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ターゲット発見

早めの投稿です。

楽しんでいただけたら嬉しいです!


さて、大ほら吹きの令嬢として名を轟かせない為にまずしなくてはいけない事。

それは友達を作ること。

魔法で作るのではなく、同学年との交流を持ちましょう。



講堂は段々と人が集まってきている。私が儚げな色溢れる顔で緊張を表現しているのを両親は楽しそうに見ている。

お父様の口から「うちの娘は尊い。」なんて溺愛染みた言葉が聞こえるのは、この際無視します。人の集まり方を見るに、入学式が始まるまでまだしばらくかかりそうだ。


周囲を見回せば私と同じように緊張した顔の子もいれば、興味が溢れんばかりにキョロキョロと落ち着きのない子もいる。

私がこの中で友達を作るとしたらどういう子がいいのか。

少なくともゲームと同じではいけない。私の雰囲気に騙された取り巻きのような人を選んでちゃ、きっとゲームのベルトリアの二の舞になってしまう。

この場で私が探さなくてはいけない人たち。

それはロイスとアリアの双子の兄妹だ。


ロイス・キャンベルとアリアーナ・キャンベル。

この二人は私と同じ家格の侯爵家、キャンベル侯爵のご子息だ。家自体の繋がりは無きにしも非ず。そもそも国における派閥が違った為、関わりは代々薄かった。

それでも同じ家格同士の繋がりはもちろんあるのだが、密なものではなかった。

それがここ最近疎遠ですでは済まない状況なってきた。その1つがハリス王子。

ハリス王子は国王の第二妃の御子で、第一王子。王妃には王女が二人いるが王子がいない。そして昨年ご病気をされた際に、子を望めなくなってしまった。この国は直系男児の継承権が優先される為王位継承者はハリス王子に暫定。それを見越して第二妃の出身の家、イデア公爵家が力を付けてきた。

私の家、サンティス侯爵家はイデア公爵の遠縁であるため第二妃派に属し、ロイスたちの家キャンベル侯爵家は中立派。王妃派の勢いが止まり、国王がハリス王子に期待を寄せ、目を掛けているこの状況では日和見している中立派にも焦りが出てきた。第二妃派も力を付けるため中立派にすり寄り、仲良く手を組みましょうとなりつつある。


と、言うわけで私は家の状況からもロイスとアリアと友達になって問題ないわけで。

むしろ推奨されるわけで。


だけど私の本当の狙いはそこではない。

主人公は中等部に編入したのち、天真爛漫に色々なイケメンを引っ提げて学校を闊歩する。その時に主人公に苦言を呈するわけでもなく、良い印象を持つわけでもなく、ただ私と主人公の対立を戒めてくれていたモブがこの兄妹なのだ。

大して仲のいいわけでもない私に、「見苦しい、おやめになったら?」など辛辣までも注意してくるのがこの二人しかいない。


こんなん、絶対友達になるしかないでしょ。

ゲームに私が引っ張られないとも限らないこの世界で、私の手綱を握る人たちを確保すること。

これが初めの一歩になる。






「人が集まり始めたよ、トリア」

お父様の声に5歳の脳みそフル活用していた私は現実に戻る。

周りを見渡せば先程より人が集まり始め、職員たちが席を誘導し始めている。

始めの席はこの国の派閥に基づいて決められているが、その後は水晶に触らせられ魔力の質によってクラス分けされる。


「サンティス侯爵様、こちらへ」

職員の誘導で私たちは前の方へ案内される。

「さあ行こう」というお父様の一声でお母様と私は歩きだす。

一度隅に寄り通路を歩いていく。前にも案内されている方々がいるようだ。

人数が多い分、連なるように案内されるのは仕方のないことだ。追いつかないようにゆっくりと歩くことにする。その時案内されている女の子がハンカチを落とした。


「あ、ハンカチ」

私ははしたなくない程度に駆け寄るとハンカチを拾い、お父様の制止も聞かず先に案内されている令嬢に声を掛ける。


「すみません、ハンカチを落とされましたよ」

前を歩いていた女の子はふわりとこちらを振り向いた。少し先を歩く男の子と手を繋いでいるその子は、私の手の中のハンカチを見ると慌てたようにドレスをまさぐる。

ドレスにはポケットがないはずなのにどうしたのだろう。

「ありがとうございます!」

女の子は勢いよく私の手に飛びついてきた。

びっくりし過ぎて声も出ない。

それにしてもこの子、見たことあるような。


「ほら、アリアが僕の真似をしてポケットを無理にドレスにつけるからだよ」

「だってロイス、ずるいじゃない。貴方だけ何でもポケットに隠せるんですもの」


先を歩いていた男の子も戻ってきた。

ああ、なんだか私は今日すごくラッキーなようだ。


「妹のハンカチを拾ってくれてありがとう。僕はロイス。」

「本当にありがとう。私はアリアーナよ。あなたは?」


「私はベルトリア。よろしくね」



ターゲット発見。


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