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ただ、おっさんが夢の中でどっかに旅立ってしまう、世間的には需要が皆無なお話  作者: 加工豚(かこうとん)
【第一章】限り無く透明に近いをぢさん
19/50

回転の向こう側…

著者は、物理法則だとか、そんなもん、詳しくありません。

だから毎日毎日、必死で想像してます。

多分、見るかたが見たらば、突っ込みどころが満載に違いないのだす。(-人-)




うっし!

もっと強く回転を掛けてみろ!

もっともっとだ!


空中で宙返りした(ボール)

野球少年(おれ)はスポンジのようにそのやり方を吸収して行き、(ボール)は何回転も何回転も宙返りをするようになり、もっともっと回転を上げ、その描く円の直径はどんどん小さくなって行った…遂にはモーターを使ったバイブレーション


――あの、軸をわざとぶらせたモーターが回転して振動を与えるような、携帯の振動や多分、大人のアダルトな玩具などにも用いられている例のやつ――


的な動きになり、細かくぶれている事を見るに、恐らくは細かい宙返りを繰り返しているのだと思われる…それでもそこから更にどんどんと回転数を上げていくと…球は一見普通の直進運動(ストレート)の軌道を描いているように見えた…


実はそれまでも、予想外の展開はあったのだ。

高速回転の気流に当てられたモノなのか、気体が裂かれて真空になった場所でも出来たのか、大きな砂嵐やら、岩に裂傷が出来上がったり、回転速度が音速を超えたのか、何だか香ばしいサウンドを伴って来たり…


ついいましがた少年(おれ)がぶん投げたそのストレートは、その球速でも、また、その回転速度でも音速を超えていたのだろうな、多分さ。


ジュゴゴゴゴ……

キッッッッショゥァォーン……


ジュゴゴゴ…の方はあれだ。

ジェット機がその翼で空気を切り裂く様なあの音だ。


キッッッッショゥァォーン……の方、これは…体験が無いと捉える事が難しいかも知れないな。

(メイン)が自衛隊体験があって、(サブ)は奴を通して小銃の射撃体験の記憶を共有しており、自衛隊時代の(メイン)は200m先の標的に対して肉眼で射撃して、標的の全く同じ場所に2発入れる事が出来たのだ。

そうやって小銃の射撃体験が有るから判るのだが、射撃場で弾丸が標的のべニア板を貫通した数秒後に、200m後方の撃った人間本人が聞くような、そんな歪んだ音だ。





「すっげー!ねぇ、これ、面白いよっ!」





球はそんな香ばしい音を発して爆散した。

それを見て、野球少年(おれ)が喝采の声を上げていた。

接触したであろう、およそ400m先の、岩壁は…

推定直径…深さ…

あれ?

どの位だべ?

ちょっと見て来よう。









……


ほてほてと目標に近づきながら、思う。

俺、今精神体だよな。

もしかして、歩くってイメージだから移動が遅いんじゃね?

俺が自転車乗ってるイメージで移動できないかな?


…何故、こんな柔軟な発想を俺は今まで気が付かなかったのかな?

きっと多分、(サブ)にも有るんだろう、(メイン)の『シングルタスク特化型cpu』と、『我が儘フォーカス回路』が…ホント、よくよく気を付けよう。


俺はイメージの中で、自転車を漕いだ。

移動速度が自転車並みになった!

自転車無いのに、足を漕ぐ…そんなヤバい動きをしながら、俺は自転車速度になったのだ!


これ…イメージがもしもカブだったら?自動車だったら?レシプロ戦闘機だったら?音の速さだとしたら?音速を超えたジェット戦闘機だったら?光であったら?そして、理論上の存在のタキオンだったら?果ては、俺が想像する、仮想の何かの速さで有ったら……


…試してみる価値が有りそうだよな。








……


爆心地に近づいた。

直径…80mかな。

半円形だから、40mだ。

そんな半円のアートが出来上がっていた。

球の軌道が低かった為、本来で有れば直径80m位の円形であろうその爆散の衝撃食らったアートは、しかし半径40mに及ぶ半円に凹んでいた、これは岩壁の下の地面は砂地だから、本来なら下にも広がったであろう爆散の衝撃は地面の砂のクッションによりやわらげられたのだろうかな?

