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残酷な世界

この世中は不公平であって平等ではない。

そんな残酷な世界に住み続けたが、ある日を境に環境は一変し勇者と皆から呼ばれる日々が来るとは誰も思っていなかっだろう。



東京都の新宿に住む、成瀬夏樹は高校3年生を迎えようとしていた。担任の先生から大学より就職する事を強く勧められた。夏樹は担任の一言の意味を理解している。それもそのはず、勉強面ではテストの平均点数が40点前後なのだから。だが、そんな夏樹にも長所があり理解能力と運動能力、そして指揮能力が遥かに高いのだ。勉強面では赤点をギリギリ逃れるのだが、勉強と言う概念思考が強く、好奇心が悪いだけであって軽く勉強すれば、点数は4倍近く跳ね上がるだろう。


そんなたわいの無い事を思いながら家に帰宅途中だった中、夏樹は道路を眺めた。視界に入ったのはいつも空いているはずの道が大渋滞していた。こんな時間帯に大渋滞がある原因を探ろうとしたが、夏樹には関係がないな為、考える事をやめた。50m歩き続けると火災現場を発見した。状況を確認すると4世帯の賃貸物件で既に住民は避難をしていた。

「重症者が居なくて本当に良かったわね」

と近辺に住んでいる40代半ばの叔母さんが呟いていた。夏樹もその現場に近くと…


「うちの息子はまだ中にいるんです!誰か助けて下さい」避難した一児の母親が叫び続けている。既に現場状況を通報しているが、一向に警察と救急車、消防隊が来る気配がない。

夏樹は考え出した答えが、先ほどの大渋滞だ。理解能力が高いがために推測すると応援が来るまで15分が少なからずかかると言ったところだろう。そのまま待てば確実に一酸化炭素中毒で子供に被害が及んでしまう。風向きと風力を計算すると火災自体は広がらないだろう。でも、このままだと…

夏樹は一児の母親に向かって言った。

「私が助け出します!安心して下さい。」

状況を冷静に考えれば、助ける事も困難であり二次災害に繋がる恐れもある為、待った方がいい選択肢なのだ。だが、勝手に口が動いてしまったが撤回は出来ない。撤回できないならば助け出せばいい話の事と胸に刻み、賃貸物件に向かって走り出す。

こんな無謀な考えを持ち走り続けているが、夏樹にも称賛があったのだ。熱く燃え上がった炎を目の前にすると絶望な風景で残酷な世界だった。心底神様と奴らに恨みたいが一新で炎に飛び込んだ。間取りを事前に事細かく一児の母親から聞いていた為、子供がいる場所はあらかた予想がついていた。真っ先に向かい目ぼしの部屋に向かうと1人の子供が背中を丸め隅っこの方で泣いていた。

「もう、大丈夫だよ。ママの所に帰ろう。」子供に言い直ぐに現場に立ち去ろうとするが都合よくは行かなかった。玄関の手前まで来たのにもかかわらず炎が強くなり脱出困難になっていたのだ。夏樹は考えて考え尽くした結果は生きるのは片方だと実感した。それもそのはず、推定中学1年生の子供を庇いながらは生存確率が低い。背負う事も抱きかかえる事も非常に険しいが、この場から1秒でもはなければならない使命と指令を痛感していた。

「君は走れるかい?この場から一刻も早く出なければならない。走らなければ私と死ぬ事になる。君が死ねばママが悲しむ。だから立ってくれないか?」

そう夏樹は現実的な言葉を発したが、一酸化炭素中毒の原因か体調が弱々しくなっていた。炎も更に増して確実に脱出が不可能になってしまう。夏樹は中学生1年生の子供の手を取り、一緒に走りだした。何とか玄関先に出れたはずだったが、夏樹も飛び込もうとした瞬間に柱が落ちてきて道封じされたのだ。

「聞こえるかい?私も今すぐ出るから早く階段を降りるんだ!ママが待っている」

中学1年生の子供は夏樹の声を聞き走りだした。恐らく無事に母親の元まで辿り着けただろう。

だが、大きな問題は夏樹の現状だ。意識が朦朧としていく中、夏樹は生きる事を諦めた。

「もう、駄目だ、くだらない人生だった。」目を瞑り自分のリミットを待ち続けたが、まだ意識がある。明らかにおかしいので目を開くと賃貸物件ではなく、炎も無くなっていた。夏樹は天国だと確信していた最中に目の前に杖をついたお爺さんが立ちはだかっていた。夏樹に近づき爺さんが話しかけてきた。

「夏樹くんじゃのぉ?お主はまだこちらの世界には来ないはずだったのだ。これもまた運命と言う奴かのぉ〜。」笑いながら話しかけてくる為、なぜか知らぬが、腹が立ってきた。

「お爺さん、私は死んだのですか?ここは天国ですか?私はこれからどこに行き何をするのでしょうか?」と冷静に爺さんに話しかけた。

「そうじゃ、お主は死んだ。ここは天国でも地獄でもなく時の狭間じゃよ。お主はこれから一生眠り続けるのじゃ。だが…先程も言ったようにお主は後68年は生きる予定だったのじゃ。君は人を助けて死んだ。だからのぉ、特別に第2の人生をやろう。お主が第2の人生を選ぶかは夏樹くん次第じゃ。返答は聞かせてくれぬか?」夏樹は爺さんの言葉を疑う事はなく考え始めた。第2の人生とは何なのか?長いようで短い人生にうんざりだったが、どうせならもっと行きたいと思い返答を返した。

「お爺さんに何点かお聞きしたい事は山々ですが、第2の人生を選びます。またいつも通り平凡な日常を迎えたいです。」

「お主の願いは叶いそうにないのぉ。なぜならば、次の人生は剣と魔法を扱うファンタジーの世界なのじゃよ。欲を言えばお主はそこで世界を変えて欲しい。治安が悪くてのぉ。お主の様な方が少ないのじゃ。さてもう一度問うぞ。第2の人生を選ぶか?」

ファンタジーな世界?疑問に思いつつ、恐らく漫画やアニメで見るあの世界の事だよな?夢にも思ってないシュチュエーションだ。平凡な日常もいいけど体を動かすのは好きだし行くことにしよう。そして漫画やアニメの様な展開ならばら何が強力なパワーをその爺さんから得られるだろう。ここまで推測した夏樹は返答し始めた。

「第2の人生を選びます。ただ、条件があります。世界を変えるのはたやすい事ですが、力がなければお爺さんの役に立てません。そこで、力を頂きたいのです。」

「承知したぞ。お主に力を与えてやろう。剣と魔法を扱うファンタジーの世界なのだが、魔法を扱える種族が少ないのだ。つまり魔法があれば治安も世界も大きく変わることだろう。魔法を扱える様にさせるのはどうじゃ?」

「それで構いませんが、私は魔法とやらを発展させればいいのですね?烏滸がましい話ですが、基礎能力の向上もお願いしたいのです。」

更に条件を付け加え爺さんの反応を伺うが、どうやら深刻に考えているらしい。10分後、ようやく基礎能力をいただける事となった。色々とファンタジー世界の詳細を把握し。爺さんが言った。

「それでは頼むぞ、期待してるからな」

大きくうなづき一瞬で気が失った。そんな第2の人生を歩む事となった少年、成瀬夏樹が世界を大きく左右させる人物となるのをまだ知る由もしなかった。


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