へと、また、彼岸から此岸へと、不可逆の理、自在に解きて、我が肱の儘に抱かれよ!──
《アル・ハルファ・ノィエ・ダス・ダ・リヒテ・シュヴァイツェル・ノーン・ノーン・エル・アライラー!》
──アル・ハルファ・ノィエ・ダス・ダ・リヒテ・シュヴァイツェル・ノーン・ノーン・エル・アライラー!──
今外をに出て歩いている。
目を瞑っているにも関わらず、転倒する事も無く、歩を進めているのである…何故だろうか?
俺は俺の眼、それ以外で周りを見る事を身に付けた様だ。
最後の何だかカタカナじみた詠唱を終えた時、隠者の導きの儘、素直にあの恒星へを手を翳す…
見える。
恒星の最期…
超新星爆発…
その、それの全ての衝撃波・物質・エネルギー・魔素。
その一切合切が、渦を巻いて俺の腕に集まって行き…俺の中に入って来る。
何と云うか…
熱い、熱い、凍える様だ。
寒い、寒い、燃え尽きる様だ。
俺の中にずーっと、渦を巻いて這い入って来る。
恒星だけじゃない。
此の、立っている地面…
この惑星も、夜空に見えた、三つの衛星達…
あの、個性的な月も渦を巻いて、超新星爆発の渦に巻かれて俺に入って来る。
何て事だ!
何て容量だ!
俺の魂はどうなってしまっている!?
今俺は、本当に俺か!?
そもそもに於いて、俺って何だ!?
《いかんぞ!気をしっかり持て!お主がお主ではなくなってしまうからのう!お主が消えれば、わしらも消える。お主はお主以外を背負っている事を理解せぃ、別に、本当はわしら三人の事などはこの際は、どうでもいいのだがのう、だが、そんなわし等を、今は錘として背負うのじゃ、杖として縋るのじゃ。》
何処までも赤く朱い奔流は未だ収まらない、納まってはいない。
地面が渦を巻いて吸い込まれて行く…
俺はどうして立っている?
月は何処へと消えたのか?
そうか、俺の中へと入って来るのか…
月の意志の様な物が入って来た。
全部で三つ。
ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、
がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、
あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、
全部吸い切った様だ…超新星爆発も、この惑星も、そしてあの3つ、空に輝いていた月ですらも…
翳していた腕を瞑ったままの目で見やると、身体が殆ど消えかかって居る、魔素は大分、いや、全然余っているのに…恒星一個の超新星爆発程度では、ダークエネルギーとリンクした俺の魔素はそうそう無くならないだろうが、なのに、何故、俺の身体は透明に近づいて居るのか…何故に意識がこうもダルいのだろうかなぁ…
《ちょ…てんめぇー!何してくれてんだこのタコ坊主!》
不意に、女の声が聞こえてきた。
この声、聞き覚え、有るぞ。
無機質アナウンス女じゃないか。
その声が、今や感情がはっきりと見えて、無機物から有機物へと変わったかのようだ。
しかし…体が怠い。
限り無く透明に近いをぢさん。
つまり、それが俺の今の状態だ…
ははは…あの小説、好きだったなぁ。
村上龍さんだったかな…
あれと同じタイトルで、昔の某ヴィジュアル系のバンドの方々が曲を作っていたっけなぁ…
ガクン、と、体が何かに引き寄せられる感覚がそんな俺の意識を呼び起こした。
あれ?
恒星の中心部が見える。
周りに僅かなガスが流れ込んで居るのか?
俺が吸収しきれなかったガスが、光に近い速度で以ってぶん回されて、そうやって光っているのだな。
と、云う事は…あの恒星は。
そうか、たった今、ブラックホールへと相変わった瞬間なのか。
それに引き寄せられている。
コインを立てて、指で弾く。
コインはグルグルと回りながら「コーーーーーーーーー」っと音を僅かに立てる。
やがて、回転の運動エネルギーが、空気や接触している地面との摩擦等で低減してくると、コインの回転軸は不安定になって来る。
ふあんていのまんま、安定を保とうと、懸架するように回り続ける。
俺は意識をどうやらその辺りから手放したらしい。
コォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォンウォンウォンウォン
ウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォ
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオーーーーピタッ!
この事象を、或いは誰か第三者が眺めて居たらば、そうしてそんな第三者の者がそれを文体にて表現するとしたらば、それはこんな感じであろうか?
ブラックホールへと回転しながら描いた彼の回転楕円運動は、回したコインが止まるようにして、彼を特異点へと導き──
そのコインがピタッと唐突に運動と音を発する作業を止めるが如く、それまでの囂しい音は唐突に途絶えてしまって、後にはただひたすら静寂が包み込むのみで、つまりその音が止まったタイミングに於いて、彼はブラックホールの中へとすっかりと吸い込まれて行ったのである。
‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››グルグルー
隠者(°_°)!気絶しておる!
王Σ(๑°ㅁ°๑)やばくね!?
ドワ( `ᾥ’)戦車…
月1(*'ω'*)ありがと~
月2('∇') がんばれ~
月3( ¯-¯ )もうすこし~
惑星ちゃん(`□´)てんめー!




