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ただ、おっさんが夢の中でどっかに旅立ってしまう、世間的には需要が皆無なお話  作者: 加工豚(かこうとん)
【第一章】限り無く透明に近いをぢさん
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限り無く透明に近づいたヲヂサン




人間族(ヒューマン)の王国、フェルディナンド王国の国王、フェルディナント・ディ・ザイモス三世。

フェルディナンド王国の(かつ)ての宮廷魔術師であり引退後に隠者となっていたカウス・フォン・ゲルファウスト。

ドワーフ族の王国の国王、ザイグーヌ・ファテマハト。


三名の精神体を吸収する。

そうして、繋がった意識の中で理解させる。

スキル、蛋白質の記憶を使うのだ。






有機生命体の体、及びその残滓(ざんし)に触れると、対象となった生命体の記憶を一瞬にして理解可能になるしまた逆にその対象が望めばスキル使用者が持っている情報を対象へ向かって流し出す事も可能である。

また、対象が望めば、対象の意識・魂・記憶――その存在を、スキル使用者の内部に収納して置く事が可能になる。その際は、対象とのスキル使用者の精神内部での交流等が可能になる。






……

お前ら、この際今は有事(ゆうじ)だ、敬語だとか何だとか、些末(さまつ)なあれは省略して、この危機を乗り越える相談をしようじゃないか。


俺は今、何とかこの世界の恒星の超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)から生き残る覚悟で、あの(まばゆ)(まがまが)々しい外へ向かおうとしてパンターG戦車が穿(うが)った穴の方を振り向いている。

スキル【蛋白質の記憶】で三人の魂・意識を吸収し、必要な情報を選択して()(つま)んで説明しながらである。



もはや一刻として無駄にする時間は無いのだ。



意識が繋がった故か、やり取りが非常に速い速度で進捗(しんちょく)していて、今俺は急いで外に出ようとしているのだが未だ一歩も歩み出してすら居ないのであり、つまりその位の速さで意識のやり取りが可能になっているのである。





其方(そなた)のその力…そうか、この様な。》と、人間国王、フェルディナント・ディ・ザイモス三世。


《うむ、わしの(つたな)い知識が役に立つのならばお主にこのワシの世界(ほし)の知識の(さかずき)を存分と(かたむ)けようぞ。》と、元宮廷魔術師の隠者、カウス・フォン・ゲルファウスト。


《何じゃこれはっ!戦車だけでは無かったか!》と、ドワーフ王、ザイグーヌ・ファテマハト。





お前ら、特に元宮廷魔術師、何か策は無いのか?




(かつ)てわしはかの太陽神(恒星)の現身(うつしみ)様と邂逅(かいこう)したことが有った。》




え!?

お前、凄いなー!

何やらかしてそうなるんだ!?





《太陽神フレイア様の現身(うつしみ)は、己の(コア)に似せたダミーを構想しておってのぅ、恐らくはフレイア様は()れまで幾度(いくど)も、何らかの侵略者(インベーダー)と戦って来ておった筈じゃ、わしが思うにのぅ。》


んーと、つまり、あの恒星──太陽神フレイア様ってェー奴が、何か世を忍ぶ仮の姿をして、この元フェルディナンド王国宮廷魔術師であり、今は単なる隠者じじぃ、カウス・フォン・ゲルファウストの前に姿を現した事があり、んで、その太陽神フレイア様とやらは、何らかの敵と戦っていたと…


《フレイア様は、姿を偽っておったが、わしには判るのじゃな。そう、お主がフレイア様以上の魔素をその内面に秘めて居る事ものぅ…あれには脱顎(だつがく)境地(きょうち)に陥ったものじゃ。お主にもしも敵意が有れば、わしは乾坤一擲(けんこんいってき)の一撃で以って、そなたと相打ちする覚悟でもって、物陰から見ておったのじゃからのぅ。》


…このじじぃ、然り気無くヤバい、俺のダークエネルギーとリンクした魔力の高さを看破(かんぱ)していやがるぜ!


