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勇者もどき追放作戦⑨

「それにしてもいいんですか? 公爵をキャンプカーに呼ぶ約束なんかしちゃって……」


 冒険者ギルドでの用事を済ませ、マリとセバスちゃんはギルド近くの街をブラブラと歩く。

 公爵はセバスちゃんが出したハンバーガーに味をしめた様で、他の料理も食べて見たいなどと言い出し、ちょうどギルドに持ち込まれたモンスターの肉をマリ なりのアレンジで調理する事になった。貰った肉はオークという名のモンスターらしいが、勿論、見た目も習性も分からない。この世界では、それなりの高値で流通しており、人気がある肉らしい。マリは料理への探究心は人並み以上にあるため、取り敢えず引き受けてみることにした。

 肉は公爵が氷の魔法で保存処理し、箱につめて、現在はセバスちゃんのリュックの中である。


「いいんじゃない? 希少なモンスターの肉も味わえるし。アンタだって楽しみでしょ?」


「まぁ、興味はありますが、ハンバーガーとその肉のどちらかしか食べられないなら、迷わずハンバーガーをとりますね」


「歳をとると、冒険しようって気持ちが無くなるのかな。あーやだやだ」


「ネットの世界では、冒険心溢れるスタンスなんですがね」


「念のため言っておくけど、Twitterで気に入らない呟きを見たら、クソリプ飛ばして相手に粘着される事は、冒険って言わないからね」


「グヌヌ……」


 渋面を作るセバスちゃんには興味が無くなり、マリはギルドから発行してもらった冒険者カードをポケットから出した。書かれているランクは『G』。最底辺の冒険者ランクという意味らしい。

 だけど、このカードあれば、この大陸中の都市に入る事が出来るし、国境を超える事も出来る。モンスター討伐や護衛の仕事も貰えるらしい。


 仕事の受注については、意識しなくていいだろうが、都市へ入りやすくなる事はそこそこ大事だ。それと、オプションとしてこの国全体の地図を貰った。今居るレアネー市は南西に位置しており、王都まではかなり北上しなければならないようだった。


「それにしても驚いたよね。冒険者ギルドでやってもらったステータス鑑定? 結果がキャンプカーのカーナビで表示されていたステータスらしい内容と一致していたんだから。偶然にしてはちょっと合いすぎなんだよね」


「そうですね。やっぱりあのキャンプカーは、マリ様のスキルが関係してそうな気がします。ガソリンメーターが動いてない点も変ですし……」


「ギルドの鑑定でもキャンプカーマスターとか、わけのわからないスキルだったね。この世界にそもそも自動車なんて無さそうなのに」


「ですね。ジワジワきます」


「便利だし、何でもいいや」


 実はマリの鑑定結果でちょっとした騒ぎが起こった。『選定者』というのは1000年程現れていない、レアジョブらしいのだ。この異世界の地に、1000年程の間で起こっていなかった事態が起こっていて、その影響でマリの様な者が現れたのではないかと言われたが、マリとしては「知っちゃこっちゃない」である。

 だけど、ギルドマスターとしてはそうもいかないらしく、マリとセバスちゃんは王都へと向かう途中で、神殿に立ち寄る事になってしまった。


 因みにセバスちゃんのジョブーーアニオタ執事ーーは、千年どころか、初めて現れたらしいが、残念ながらこちらは華麗にスルーされていた。大した事の無いジョブなのに、わけのわからない形容詞が付く現象は良くある事らしいのだ。


 セバスちゃんは、特に気にしていないようであるし、寧ろ自分の実態を正しく鑑定した事に感銘さえ受けていたようだ。そんなセバスちゃんの横顔を見上げると、彼は「お腹が減りました」と呟いた。


「こちらの世界の通貨も手に入った事ですし、昼ご飯はレアネー市で済ませませんか?」


「あー、いいね。そうしようか」


 マリとセバスちゃんは、ギルドで現地通貨をゲットしていた。同情から援助されたわけではない。立派な取引で得たのである。

 異世界に飛ばされた時の事を想定し、マリは金のインゴッドを持って来ていた。そもそもこの世界で金が価値があるのかどうかについて不安だったものの、心配はいらなかった。通貨自体が金で出来ているから価値が無いわけがなかったのだ。

 ギルドマスターに話を持ちかけてみたところ、協力を快諾し、すぐに宝飾店の店主を呼んでくれた。

 鑑定結果では、500gのインゴットに対し、金貨が250枚渡された。ギルドマスターによると、金貨250枚あれば、この国で一年間は余裕に暮らせるだろうという事のようだった。捻くれているマリは、生活水準で額はだいぶ変わりそうだと思いはしたが、まぁ、それなりの金額だと考えてよさそうだ。


「シルヴィアさんに教えてもらったマーケットに行ってみませんか? 明日公爵が来た時の為に、新鮮な食材を買ったらいいでしょう。いけ好かない野郎でしたが、マリお嬢様を舐められたくはないんです」


「私は缶詰でも、乾物でも使いこなすよ! 保存食の使い手!」


「ぬぬっ!?」


「けど、この世界の食材は気になるし、行ってみよう!」


「GOGOです!」


 ギルドマスターに貰ったレアネー市の地図を広げ、二人で適当な事を話ながらマーケットに辿り着く。そこには、ニューヨークにある、ユニオンスクエア グリーンマーケットみたいに、簡素なテントの下、山盛りの野菜や果物が並んでいた。

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