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ただ、おっさんが夢の中でどっかに旅立ってしまう、世間的には需要が皆無なお話  作者: 加工豚(かこうとん)
【第一章】限り無く透明に近いをぢさん
22/50

俺の 俺の 俺の話を…

…毎回、思い付きで書いてます。

今回、話がこうなるとは思わなかった。

自分でも当惑してます。

話、どうやって持ってこう…




今から俺は、お前たちを殴るっ!

学校戦争ってドラマの熱血教官の如きテンション…それを思わず意識した。


だってさ、こいつら黙らせるのに手っ取り早いのってさ、それしか思い浮かばなかったんだもん。

面倒くせぇーじゃんかよっ!


俺がそれを念じると…

不意に俺の中で魔素が発動している力を感じた。

ぁ、俺今、何か魔法を発動させたな。


自転車やバイク、車や飛行機とかの移動手段とか考えて実行していた時にも、野球少年の俺に回転と速度を意識させて球を投げさせていた時にも感じたあの今やだんだん慣れてきた例の感覚が起こったんだからそれは間違い無さそうだ。


やがて…

それは一斉に起った。

分隊たちが苦悶の叫び声を上げ始めたのである…






「ぶべらっ!稲刈りだっ!そ、そんな…それでは青田刈りではございませぬかっ!勘弁してください御代官さまっ!年貢がっ!年貢がっ!」


「いやぁーんもうっ!何なのよこの子はっ☆ちょっとぉ~、それ触ったらだめでしょ~んもぅ~!き、きゃあぁ~!ちょっと、それ記念のお酒なんだから封を切っちゃ駄目えぇえぇえぇ~!」


「この俺にこんな事してただで済むと…ぐふぅ!俺が独房ん時に何があったんだ!?あ、あぁ~!懲罰房(ちょうばつぼう)はやめてくれぇえぇえぇ~!そうだ!支給された歯ブラシで自分でやったんだ!白状したんだから許してくれよ!」


「人間だ、人間の業の縮図に、僕は敗れた…何て奴等だ!僕は、自分が正しいと信じて疑わない信念は結構だが、それをいけ図々しく、他人にも当て嵌めようとする人間が大嫌いなんだよっ!消えてくれっ!」






これから分隊にしようと予定していた、個性豊かなる分隊候補生達全員が謎の絶叫を上げてから大人しくなり、俺の頭の中に静寂が訪れた。



ん?

何だこれ?

あ。

…もしかして、精神攻撃スキルが発動した?




ピコーン!

〈個体名称、ヲヂサンの所有スキル、【ゲシュタルト思考】の…(以下略。〉




どうやら、精神攻撃の発動で間違いない様である。

おーい、お前ら、どーしたんだー?

ちょっとお前らに何が起こったか説明してみ?






「目の前に大嫌いなレバーの唐揚げが出て来て、逆らえない力が働いているみたいで、何故だか口が開いて食べていたよ。自分の意志が自分の意志じゃないみたいに、嫌なのに食べちゃうんだよ。そして、歯を入れていないバリカンが僕の髪の毛を無残に一ミリも残さずに…うわぁーん!」



「目の前に飛び切りの美少女が現れて、パステルカラーのフリル付きの服装で、上目遣いで目に涙を浮かべながら私に向かって、『うわぁ…おねぇーちゃん、超可愛い、私、おねーちゃんみたいになりたいなぁっ!』て言いながら、空気読まないで店の中で色々とやらかしてくれるのよっ☆は・ら・た・つ!」



「目の前がいきなり刑務所ん中になった!悪夢だよ。酒もタバコもやれねえ、女も抱けねぇ、飯はくせぇ、皆、変な帽子被って、変にテンション高い行進で移動させられて、バタバタと(やかま)しく歩かされんだよ。そもそも何なんだあの行進はよっ?そのうえ娯楽に至っては読書くらいしか無いんだぜ…」



「目の前に、無意味に目をキラッキラさせた、男や女や、子供達、動物達が現れて、『君はやれるっ!出来るっ!』『やろうやろう、やろうよ、やろう!』『イエス・ユー・キャン』とか、囲み入れられて、ひたすらに周りから云われ続けたんだ、逃げられなかった…何なんだい?あの押し付けボランティアは!」









へー。

【精神攻撃】って、そんな感じになるのか…

これは使えるよな。


どうやら前のクーデター一派(いっぱ)も、精神攻撃(こいつ)粛清(しゅくせい)されたらしいな。

思い出したら腹立ってきた!