《恐らくは…フレイア様は、もしもの時に備え、敵を欺瞞(ぎまん)させる(コア)に似せた高度なる魔道具の発案(はつあん)には至ったのじゃが、あの方は恐らくは…魔導回路(まどうかいろ)に明るくは無かったのじゃろう。わしに色々と聞いてきてのぅ。わしもまさかフレイア様本人と、現身(うつしみ)とは言え、あのような実験と考察、その繰り返しの時間を過ごす事になるとは、思っておらんかった。》


…コイツ、あの赤くてでっかい恒星、太陽神フレイア様とやらと、魔道具の共同開発みたいな事までやってました!


《フレイア様は、魔導回路(まどうかいろ)製作(せいさく)こそ苦手そうには見受けられたが、それをいくつも集め、魔素(まそ)を安定化させ、決まった力を出力し続ける回路構成、小さな魔道具同士の繋がりで、特定の作用を(もたら)すその連続的な配置を、実に無駄なく、効率的かつ効果的に配置する知識には明るくてのぅ。》


…つまり、あれかな、PCで云ったらば、その…魔道回路をハンダゴテ的な魔法で作業するのは下手くそだったのだけども、全体的な効率・信頼性の高い安定した魔道回路を構想する頭脳、頭の中でのそんな作業は得意だった訳だな?


《お互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、高め合えた物じゃった、その相手がフレイア様だと云う事が、わしには望外(ぼうがい)身に余る光栄(こうえい)じゃったがのぅ…》と、隠者。


…そりゃ、この惑星でどうやら崇められていたらしい、太陽神フレイア様とやら、それ本人と魔道具の共同開発なんてやる人間族(ヒューマン)なんてそんな居ないだろうし、特別な体験立ったろうなぁ。





《私の元を離れてから、その様出来事があったのか…私は其方(そなた)が羨ましいぞ。》

と、人間国王。

まぁそうだわな、だって、自分の国の元宮廷魔術師がさ、引退後に神様と作業してんだもん、そりゃびっくりするだろうし、それにこの王様、先程(さきほど)スキル、蛋白質の記憶を使って地球の文化やら政治体制やらを伝えた時に同時にやった「信頼に足るしっかりとした理性を持ち合わせた人物なのかチェック」の際に垣間見(かいまみ)えたその思考・思想・嗜好の中で…


「本当は王様なんかやりたくない、何か夢中になれる趣味の世界で生きて行きたい、それは旅だ!きままに世界を放蕩(ほうとう)して様々な文化に触れて交流してみたい!嗚呼、私もザイグーヌ・ファテマハトの様に、そして、カウス・フォン・ゲルファウストの様に、何か夢中になれる物に打ち込むような()くありたいのだがなぁ…ファテマハトずるい、奴は私と同じ王であるのに、鍛治やら何やら充実していて、あれは羨ましいぞ!ゲルファウストもだ!フレイア様と共同開発だとぅ!むむっ!う、羨ましいっ!」


と云う(はなはだ)だしくも、王様らしからぬ思いの持ち主であり、そして、同時に()()る力を手に入れて(よこしま)なる欲望に染まる事が無いようなしっかりとした制動(ブレーキ)を持っている人物であったのだから、この人物も信頼に足る人物だと判断した次第である。




元宮廷魔術師であり、そして隠者となったカウス・フォン・ゲルファウストの話はまだ続いていた…


《そして、それからまた遠くない或る日…フレイア様が再び現れてのぅ…『私の命と引き換えに発動する術式を(コア)に刻む作業を手伝って欲しい』と、のぅ。その頃じゃ。フレイア様がもう長くないと知っておったが、それがより短くなったのであるな、この世界はいよいよ()って終焉(しゅうえん)に近づいたのだな、と、覚悟を持ったのは。》


それからか、それで、このじじぃは宮廷魔術師を引退して、終末世界からの避難構想を持ってこんな巨大な避難ブンカー設備を作り始めたのは。


《フレイア様はのう、姿を偽って、この世界の諸国(しょこく)をそんな風にして時々は(めぐ)っておったのですじゃ、ドワーフ王、ザイグーヌ・ファテマハト様よ、かつてドワーフの国を訪れたすっきりした顔立ちの、すっきりした衣装に身を包んだ、すっきりした心根(こころね)の人間族の男の話を、マグネシウムの閃光(フラッシュ)を浴びせて悪戯(いたずら)して。酒を酌み交わした男の話を…あなたは楽しそうに話しておられたが、それがフレイア様の現身(うつしみ)なのですじゃ。》


