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あの日から数ヶ月がすぎて、雪深かった庭園が春の蕾に囲まれ始めた。

あの頃以来殿下たちは研究に勤しんでいるらしい。噂に過ぎない話だけど、リーゼロッテがヒィヒィ言いながら書物を運んでいたから事実だと思う。




私たちは11歳になった。

私の婚約者は実は決まっていない。

少なくとも殿下は外れて、これで絞られるに思えたんだ。けれどもロイスが体調を崩したまま時間だけが過ぎて、アルとシリウスが抜けがけを嫌がってそのままだ。

ロイスは10歳の誕生日を機にどんどん体調を悪くした。


そして今日は、キャンベル侯爵が我が家を尋ねてくる日だった。





「御機嫌よう、皆さん」

キャンベル侯爵が挨拶を交わすのはお父様とお母様。その後ろで私とお兄様も頬笑みを浮かべて迎え入れる。親友の親なのだから礼儀だ。

そのままサロンへ案内されると思いきや、連れていかれたのは精霊の樹が1番近い家族の談話室だった。

「侯爵、ここなら気持ちも落ち着くだろう」

お父様がそう言うと、キャンベル侯爵が深く息を吸ってゆったりとした表情を浮かべる。

「これが、精霊の樹ですか…」

彼は不思議そうな顔をして庭を見つめるその視線の先には大樹が聳える。



お茶が運ばれ、場が整う。

お父様とキャンベル侯爵の無言のやり取りが続く火のように思えた。

「キャンベル殿、貴殿の話を聞こう」

お父様がそう言うと、キャンベル侯爵は目を見開いて少し笑う。

「ありがとう、我が友よ」

キャンベル侯爵はそのまま家の話を始めた。




なんでも、彼の母親が闇の妖精とのこと。彼はその力をほぼ受け取らず、人間として産まれ育った。しかしかの母親は闇の影響に飲まれて居なくなってしまった。

そのまま彼は結婚し、妻子に恵まれる。それがロイスとアリアだ。しかし彼らはその血を受け継いだ。

アリアとロイスは魔と人間の狭間で揺れ動いているからこそ、そのチカラが安定せずに心を乱し、体調を崩すらしい。

つまり今、ロイスは戦っているんだ。




私はその言葉を聞きながら、アリアの顔を思い浮かべる。でも、そのアリアは私の言葉に首を横に振る。そんな姿しか思い浮かばない。


これは、何かが違う。


私はひとつ息を吐くと、ゆっくりキャンベル侯爵の言葉に耳を向けた。




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