それでも、岩肌の近く、球が通過したであろうその範囲の砂は…

随分とまぁ、えぐり取られた様に凹んでいた。

(たがや)されたみたいにおおよそ平坦な砂場みたいだったその場所の砂地は爆散地の岩肌の近くを中心として漏斗状(ろうとじょう)に凹んでいたのである。

ほぼ垂直に切り立った大きな岩壁は、さながら、直径80mの球が岩を圧力で押しやったように、けれども、その球は上半分しか岩壁に接触していなかったみたいな感じで半径40mの範囲に綺麗な半円状の球形のクレーター状に凹ませており、残りの下半分は砂地により、その威力を低減させたのであろうと言う状態になっていた。


爆散によって出来たクレーターの深さは…

一番深いとこで…20m位かな。

垂直に切り立った岩壁に、20mの凹みである…

地面の、えぐられた漏斗状(ろうとじょう)になった砂地の部分も含めたなら、相当なもんであろう。


あれだな…

子供の頃の無邪気な遊びの延長線上で、ちょっと規模の大きな発見をした気分だ。

実際、球をぶん投げたのは俺じゃなくて、並列思考で生み出した野球少年(おれ)である。

やったな、逆モヒカン、上々だぞ!





「イエーイ!」





野球少年(ぎゃくモヒカン)は最早、そのあだ名に対して耐性を得ていて、むしろ、何かちょっと笑いが取れて美味しいと思っている様子だった。

判る、うん、判るぞ。

昔の少年(おれ)はまさにこんな感じだった。





さて、移動手段の検証だ。





カブを想像してみた。

さっき、自転車運転をイメージしていた時には気にしなかったから成功したのかな?

多分、そうなんだろうな。

砂地にタイアの動力を奪われてしまうイメージに唐突に思い至った時に、その瞬間からバランス崩してこけた。

周りの砂は、タイヤの空回りに抉られた様な軌跡の凹みを作り、今なお、砂がタイアの接触しているであろうその辺りから掻き出され続けていた…


さっきは砂の事など眼中無かったから成功したんだろうな。

けれどもつい今、爆散地点のえぐられた砂を見て、意識しちまったんだ。


いいか、俺、この砂には、俺の今見ている光景の中に、実は一枚のべニア板で作られた道があるんだ、見えただろ、ほら、薄く景色の中で発光している部分…真っすぐに続いているな?

その上を通って見ろ。

俺は俺に暗示を掛けてみた。

カブはスムーズに走破した。

べニアの板の道の発光する道しるべのイメージがカブの速さに追い付かなかった時には転倒した。

以後、要訓練だな。





おれは自動車を想像してみた…

先ずは四駆。

ランクルとか、ウニモグとか。

ちょいと目線が上がった。

そう、あれ、座席高いからな。


見事に走破する。

この常に薄暮(はくぼ)の夕陽みたいな恒星(こうせい)影響下(えいきょうか)、一面赤い世界の渓谷中(けいこくじゅう)を軽快に走破した。

一面の染み込むクリムゾンに映える砂漠の荒野、渓谷…写真家がこぞって群がりそうな非現実的な世界だな、心地好く、酔えるようだ。

しかし、実際これ、便利だな。

イメージの中で、軽快にハンドルを切っていた。





今度はスポーツクーペをイメージしてみた。

(メイン)が落ちぶれる前に乗っていた、オリンピックみたいな円が重なったマークの、ドイツのメーカーのクーペ。

仮想の路面を想像して軽快に走る。

車高が低い心配も、サーキットをイメージした路面なのでまったく問題無かった。

地上の凹凸(おうとつ)が激しい部分で、どうしてもアスファルト路面の滑らかな凹凸の無いイメージが出来ずに、下をガリッと擦ってそっから姿勢制御がかかって減速したりした。

やっぱ、この車、いーよな。

処分した事を(メイン)も悔やんでいた。






レシプロ戦闘機をイメージした。

視界はより、高くなった。


ブルン…

ブルルン…

ヴ………ヴ……ヴ…ヴ…ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…


俺がゲーム機種、セガ土星の中で、好きだったソフト、世界・高等・大戦略と云うゲームの、日本ルートで出てくる、零式艦上戦闘機21型を想像したのである。


戦闘機の風防(ふうぼう)を開いて風を受けるイメージをしてみた、随分とまぁ、心地好い。

風を受ける感触は全く無いのだがな、精神体(ガイスト)である事が少し残念に思えた。

俺は今、赤蜻蛉(あかとんぼ)だ!