…へー、あの恒星─太陽神フレイア様か、意外とミーハーってか、世俗的(せぞくてき)な事に興味あったんだなぁ…ってか、このドワーフじぃさん、ザイグーヌ・ファテマハトもフレイア様にそれとは知らず会っていて、何かフレイア様に対して悪戯を仕組んでいたらしい…悪ガキだな、頭ん中がまるで悪ガキだ。





《なんとまぁ、あの男か!気持ちの良い男じゃったがのぅ。そうか…》

と、ドワーフ王。





未だ足を一歩、それすらもやっていない段階だ。

俺の足はその右側を踏み出そうと、宙に浮いた途上の状態である。

蛋白質の記憶、便利な機能だ。

それを使い、三人の知識を総動員(そうどういん)して、この難局(なんきょく)を乗り越えよう。





《さて、()の世の名前では、ウィリアム・ウォーディセンを名乗るお主よ、この焦眉(しょうび)(きゅう)たる事態(じたい)を、何とか乗り越える方法を、一つ、思い付いたのだ。》


カウス・フォン・ゲルファウストが言葉を続けた。

流石は元宮廷魔術師であり、神と共同開発なんてやらかした男であるので、俺にとっては晴天乃霹靂(せいてんのへきれき)の様なこの事態も、彼にとってはそれに対応策があるのだという…


まぁ、彼の場合は、あの恒星の終わりが近い事を知っており、それに対応して生き残る事を構想して居たのだからな、かなり前から。


だから、奴にとってはこれは晴天乃霹靂(せいてんのへきれき)な事態ではなくて、ある程度の時間があった訳だよ、俺には奇襲(きしゅう)みたいなこの招かれざる事態は、奴にとっては急襲(きゅうしゅう)、いや、(せいぜい)々が強襲(きょうしゅう)みたいなもんなのだろう。


それが(ちかぢか)々「襲ってくる」事を理解して居たもんだから、当然、幾つかの対策をやっていた訳で、それがあの避難ブンカーだったりしたわけだし、まだ頭の中に形になっていない具体的な対策が残されている事をこの際は願おう!


《理論的には当然可能である方法では有るのじゃが、それは膨大なる魔素の使用を前提としておってのぅ、実行レベルでは破綻(はたん)的と云うか、『当たり前』過ぎる発想故に見落としがちなのじゃがのぅ…お主のその、常識外れの魔素が有れば、それは容易いのやも知れぬ。》


お。

流石(さすが)隠者(いんじゃ)と云う(ひね)くれ(こじ)らせ知識偏差(ちしきへんさ)じじぃだ!


…あれかな、説明を聞くに、かなりな力技(ちからわざ)の匂いがする、なんつーか、正座している奴の胸倉(むなぐら)掴んで大外刈(おおそとが)りでぶん投げる的な奴なんじゃないのか、それは?


いいぞ、もっとやれ!

もっと説明しろ!


現在、二歩。踏み出している。

外へと向かって。

超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)の衝撃から、俺達が生き残る為に。





《太陽神フレイア様のご本尊(ほんぞん)(すなわ)()御来光(ごらいこう)、それを全部、そなたの魔素で(おおう)うのじゃ。》





成程、規模(きぼ)がでかすぎる話をしている…

蛋白質の記憶で()って三人のじじぃを吸収し、その情報を得た今では手に取る様に理解できている、…この元宮廷魔術師(もときゅうていまじゅつし)、カウス・フォン・ゲルファウスト、このじじぃはこの世界に()いて比較無比(ひかくむひ)たる魔素を身に(まと)える、いわば、規格外(きかくがい)野郎である。


そんなじじぃの魔素は、俺から見たらば…九牛(きゅうぎゅう)一毛(いちもう)


──九匹の牛の内から毛を一本だけ取り出した感じ──


それ以下の、更にそれ以下の以下の以下の…烏賊(いか)ゲソ、九牛(きゅうぎゅう)一毛以下(いちもういか)、フライにして食べるべくも無いレベル、それだけ、ダークエネルギーとリンクしちゃった俺がバグ性能と言う訳だよな。


