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夏のホラー2019

突然鳴り出す待合室の公衆電話

作者: 索☆創




「だからねチミ、小説ってホラーに向いてないのヨ」

 

 私はこの病院の入院患者だ。

 昼間散々寝てしまい、夜寝れなくなった。

 煙草でもと待合室にきてみれば、灰皿の「は」の字も見当たらない。

 とっくに院内禁煙か。

 喫煙者が散々勝手したツケが回ってきたと思えば腹も立てられない。

 外までいこうかと歩き出した時にそれは起こった。


 突然鳴り出す待合室の公衆電話。


 今ではとんと聞かなくなった呼び出し音が私の足を止める。

 病院関係者がくるだろうと待ってみたが誰も来ない。

 松葉づえのこの身では、少し遠くに灯りが見えるナースステーションに行くのも面倒だ。

 煙草を吸うのに倍は歩かなきゃいけないのにな。

 思わず苦笑して鳴り止まない公衆電話の受話器を上げる。

 どうせ間違い電話だろう。

 一言、二言話して切ればいい。

 もし、深刻な内容なら壁にあるコールボタンを押せばいいさ。

 軽い気持ちで電話に出てしまった事を私はこの後後悔した。

 

「漫画なら絵力、画力ちゅーのそれで気持ち悪いとかページ開いてバーン! みたいにできるわけヨ」


 受話器を耳に当てた状態から体が動かない。


「ラジオとか音媒体なら声色とか効果音ね。突然の大きい音も使えるヨ」


 金縛りって寝てる状態でかかるもんじゃないのか。

 

「テレビとか映画ならやりたい放題ヨ。グロ、エロ、特集メイクにCG。もう何でもあり。でも、やり過ぎて予算が無くなるのは悪夢ね」


 いや今、金縛り状態で興味の無いホラー講座聞いてる方がよっぽど悪夢だよ。


「その点、小説は読者の想像力任せなのヨ。どんなに細かく描写しても怖くないものは怖くないのよ。わかる?」


 わかるか! ああ、口が動くなら怒鳴ってやりたい。


 コツコツと革靴の足音が背後から近づいてくる。

 しめた! 警備員さんがきてくれた。


「助かったって思った? 無駄ヨ」

 受話器の向こうから気味の悪い含み笑いが聞こえる。


 警備員さんは私に黙礼するとそのまま巡回に戻っていった。


「あなた、普通に見ればただの電話している人。誰も助けないヨ」

 ああ、そうかい。


「で、続きなのだけど小説の投稿サイトがあるのヨ。みんな工夫して怖がらせよう、怖がらせよう、怖がらせようってするのね?」


 知らんわ! こちとら最近は紙の本も読んどらん。


「黒い背景選択するとちょと雰囲気出るヨ。でも、もっと色変えれるの」


 興味無いっての!

 動け、俺の腕! 電話を叩き切れ!


「まず、普通に投稿。その後投稿済み小説から色変えたい小説選ぶ」


 ふんぬー!動け。動け。動け。


「レイアウト変更の一番下ヨ。HTMLタグ入力で色設定するを選ぶの」


 ちょっと動いた? よし!


「あとは、bgcolor一覧で検索して好きな色のコードを六桁いれればいいヨ。なんか質問ある?」


 急に口が動くようになった。


「お前はなんだ? 俺に怨みでもあるのか?」


 怒りを表すなら私より俺だろう。

 自分でも驚くほど低い声が出た。


「私? 異世界で処刑されたかわいそうな人ヨ。罪状はアドバイス罪。質問無いなら、さよならヨ。じゃネ~」


 じゃネ~ じゃ、ねーよ!

 バン! 俺は動くようになった腕で受話器を電話本体のあるべき所に叩きつけた。


 ハァハァと荒い息をつきながら俺は金縛りの溶けた体をほぐす。


 煙草なんかどうでもいい。

 憑かれた。今すぐ部屋に戻って寝よう。

 興味が無いことを延々聴かされるってなんの拷問だ。

 

「あなた、何してるの?」

 杖をつきながら振り向くと、ザ・お局といった感じの看護師さんが俺をにらみつけていた。


「これはなんですか?」

 看護師さんがさっきまで俺を金縛りにしていた呪いの箱を指差す。


「公衆電話」

 誰だってわかるだろう。


「そうです、公衆電話。公衆の物です。それをなんですかあなたは。もっと丁寧に・・・」


 お局さんの説教は辺りが明るくなるまで私を金縛りにした。

 アカイカベの色指定テスト用短編の再利用です。

 あと、非公開状態から公開にしたらどこに挟まるかもテスト。

 やっぱり最初に投稿した時間に挟まるみたいです。

 検索トップに載らないから閲覧があまり増えませんね。

 そんな中でも読んで頂いたあなた、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まるで主人公をどこかで見ているかのようでしたね。 レクチャーお疲れ様でした。
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