誰だったんだよ、

あの「ようせいをぢさん」仕込んで来た奴…


ちょっと炙り出してみっかな。

あれを仕掛けて来た奴に…

この俺の熱い復讐(おもい)、届けっ!

ふんっ!






「ぎゃーっ!て、てめぇ!仕掛けてくるにしても仁義ってもんが有るんじゃねーのか!」






…武闘派、貴様だったか、

あの「ようせいをぢさん」クーデターの首謀者(しゅぼうしゃ)はっ!

もっと食らいやがれ!

ふんっ!






「ぎゃ、ぎゃー!お前ら…務所(むしょ)ん中で女が居ないからって…う、うぎゃー!」






ははは。

ざまぁ!

どんな悪夢見てんだろうな。

…………







……

………


「今後、俺はお前に一切反抗しない事を誓う、お前は『親』だ。呼び出して好きに使ってくれ。俺は労を惜しまない。」



俺の脳内でクーデターを起こそうと画策していた脳内武闘派の分隊(おれ)、そんな目の上のたんこぶを…

平定してやったぜ!

俺の中の情勢不安定!

俺と云う国を平定する上での反抗勢力(はんこうせいりょく)

信長で言ったら初期の頃の織田家家中(おだけかちゅう)()ける柴田勝家(しばたかついえ)的な武闘派(こいつ)


はっはっは!

忠誠を誓わせたぞっ。

天下布武(てんかふぶ)

【精神攻撃】様々だぜっ!


さて、これで今回の目的である【並列思考】スキルを用いて俺の性能が悪い脳内記憶領域(メモリ)が耐えられないレベルの不利・負担を、分隊を用いる事によって分散・分担させて、スキル【空間認識】が使用に耐えうる様な体制作りへの第一歩が固まった訳だよな。

ならば、後は負担の分担の構想を練るのだ!






東西南北。

分隊は四人だ。

ざっくり、俺が立っている場所から、90℃。

メロンを四分割スライスするような感じで、範囲を分担させて視界を俺に提供させるために、大まかにそうやって役割を割り振ってやった。


東西南北とは言ったが、今現在俺が立っている方向を基準としている。

この惑星、どっちが北だか東だか南だか西だかわからんしな。

そもそも、東西南北なんかに分割させた日には不便だろ?

今後、異世界でバトルとかになった場合は、俺がそれを発動した時点で、俺が立っている場所、視界を基準に四分割した方が把握しやすいに決まってんだろ。


だから。

今俺が立っているところ、其処がホームベースと見立てて。

キャッチャーの位置から俺が見ているその90℃は俺が担当する。

ホームベースのあの形だ…キャッチャー側に一番近い場所に位置するでっぱった形の角度って、ちょうど90℃なんだよな、んで、そこを起点として石灰のライン引くとその石灰の二つの線のラインがレフト側・ライト側へ向けてそれぞれ広がって行くだろ?

あれがそのまんま、今から俺が担当する視界範囲になるわけだ。

四つに切ったメロンの内の一個の担当。


俺から見て右側は、今は完全に俺に忠誠を誓って居る武闘派担当(ヤクザ)に任せた。

四つに切ったメロンの右側担当だ。


左のメロンは、オカマ担当の俺に任せた。


後背のメロンは、野球少年の俺担当。


引き籠りの俺の担当は、少し特殊(とくしゅ)な立ち位置だ。

次元(じげん)を超えた領域から、俺に向かう脅威の存在が無いか、その視界を提供して貰う。

キャラ的にも何かそっち系得意みたいだからな。





船で云ったらば、こんなイメージだよな。


俺、 旗艦兼空母

右、 戦艦(武闘派)

左、 重巡(オカマ野郎)

後、 軽巡(野球少年)

次元、潜水艦(引き籠もり)