けれども、()(ちが)えてはならない、俺のそれは、いわば、(たな)からぼた(もち)瓢箪(ひょうたん)からコマなのであり、奴の先天的な才能と言う鉄に、努力と研鑽(けんさん)と言う他の金属や炭素、また、それに使ってきた時間と言う叩いて来た鍛造(たんぞう)時間、歳を経た冷しこみによって仕上げられ、それで作った一振りの秋水(しゅうすい)(ごと)き鍛え抜かれた太刀(たち)と、俺のそれなんかそれと比べたらさしずめ俺は鉄だけで出来たインゴットであり、刀にすら、なっちゃぁーいねーよ。


履き違えるな、俺よ、そこを間違えると、傲慢(ごうまん)と破滅の道にまっしぐらだから…俺の歩みはパンターGが砲撃を加えて瓦礫の山と化した堆積物(たいせきぶつ)が足元に溜まっている通路にまでやって来たところ。






《…準備は良いか?では、今から念じるのじゃ、わしの言葉を頭の中で復唱(ふくしょう)するイメージじゃ。行くぞ…》


目を閉じる。

目を閉じながら歩みを進め、俺は隠者じじぃの言葉に続けて頭の中でその言葉を復唱する。


《『私と私に(つら)なる(あまね)魔素(まそ)奔流(ほんりゅう)よ、(ことわり)(したが)い、()く私の命に(したが)(たま)え』》


──私と私に(つら)なる(あまね)魔素(まそ)奔流(ほんりゅう)よ、(ことわり)(したが)い、()く私の命に(したが)(たま)え──


《太陽神フレイア様、御許(おんもと)終焉(しゅうえん)(ほむら)を、私の(たなごころ)へを集め、私の中へと注ぎ(たま)え》


──太陽神フレイア様、御許(おんもと)終焉(しゅうえん)(ほむら)を、私の(たなごころ)へを集め、私の中へと注ぎ給え──


終焉(しゅうえん)を終焉の(まま)とせず、新たな始まりと()す力と()して、我が胸の内に秘め給え》


──終焉(しゅうえん)を終焉の(まま)とせず、新たな始まりと()す力と()して、我が胸の内に秘め給え──


不可思議(ふかしぎ)たる器を私の中へと創造(そうぞう)し、此岸(こがん)から彼岸(ひがん)へと、また、彼岸(ひがん)から此岸(こがん)へと、不可逆(ふかぎゃく)(ことわり)、自在に()きて、我が(かひな)(まま)(いだか)かれよ!》


──不可思議(ふかしぎ)たる器を私の中へと創造(そうぞう)し、此岸(こがん)から彼岸(ひがん)へと、また、彼岸(ひがん)から此岸(こがん)へと、不可逆(ふかぎゃく)(ことわり)、自在に()きて、我が(かひな)(まま)(いだか)かれよ!──


《アル・ハルファ・ノィエ・ダス・ダ・リヒテ・シュヴァイツェル・ノーン・ノーン・エル・アライラー!》


──アル・ハルファ・ノィエ・ダス・ダ・リヒテ・シュヴァイツェル・ノーン・ノーン・エル・アライラー!──





今外をに出て歩いている。

目を(つむ)っているにも関わらず、転倒する事も無く、歩を進めているのである…何故だろうか?


俺は俺の眼、それ以外で周りを見る事を身に付けた様だ。

最後の何だかカタカナじみた詠唱を終えた時、隠者の導きの(まま)、素直にあの恒星へを手を(かざ)す…






見える。

恒星の最期…

超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)

その、それの全ての衝撃波・物質・エネルギー・魔素。

その一切合切(いっさいがっさい)が、渦を巻いて俺の腕に集まって行き…俺の中に入って来る。

何と云うか…





熱い、熱い、凍える様だ。

寒い、寒い、燃え尽きる様だ。





俺の中にずーっと、渦を巻いて這い入って来る。

恒星だけじゃない。

此の、立っている地面…

この惑星も、夜空に見えた、三つの衛星達…

あの、個性的な月も渦を巻いて、超新星爆発の渦に巻かれて俺に入って来る。





何て事だ!

何て容量だ!

俺の(なかみ)はどうなってしまっている!?

今俺は、本当に俺か!?

そもそもに於いて、俺って何だ!?





