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水の神殿で残る雑務②

 カリュブディスを浄化した次の日、マリ達は水の神が戻って来るまでの間、水の神殿に滞在するか、一度王都に戻るか話し合った。国王への報告の為にも、王都に戻る方に話がまとまりかけたのだが、話し合いの最中にキャンプカーを訪れたアリアからの依頼により、帰還は先延ばしになった。

 アリアからの依頼__、正しくは水の神殿からの依頼なのだが、神官達は、カリュブディスの浄化から、マリの実力を認める事にしたらしく、ついでとばかりにリザードマン達の浄化も頼んできたのだ。

 とはいっても、レアネーに暮らしていた獣人達がそうだったように、亜人は障気の影響を受けやすい。

 一時的に浄化したとしても、また毒されるのは分かり切っているのに、それでも神官達はリザードマン達を見捨てられないようなのだ。

 たぶんそれは、リザードマンが少し前まで水の神を信仰していたからで、神官達は彼等が浄化されたら、また水の神を信仰するようになると考えている。つまり信徒に対して、水の神殿が寛大な対応を見せるというのパフォーマンスの一環なのだろう。


 マリはイマイチやる気が起きない。自分が、ポイント稼ぎに使われるのが気に食わないのもあるし、リザードマンが人間と味覚が異なるらしい事も微妙だ。生魚の丸噛りが最も美味いと考えている様な連中のために、工夫を凝らした料理を作るなんて、ちょっと馬鹿らしい。しかも彼等への摂取のさせかたが、一昨日みたいに水場に混入させるというので、さらに、だ。

 自分の料理は毒物と同列なのかと。


 やる気をなくした時のマリは凄い。手をかける気が一切無いので、ペットボトルに水を入れ、鰹節や昆布、煮干しを詰めて、一晩放置しただけの出汁を浄化用としたのだ。

 流石に浄化は無理だろうと思ったのだが、そうでもなかった。

 神殿騎士が、リザードマンの里の水場に出汁を混入した次の日、水の神殿にリザードマンの族長が謝罪に訪れたので、浄化の効果があったようだ。

 自分のスキルはなかなかに強烈らしい……。


 それで役目は終わりでよかったのだが、水の大神官は変な気を回し、水の神殿とリザードマン達の和解の場にマリを呼んでくれた。



 応接室の入口付近で、膝を折る巨大イグアナ。彼がリザードマンの族長だ。緑とピンクのマダラ模様の皮膚がチャーミングで、金に縁取られた紅色のローブを着ている。


「このたびは、まことに申し訳無い事をした。私を含めた里のリザードマンに異常が現れたのはたった、1、2日の間。ゆえ、対処の仕様もなかったのだ。族長として情けない限り……」


「よいのですよ。もう事はおさまったのですから」


 族長の謝罪を、水の大神官であるイドラはまるで全て自分が解決したとでも言わんばかりの態度で受け入れる。


「最近の障気の濃度が急激に増したのは私達も把握しておりました。二十年前の記録を見てもこれ程の増加はなかったので、水の神殿付近に異常な現象が起こっているのは間違いなさそうね」


 イドラの話に、マリは(おや?)と思った。水の神は彼女にオーパーツの説明をしていないのだろうか? 自分から伝えてようかと考えているうちに、族長が気になる話をしだした。


「実は……。私を含めた里の者達がおかしくなる前日に、私達の元にうら若き乙女がやって来たのだ。黒髪に猫耳……。邪悪な気配を漂わせているというのに、実に魅力的でな」


 ピンときた。族長は魔王に会ったのかもしれない。身体的特徴がコルルのものと一致する。魔王はレアネーを去った後、リザードマンの里を訪れていたのか。


「『配下になれ』と言われた時、私の心の中に迷いが……。ピチピチの猫娘とおかまの神、どっちを取るか、答えは明白に思われた……。そしてその迷いが障気に侵される隙を生んだと思われる」


「笑止!! 族長殿、見損ないましたよ! 私は貴方達を不幸な同志と思っていたのに、なんという裏切り!!」


「イドラ殿もあの猫娘を見たら、私達の心が揺れたのが理解出来ると思うぞ!」


「えぇい!! だまらっしゃい!!」


 トップ同士がこれでは、この先が思いやられる。

 聞くに耐えないので、話がまとまるように、マリは口を挟む事にした。


「リザードマンの里に現れたのは魔王だよ。ここ1000年程の間でもっとも障気の濃度が高まっている事と合わさって、族長さん達は簡単に洗脳されちゃったんじゃない?」


「ぬぅ……。そこな美少女、名は何と申す」


 族長はギョロリとした目でマリを凝視した。


「私はマリ・ストロベリーフィールド。ただの凄腕料理人だよ!」


「マリ様はプリマ・マテリアの未来の最高神官。お前達の身体を蝕んでいた障気を浄化したのはこの方だ」


 同席しているモイスが高飛車に補足説明をしてくれたが、余計な内容が含まれていたので、「最高神官にはならない!」と否定しなければならなくなった。


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