第七十三話 五所瓦これぞう劇場『女子高生は渾沌がお好き』最終章
【十三幕 城 王の間】
登場人物 みちよ
電磁九郎
ヘクソン
鉄兜の王
みちよ、電磁九郎、ヘクソン、王の間に入る。
電磁九郎「鉄兜の王よ、その椅子をこちらのみちょに譲るが良い。ザリガニに脱皮が必要なごとく、この国もまた良きものになるため一皮剥けなければならない。それにお前は邪魔なのよ」
鉄兜の王「くくっ、野良剣士が何を言う。国を統べるはただ一人のみ、それが私なのは決定事項よ。貴様らは黙ってヌル板を齧っておればよいのだ」
みちよ「それは良くないわ。食は文化、あまりにも蒟蒻に頼り切っていては楽しみが減るじゃない!」
鉄兜の王「くくっ、愚かにして薄鈍な娘よ。ヌル板こそが、この世を見て回った果てに辿り着いた至高の一品。それを民と共に味わって何が悪いか」
電磁九郎「言って分からぬ者とは拳か刀を交えるべき、これもまた師匠の教えである。覚悟せい愚かな王よ、頭に頂くその鉄兜、見事割ってみせよう!きえ~い!」
電磁九郎、鉄兜の王に斬りかかる。
鉄兜の王「愚かな猪武者めが、うせろ」
鉄兜の王、手袋を外して電磁九郎に人差し指を向ける。
王の指先から高圧な水滴が発射され電磁九郎の頭部を狙う。
電磁九郎「ううっ!何を……」
電磁九郎の頭を覆う多様性兜ジャニューが割れる。
電磁九郎「く、我が刃届かず……無念」
電磁九郎地に伏す。
ヘクソン「なんと!万能の兜ジャニューを割るとは!」
鉄兜の王「次は貴様らだ。王に逆らいし者の運命、それ即ち死に他ならぬ!」
鉄兜の王、ゆっくりとみちよとヘクソンに近づく。
みちよ、下地法師より授かりし法銃を手に取る。
ヘクソン「おお!それは、聖なる乙女が手にして然るべき法銃マサノリ」
【補足説明】マサノリは下地法師のファーストネーム。
みちよ「くらいなさい!」
みちよ、鉄兜の王の頭部を狙い、迷いなく一発打ち込む。
鉄兜の王「ぐぅ!」
王の鉄兜が割れる。
みちよ「あ、あなたは!あの時の河童!」
河童「ふふ、そうだ娘。いかにも俺は、あの時お前から名を得た河童よ」
ヘクソン「おおっ!これはなんたること!我が国の王の正体が化物だったとは!」
みちよ「あなたはどうゆう訳でこんなことをしてるのよ!」
河童「ふふっ、理由などはない。この世の全ては、仕組まれた運命の下に成すべくして成されること。その理由がどうだこうだと究明したところで答えはソレ以上先には進まぬ。俺が大好きなヌル板を世に広め、戦闘機を飛ばしてまでそれを撒き、そして兵士に防具を与えないのも理由なき理由の下に成された動かしようのない事実」
みちよ「まったく訳が分からないわ!」
河童「ふふっ、そうだろうそうだろう。何せこの俺にも全てのことは分からない。みちよ、お前は訳の分からないままにこの世界に迷い込み、そしてまた訳の分からないままにお前の故郷日本に帰ることになるのだ。しかし、それはことによると正しき場所に帰るようで、その実迷い込んだ先なのかもしれぬ」
みちよ「何を言うの!日本は紛れもなく私の帰るべき正しき世界よ」
河童「ふふっ、その想い、一貫して揺らぐことがなければよいがな。さすれば、それこそが真の理と言うもの。ふっふふふ……」
舞台、大きな音がする。
ヘクソン「何だろうか、この音は!」
河童「ふふっ、窓の外を見るがよい」
みちよ「ああ!あの蒟蒻を落とす戦闘機がこっちに突っ込んでくるわ!」
ヘクソン「みちょ、電磁九郎!早く退避せねば!」
河童「無駄だ間に合わん。これもまた運命。ふふっみちよ、お前の迷い無き歩み、見せてもらおうぞ」
戦闘機、城に激突し舞台に轟音響き渡る。
舞台、赤色に点滅し、最後には照明を落とす。
【十四幕 森】
登場人物 みちよ
マサノリ
みちよ「ううん……ここは……あぁ、嫌だわ、私ったら森の中で寝てたのね」
みちよ、起き上がる。
みちよ「ああ、制服がザクロの汁で染みになってるわ。どうしようかしら、クリーニングしないとだめね。うん?なにかしらこれ」
みちよ、森に転がるアイテムに気づき屈んで手に取って見る。
みちよ「これは、蒟蒻……それにカニの足ね……割れた鍋もあるわ……これは一体なんだったかしら、何か思い出しそうなのに、出てこない……」
マサノリ「お~いみちよ~」
マサノリ、登場。
みちよ「ああ、マサノリ兄さん。探しに来てくれたのね」
マサノリ「おいおい、お前は高校生にもなって何をこんな時間まで森で遊んでいるんだ。帰りが遅いから心配したじゃないか。さぁ家に帰ろう」
みちよ「うん、そうね」
マサノリ「うん?なんだいそれは?」
みちよ「ええ、ちょっと気になって見てたの」
マサノリ「ほぅ、大方ここいらに住み着いているホームレスの飯と道具だろう。そのままにしておきなさい。それから今日の晩飯はお前の好きなポークピカタだぞ」
みちよ「やった。今はすごくお肉が食べたい気分だったの。そう蒟蒻じゃなくってね……」
二人、歩いて退場。
これにて終劇。