タスクフォースかな。

何かそんな感じ。

空母打撃群。

あれ。





そんなタスクフォースに於いて、俺の視界担当範囲…

正面右側45℃、正面左側45℃、上方90℃、下方90℃。

メロンを包丁で4等分にして、その内の1個がその範囲だ。


そんな感じで1人1人が担当範囲を受け持ち、各々(おのおの)がその担当方面にのみ、音の速度で自分の視界を広げて見るイメージだ。


そしてこのスキルはどう云った訳か、地下も上手い(こと)視界情報(しかいじょうほう)に変換されて見える。

なんつーか…説明が難しいのだが、地中を可視化(かしか)出来るのだよなぁ。


柔らかい土の層、サラサラな砂の層、ねっとりした土の層、少し硬い岩盤層、ガチに硬い岩盤層、地下水、土の層に居るもぐら、限り無く意識の範囲を拡大したらば、ミミズやら地中の昆虫さえ把握出来そうである。


だが、しかし、んなもん、いちいち血眼(ちまなこ)になってチェックなんてしちゃったら、多分、脳味噌にまた最初にスキル【空間認識】を発動した時みたいに無慈悲に際限無く流れ込んで来る視界情報の氾濫にさらされて、多分脳味噌が爆発するだろうから、やらない。


まぁ、今のところ、この惑星では、サラサラの砂の層とがっちりと硬い岩盤層しか見えておらず、水の層も、土の層も無かったから、矢張り、生物は居ないのだろうかなぁ。

『名前の無い(ホル)』もそんなこと言っていたし。


なんとも表現に困る様な、そんな変な感覚ですよ、これは。

各種の地層が色付けされて何か立体的な3Dグラフィックみたいにして見えるんだよな。

音をイメージした音速で、詰まる所はそれが音波だからかな?






俺は俺の視界+他の四人の担当が(もたら)す視界と統括して判断するメインコアだな。

よし、これでもっかいやってみよう!

空間認識発動だっ!

音の速度で、拡がれっ、俺の視界っ!





…いやこれ、まだ無理だな。

気持ち悪い。

まだ範囲が広すぎるわ。

また、何か柔軟なる発想が必要かな?

いやいや、応用で大丈夫なのかも知れないぞ、これは。

ちょっと待って、じっくりと考えてみようか。





………





空母には沢山の艦載機が有るわなぁ。

そうだな。

そうしてみるか。

お前ら、お前らの更に分隊を作って見るか?

そいつ等はお前らが掌握(しょうあく)して管理するんだ。

人数は大体は20人前後。

どうだ?





「ぼく、今少年野球の副キャプテンだからさーそれは何とかやってみるよー、けども、学級委員長みたいなのは向いてないよー。ある程度、やる事が決まっていて、それを指示してやってもらう位なら大丈夫だけどもさー」


「お店の、出勤してきてない()達を含めたら、20人は超えるかしらねー☆私がチーママ的なポジションになるのねっ☆んわかったわぁーん☆」


「事務所に普段出入りしてる人数がちょうどその規模だ、直ぐに動員(どういん)をかける。オイお前、その様に動け。『へい、若頭。』」


「僕は僕の認識を、分裂させて増やす事が出来る、そうやってイメージの中で普段から散策(さんさく)を楽しんでいたからね、僕は(いち)であって、(ぜん)なんだよ。そんな事は容易さ。」





もしかしてこいつら…

こいつらさぁ、何か俺よりも優秀じゃない?

あと、引きこもり担当…

ちょっとウザくない?


どうやら何とかなりそうであるのかな…


いや、だけども、俺は未だ不足を感じている。

俺が楽になるには、俺の分身が必要だな。


(メイン)()ける、(サブ)の様に。

現実世界の(メイン)の頭の中に存在していた客観視する(サブ)の様に。

俺ダッシュが必要だ。


「俺」と「俺´」


俺をそのまんま、コピペした感じの奴。

今必要な存在はそれだ。

図にするとこんなイメージかなぁ。





  | ̄正面視の分裂俺´(俺正面)

  |

俺―| ̄武闘派担当の俺 (俺右側面)

  |

  | ̄ネカマ担当の俺 (俺左側面)

  |_

  | 野球少年野郎俺 (俺後方)

  |_

    引き籠りの俺 (俺別次元)





俺はこの5方向の担当が報告して来た視界のみを拾うんだ。

PCのメインコア。

俺は現場に行かないで情報を纏め上げる役割り。


分隊の奴等が更に部下20人の報告を受けてこれは重要だと判断した視界情報のみ、俺に届けさせる。

それぞれの分隊たちは20人前後居るしな。


後は俺の分身、俺´(おれダッシュ)を生み出して、ソイツ以下20人に正面視界を担当させれば、問題無く稼働しないかな?