銀翼(ぎんよく)零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)21型、通称、零戦(れいせん)は、恒星の(べに)をさして貰って、さながら軍乙女(いくさおとめ)の如く、エンジンの回転数を上げれば官能的な振動が響き渡る。


よし、得意の宙返りだ!

ワイルドキャット、F4F戦闘機に食らい付くイメージだ!

宙返りのGが物凄い…

あ…

やべ、貧血に似たあんな感じの症状が…








チュドゥゥゥゥゥゥーーーーン!!








墜落した!

物凄い衝撃だった!

何で俺無事なんだろ?

ステータスを確認した。

全然、生命力とか、ノーダメージだった。

魔力は4億位減っていた。

蚊に刺されたようなもんである。


…あれかな?

俺がGに負けて意識を手放していたから、それ以上のイメージがそこで途絶えて、そんであれか…イメージして無かったもんだから、ダメージが無かったのかな?

それとも、自分がイメージしたモノではダメージを受けない?

はたまた、俺が精神体(ガイスト)である故の特性みたいなもんかな?

どの要素なんだろうな?


俺は一個、以前俺が作った様に、重力魔法で砂から球を加圧溶解させて作った。

砂が一塊、宙に浮かんで球状になり、それがだんだんと加圧されて熱を帯びてくる…球は現在赤熱している。

そうして完成させた球を、未だに熱いで有ろうそれに触れるイメージをして触れてみる…


以前はすり抜けた。

今回もすり抜けた。

で、ダメージはステータスを確認しても見当たらなかった…


もしかして、俺、今チートですかっ!?

今後、どうなるかは判らんが、暫定(ざんてい)の所、今現在の俺は、少なくとも、


「自分のイメージしたモノ、衝撃等で、ダメージを受けない」

「物理的な風や熱でもダメージを受けない」


と思って良いだろう。

油断は出来ないけれどもな。








……

………


音の速さをイメージした。

俺は、今音だ!

或る一点から発生したそれは、其処から球状に広がって行くのだ…秒速…気温とかにもよるけども、地球では大体は300km台の速度でっ!





ピコーン!

〈個体名、ヲジサンに、新たなスキル、【空間認識】が発現しました。〉





…ん!?

新たなスキルを獲得したぞ!






これ、何だ!?

俺は今、現在立っている場所を中心として、そこから音速の速さで以って、その己の視界を広げて行ったのである。

その瞬間に広がる、どうしようもない不快感(ふかいかん)…情報が、情報が俺のスペック悪目の脳みそに飽和(ほうわ)して、瞬く間に俺の貧弱な記憶領域(メモリー)から堰を切った様にして一斉に氾濫(はんらん)して、零れ落ちる感覚…


う"ぇ…ぎぼじわるい!


何て言うか…

算数の宿題とかで計算やってる時に、両側の耳元で、「さん、ろく、きゅう、ご、はち、じゅうさん…」って囁かれ続けて、その囁いて来る奴を爽やかにグーの拳でぶっ叩いてやりたくなる感じ…

一点の景色に興味を持ち、其処を追って見ていたいのに、否応なく、その他の景色…視界情報が無理やり割り込んで来る感じ…


不愉快だし、腹立つ!

頭痛するし、むかむかする!

これは続けられないぞ。

俺は直ぐにイメージを切断した。

不愉快な感じはすっと抜けた。






【空間認識】…

俺が移動手段を意識していたらば、偶然に発現したスキルだ。

こいつを使いこなすには、この感覚に慣れて、鍛えないと駄目な感じ?

