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私の家族ってチートですか

誤字報告、ありがとうございます!

ブックマークや評価もつけていただき、凄く励みになります。


夕食の時間は大変賑やかに流れていく。

お兄様も交えた一家団欒の食事の時間は、昼間よりも和やかに進み談笑に花が咲く。お父様とお母様に学校での出来事を報告し、お兄様がそれを懐かしそうに聞いていた。


「ベルトリアのクラス分けは何になったんだい?」

お兄様がワインのグラスを傾けながら、こちらへ声を掛ける。大変絵になりますね、お美しい限りです。

「私はサラマンダーになったの。“記憶の中”のベルトリアはナーガだったけど、私は魔力の質が二色あったから、違う方を選んだの」

私は簡単にお兄様に流れを説明する。

説明している最中のお兄様の視線が、何だかぎらついていてとても怖かったけど、きっと気のせいのはず。


お兄様の菫色の目が、アメジストのように輝きを放ってきた頃にお父様が話題を変えた。

「そういえば、今年の魔法基礎理論の魔法省からの出張講師は誰だったかな…」

ナイスですお父様。これ以上は逃げ出してしまいそうでした。

お父様がこちらに向かって右目を軽くつむってウインクを送る。見慣れた親じゃなければファンクラブでも作ってしまいたい美しさ。遠目から眺めてたいですね。

「今年は、僕の番だよ」

お兄様はお父様に向かって、少し拗ねたような表情で答える。

「という事は、午前は学校で午後は家庭教師をするということだね」

「そうなるかな。魔法省に出勤ができない事に関しては、研究のためのフィールドワークとでも書類を提出しておきます」

お兄様がそういうとお父様はクツクツと笑いながら頷く。

「あながち間違っていないな」




魔法基礎理論。

それは≪無属性魔法を使って魔法とは何たるかを、理論立てて理解していく≫何ともややこしい授業だ。そもそも魔力とは何なのか、どうやって使うのか。無属性魔法と家系魔法を使い分けるにはどうするのか。そういった魔法を使い始める為の基礎のようなものを学ぶ。

勿論、理論だけでなく無属性魔法の習得もこの授業に含まれている。私はこの授業が楽しみで仕方がない。


「魔法基礎理論の授業、凄く楽しみ。お兄様が教えてくれるのね!」

私はお兄様が担当になるのは知っていた。でもそれはゲームの中の話で、変化を起こした今もそれと同じ状況か分からなかった。

私は、ここには変化がないのだと安心した。担当の教師が家でも引き続き教えてくれるなんて、素晴らしいじゃないか!!授業に躓いたらお家でもそのまま復習ができるし!!

この世界に来てから未だに、魔法を使っていない。魔法の使い方は学校で一斉に指導を始める決まりがあるからだ。だからどれだけ強請っても、魔法は教えてくれなかった。

私はお兄様に向かって期待を込めた視線を送る。

お兄様はなんだか照れ臭そうに笑うと、私の頭を撫でてくれる。

「人に教えるのは初めてだから、期待はしないようにね。それに僕は感覚的に魔法を使うから、理論を説明するのは少し苦手なんだ」

なるほど、天才の意見ですね。


「何を言っているのか。お前、ずっと主席だったじゃないか。」

お父様は胡乱げな視線をお兄様に向ける。お兄様はバツの悪そうな顔をして、笑っている。

「理論を覚えても、理解していないでも、魔法は感覚的に使える。だから丸暗記してそれっぽく見せていた時もあったよ。流石に古代魔法を研究するにあたって理解したけど」

「あらまあ、ルーは流石ね」

家族の中でにこやかに話されているこの内容って、若干チートっぽいよね。だって理論を分からないと使えない筈の魔法を、妖精の血で行使できちゃうし、魔力量はエルフの血でたくさんある。


あれ、私頑張れば魔法で無双できちゃう?

始めから乙女ゲームルートからは外れるつもりだったけど、アドベンチャー的なルートに向かっても、私何とかなる気がしてきた。






食事の時間も終わり、私は夕方に中庭で気になった疑問を解消することにした。

「ねえ、お父様、お兄様」

「なんだい、トリア」

お父様がテーブルナプキンで口を軽く拭きながら、こちらに視線を向ける。

「昔から疑問に思っていたことなんだけど、聞いてもいい?」

お兄様は質問に思い当たる節があるから、ニヤリと笑ってこちらを見ている。

「それはベルトリアが、中庭でしてきた質問と同じ?」

「ええそうよ、お兄様」

お兄様は黒い微笑をさらに深くし、お父様に視線を送る。お父様は訝しげな表情をして、テーブルにナプキンを置く。

「どういうことかな?」

お父様は私でなく、お兄様に視線を向ける。

「父さま、ベルトリアはすでに“精眼”を持っている可能性がある」

お父様が目を大きく見開き、私に勢いよく視線を向ける。

「本当かい、トリア!」

いやいや、待って。まず精眼って何か教えてください。

お父様の剣幕が怖すぎて、私の中でベルトリアが大変萎縮しております。私達は今日何度怖い思いをすればいいのかな。感情の振り幅が広すぎてつらいよ?


「精眼というのは、魔力を水晶を介さずに見ることができる目の事だよ。妖精の放つ魔力の光や、誰かが使った魔法の名残みたいなものが見えたりするんだ。非常に視界が賑やかになるよ」

お兄様が精眼を分かっていない私に軽く説明してくれた。うん、心当たりあるよ。

という事は、この“精眼”で見えているものがベルトリアの視界なのか。


「精眼が何なのか分かった。それなら私、見えてるかも?」

そう答えた私をお父様が驚きに満ちた表情で見つめた。その横で微笑んでいたお母様も少し目を見開いて、こちらを見ている。

なんだかこれ、まずかったのかな。







メリークリスマス!

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