よし。

いっちょーやってみよう。




俺の分裂体…俺の中の俺…

出てこいやあぁあぁあぁあぁあぁーー!!













「よー、久しぶり、元気そうじゃん、あはははは~!…ってか、ここ何処よ?惑星?人が居ない一面の砂漠と渓谷…こんなしょーもない場所で一体何してんのお前?」













リアル俺が出てきやがったぞ!?

何だこの展開!?










side俺(メイン)




地域活動支援センターに通い始め、そこでPCを借りて小説を構想、出来れば一日一話、完結させて投稿する。

そんな毎日が続いていた。

だんだんと、ここでのルーチンに慣れてきた。

色んな人が色んな事情を持ってここに通って来ている様だ。




生物が居れば、生物の数だけ、ドラマが有る。

生物は最初は点だ。

私はその様に思う。


その点のポイント、座標は、最初に生まれ落ちた場所だ。

地球で生命を受けて、今のこの時代に()いて『人間』と、そう呼ばれているそんな私の場合なら、それは病院だったろう。

『今』が戦国時代の日本だったとしたらば、或いはまた、それ相応な場所で生まれたのであろう。


()(かく)だ、やがて、その生物が動くと、その生物は線になる。

時間と共に移動する生命の、その動きを追って行けば、生物はまるで毛糸の玉を転がしたみたいに三次元上を移動して行く。

点を時間の経過と共に果てしなく際限無く移動させ続けると線になる。


生まれた時は恐らくは、飛び切りにでかいその毛糸玉は、やがて生命の終焉(しゅうえん)に於いて、


───遺体を焼却して処分されるにしろ、野ざらしになるにしろ、───


糸が無くなって、そこで終わりだ。

この毛糸玉は、毎日毎日、様々な場所でこじれたり、結びついたりする。


或いは人間が群がる都会の十字路の往来(おうらい)で、下手くそなギター演奏させて、ミーハーな人間達が物珍しげに足を止める様な場面にて。


或いは新学期の学校で、目と目が合って恋が芽生えたり、お互いに無言の合図でそのままトイレへ(おもむ)きそのまま一対一の殴り合いへと発展したり。


或いは孤立して必死に「生きたい、私は生きたい」と叫ぶその姿をとある少年が見掛けて、いたたまれずに拾い上げ、こっそりと自宅に持ち入った「ニャー」だか、「ワン」だかは知らぬが、その鳴き声でその少年の親に少年のその企みが露呈(ろてい)してしまって、彼の親が「元の所に置いて来なさい」だとか、「仕方がないわね」だとかになるような場面で。


他にも色々と存在するだろう。

いちいち挙げていたらば、枚挙(まいきょ)(いとま)が無くなってしまう。

毎日毎日、きっと目まぐるしい数の生き物達が、眩暈(めまい)を覚える様に果てしなく膨大な数のその線が、交点を描いて、衝突と云う事象を起こしているに違いないのだ。





生き物の糸は、他の生き物の糸と重なった時に、音を奏でる。

和音になるのか、雑音になるのかは、それは時々による。


生き物のそんな交点、重なりは果たして偶然なんだろうかな?

はたまた必然であるのかな?


生き物。

毛糸玉の糸であり、コロコロ転がって色々な物をくっつけたり結び目出来ちゃったり、たまに、自分で切っちゃったりする生き物も居る。


重なって、お互いにピンと張り詰めて、音を出してみたりするんだ。


だから、生き物はきっと、他の生き物を排斥して事を進める事は出来ない。

いくら私が頭の中で、


「俺はこう在りたい、他の人間や社会と関わらずに、俺は俺が主人公の時間の流れの中で、俺だけの考え方で以って、他人に(わず)わされずに生きていきたい」


何てー事を考えていたとしても、それは疑いも無く、独り善がりな考え方であり、(いささ)かどころか、かなり傲慢(ごうまん)不遜(ふそん)なる考え方であろう。


その様になるには、仙人や隠者となるより他に無い。

現代社会に良くも悪くも「飼いならされ」てその恩恵を受けて、その便利さを知って抜け出せなくなってしまった、そんな私は矢張り情けない事に、それから抜け出せないで居る。