《いかんぞ!気をしっかり持て!お主がお主ではなくなってしまうからのう!お主が消えれば、わしらも消える。お主はお主以外を背負っている事を理解せぃ、別に、本当はわしら三人の事などはこの際は、どうでもいいのだがのう、だが、そんなわし等を、今は(おもり)として背負うのじゃ、杖として(すが)るのじゃ。》






何処までも赤く朱い奔流は未だ収まらない、納まってはいない。

地面が渦を巻いて吸い込まれて行く…

俺はどうして立っている?

月は何処へと消えたのか?

そうか、俺の中へと入って来るのか…

月の意志の様な物が入って来た。

全部で三つ。






ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、







がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、







あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、あとすこし、







全部吸い切った様だ…超新星爆発も、この惑星も、そしてあの3つ、空に輝いていた月ですらも…


(かざ)していた腕を(つむ)ったままの目で見やると、身体が(ほとん)ど消えかかって居る、魔素(まそ)大分(だいぶ)、いや、全然余(ぜんぜんあま)っているのに…恒星一個の超新星爆発程度では、ダークエネルギーとリンクした俺の魔素はそうそう無くならないだろうが、なのに、何故、俺の身体は透明に近づいて居るのか…何故に意識がこうもダルいのだろうかなぁ…






《ちょ…てんめぇー!何してくれてんだこのタコ坊主!》






不意に、女の声が聞こえてきた。

この声、聞き覚え、有るぞ。

無機質アナウンス女じゃないか。

その声が、今や感情がはっきりと見えて、無機物(むきぶつ)から有機物(ゆうきぶつ)へと変わったかのようだ。

しかし…体が(だる)い。

限り無く透明に近いをぢさん。

つまり、それが俺の今の状態だ…

ははは…あの小説、好きだったなぁ。

村上龍さんだったかな…

あれと同じタイトルで、昔の某ヴィジュアル系のバンドの方々が曲を作っていたっけなぁ…


ガクン、と、体が何かに引き寄せられる感覚がそんな俺の意識を呼び起こした。

あれ?


恒星の中心部が見える。

周りに僅かなガスが流れ込んで居るのか?

俺が吸収しきれなかったガスが、光に近い速度で以ってぶん回されて、そうやって光っているのだな。

と、云う事は…あの恒星は。

そうか、たった今、ブラックホールへと相変(あいか)わった瞬間なのか。


それに引き寄せられている。


コインを立てて、指で弾く。

コインはグルグルと回りながら「コーーーーーーーーー」っと音を僅かに立てる。

やがて、回転の運動エネルギーが、空気や接触している地面との摩擦等(まさつなど)で低減してくると、コインの回転軸は不安定になって来る。

ふあんていのまんま、安定を保とうと、懸架(けんか)するように回り続ける。

俺は意識をどうやらその辺りから手放したらしい。










コォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ウォン   ウォン   ウォン   ウォン   ウォン   ウォン   ウォン   ウォン  ウォン   ウォン  ウォン  ウォン  ウォン  ウォン  ウォン  ウォン  ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォン ウォンウォンウォンウォン


ウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォウォ


ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオーーーーピタッ!





この事象を、或いは誰か第三者が眺めて居たらば、そうしてそんな第三者の者がそれを文体にて表現するとしたらば、それはこんな感じであろうか?


ブラックホールへと回転しながら描いた彼の回転楕円(かいてんだえん)運動は、回したコインが止まるようにして、彼を特異点へと導き──


そのコインがピタッと唐突に運動と音を発する作業を止めるが如く、それまでの(かしま)しい音は唐突に途絶えてしまって、後にはただひたすら静寂が包み込むのみで、つまりその音が止まったタイミングに於いて、彼はブラックホールの中へとすっかりと吸い込まれて行ったのである。







‹‹\(´ω` )/››‹‹\(  ´)/››‹‹\( ´ω`)/››グルグルー


隠者(°_°)!気絶しておる!

王Σ(๑°ㅁ°๑)やばくね!?

ドワ(  `ᾥ’)戦車…


月1(*'ω'*)ありがと~

月2('∇') がんばれ~

月3( ¯-¯ )もうすこし~


惑星ちゃん(`□´)てんめー!


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