思い付く方法は…

あれかな。


並列思考で、俺の分隊(おれ)を沢山作って、負担を分散させないと駄目な感じだろうかなぁ…

ちょっと、そういう方向で試してみる?


だけどもなぁ…

アイツ等相手にすんの!?

上手く纏まるの!?










……


あー、あー、

只今無線のテスト中…

只今無線のテスト中…

こちら、司令部、

こちら司令部。

(ヴォルフス)(・シャンツェ)である。

各小隊、聞こえたら、感・明の量、報告せよ。






あっ!どもども、おっれっすー、ぃぇ~ぃっ♪おじさん、さっきの宙返りの変化球ボール、あれ、「零戦(れいせん)」って名前がいいかな?それとも、やっぱ、「隼一型(はやぶさいちがた)」かなー?ねー、ねー、おじさんってさぁ、未来の俺なんだよねー…やっぱでかくなったんだねー、ってか今更だけどもさー、おじさん、デブじゃん!えーやだよ俺、将来そんななるのー?投げ込みとかマラソンとかサボってんのー?しかも、ハゲじゃん。ハゲはさー、絶対にダメだよ、クラスメイトとかに弄られるじゃん!やだよー、伸ばしてよー!





……


はぁーい☆俺ちゃーん、元気だったぁー?あ・た・し・よ!あ・た・し☆…んもぅー、あなたの音声(バイブス)、ビンビン感じちゃうわぁー☆こんな大きな声量(もの)入らないわっ!ってくらい、来てるわよぉー、あ・な・た・が!あぁーん、来てるぅ―、来てるわー、(声量が)おおきぃー☆おおきぃーわぁーん!(耳の)奥に響くぅー、響くのよぉー!あ・な・た・の、感触がまだ中に(耳に)残ってるぅー☆





……………


お?何だおら?出入りか?道具(モノ)とか持ってくか?木刀とか竹刀とか、まず、どの程度の戦争になるんだ?それを言わねぇとこっちも準備があるからよぉ、刃物はどうする?拳銃(はじき)まで行っちゃうのか?相手の規模によってはよ、道具(モノ)は変わるぜ。何処までだ?何処までの戦争なんだ?何人対何人だ?直ぐに集められる兵隊はせいぜい今んとこ20人位のもんだぞ、皆今は帰っちまったからな。事務所スカスカでな、とりあえず近くの(もん)集めるか?今多分あすこの雀荘(じゃんそう)か中華屋だろ…





…………………


なんだよ、これ以上、僕に何を求める…砂上(さじょう)楼閣(ろうかく)みたいなこんな僕に、君は未だ課税(てつだい)をさせると云うのか!?何故だ、何故人は貪欲に労力(それ)を求める、そして使い捨てにするっ?信じられるかっ!僕はね、僕が僕である為にのみ、僕は僕の存在としてのリソースを裂きたいんだ、世俗(ぞくせ)はいつもそんな僕に関わってこようとするっ!全く、何て図々しいのだろうかっ!結局は、人は、一人では生きられない、と君も云うのかっ!何故だっ!それは我々の運命なのかっ!?ゲーテが言っていたように、「我々は互いに誤解し合う、それこそが、運命だ。」けだし、名言ではあるさ。だけども僕は………





…………………………





駄目だ。

全く(まと)め上げる自信が湧いて来ないよ。


俺、今夜は少し泣いて良いかな?


泣きながらシャワーを浴びる、上司からの望まない情交に断れずに流されて応じてしまった不倫指数の高そうな未婚の、感性が繊細過ぎる感じのドラマのOL役の女優みたいにさ。


「アタシ、何やってんだろ…」


そんな台詞が、今まさに俺の気分にピタリと符号(ふごう)するかの様なんだよな…










(˘•ω•˘){ハゲじゃん、デブじゃん!


(メò_ó){ 兵隊何人集めんだ?


('∇'){ はぁーい☆お・ひ・さ・しぃ!


(ó﹏ò。){ もう、僕に関わるなっ!


( ˙-˙){…泣いていーかな。

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