一個の陽子だか何かそんな存在になって、無責任に波間に漂うなんて出来ないでいる。

まったく、情けない。




そんな情けない自分だけれども、何か、生き物と生き物が描く交点って、なにも、(わずら)わしい事ばかりではないな、と、そう云う事を思う余裕のような物がようやく最近、また出来上がってきた様だ。


例えば、チャットの中で、以前私が「ウェイス」と云う診断を受けるきっかけになってくれた女子高生だったり、


例えばその同じチャットの公式チャット部屋の知り合いの一人に彼女が出来たらしく、それを無邪気に喜ぶ様を見ていて、何だかこちらも元気を貰っちゃったり、


(ちょっと殺意も感じました。)


例えば、以前足繁(あししげ)く通っていたスナックのママ


――引っ越しの際に他の客をあたってくれて、荷物を運ぶ車両を確保してくれた――


猫が好きで、惚れた男で色々あって、それでも日常を繰り返している、芸者でもあるそのママと、どうやら引っ越し先の私の安アパートがママのご近所らしくて、近くのコンビニやらスーパーやらでわりと頻繁にばったりと再開して、私が最近の自分の近況を報告したり、


例えば、私が引っ越す物件を掛け合ってくれた前のアパートでの、あの独り言をぶつぶつ言っていた隣人、お礼にタバコ一箱手渡した、あの方に、偶然、駅前の競馬の馬券売り施設の前を通り掛かった時に再開して改めてあの時のお礼を述べてみたり、


例えば、今私が通っている、地域活動支援センターの代表、現在の私の様な人間の役に立ちたいと云って事業を立ち上げている人間…


例えば、私が声を掛けると、嬉しそうに「にゃぁ~」と返事をしてくれて、体を擦り寄せて来てその全身で以て、歓迎の意思を伝えてくれる茶トラの彼、


例えば、美容室のテナントが入っている屋内の、外の景色が見える階段でいつも退屈そうに座り込み、私が声を掛けると縄張り意識に於いて不快を感じるのか、「う~」と低く唸って牙を見せる彼…





私は私以外のそんな有機物と、毛糸玉と、交点を描いて、毎日毎日、和音だか雑音だかを奏でている。

下手くそなギター弾き語り野郎みたいなのだろうかなぁ。

そんな折に、何かアイツから久しぶりに連絡が来た。

それは久し振りの再開にしては、挨拶も何にもない、昂りのまんまの魂からの叫び声である。









「俺の分裂体…俺の中の俺…出てこいやあぁあぁあぁあぁあぁーー!!」








お前…考えろよ、ちょっとは。

そーゆー権利とか攻めるのはさぁ。

あのプロレスの総統は確かに楽しかった。

特に煮込んだシチューさんとのやりとりだとかな。

未だに某動画サイトに載っちゃってるしな。


しかし、俺のサブだったお前。

そのお前から見たら、俺がサブになるのかな?

んー。

これはまた、考えさせられる命題じゃないのか?


しかし、無事だったんだなー。

流石にブラックホール入っちゃったら、もう連絡付かないのかな?

とか考えていたもんだから、これは意外だった。

生きてたんだな。


なるほど、なるほど。

興味深い実験だった。

意識体(ガイスト)なら、ブラックホールに落としても大丈夫なんだな。

いい勉強なったわ。


まぁ、さ、そのモルモット君にはあれだ。

迫真(はくしん)の演技もしたから、バレてないっしょ。

実験の為に試しにわざとサンプルとして落としてみたなんて。

大丈夫だな。

あんとき、かなり名俳優入ってたからさ。


よし。

ちょっと交信してみっかなー。








よー、久しぶり、元気そうじゃん、あはははは~!…ってか、ここ何処よ?惑星?人が居ない一面の砂漠と渓谷…こんなしょーもない場所で一体何してんのお前?








本体  (๑ò_ó๑)ノシ{超久々ぁ~!


分隊 Σ(๑°ㅁ°๑) {えぇ~!?

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