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第七十二話 五所瓦これぞう劇場『女子高生は渾沌がお好き』第四章

【十幕 街】


 登場人物 みちよ

      電磁九郎でんじくろう

      ヘクソン



 三人、食事を終えて飯屋から出てくる。


みちよ「はぁ~お腹いっぱいだけど、やっぱりメニューの中心は蒟蒻なのね。蒟蒻は好きだけどこれだけ続くと飽きるわ」


電磁九郎「何を言う、我が国の主食はヌル板だぞ」


ヘクソン「これは国を統べる王の意志、ヌル板こそが至高の食べ物とされているのだ。しかしみちょの言い分もまた確かなこと」


みちよ「ヘクソンは王の政治に不満があるのね。訳の分からない理屈を用いて兵士に防具を支給しないことや蒟蒻だらけの毎日が嫌なのでしょう」


ヘクソン「むむぅ、我が王の決めし事。声高らかに否定意見は言えぬが、まぁそんなところだな」


みちよ「うん、じゃあこの国のこんな方針はぶっ潰しましょ。その任を行うために私はこんな謎の世界に飛ばされたのだと思うの。今急にピンと来て答えが出たわ。でも、飛ばされたのでなくてあれは落ちたのね」


電磁九郎「なぬっ!鉄兜の王を打倒するだと!はっは、みちょはまたとんでもないことを言い出す。俺は何であろうが伝説のみちょに従うまでだ」


ヘクソン「みちょ、こっこれはまた唐突になんてことを言い出すのだ。しかも往来の真ん中で」


みちよ「この世界は何から何までおかしい。そして人々がおかしいに気づいていないのが一番ダメね。ここにいる人達は、訳の分からないことを全て訳の分からぬままに受け入れているわ。それはお行儀良く決められた規則に準拠しているように見えて、その実単なる怠惰にすぎないと思うの。ここの人達は自主性がないわ。ヘクソンのように、変えるべきことを変えるべく行動することが大事なの。あなたは良いことに気づいたのよ」


ヘクソン「おお神よ。伝説のJKが今、ミニスカの裾をなびかせて私に説く。鉄兜王の愚かなる政治に終止符を打てと。終止符、英語的に言えばピリオド、私は試験において英語の問題を解き終えた証であるピリオドを問題用紙の上に打つのが何よりも快感だった。ならば打ってみせよう、この国を過去にし、そして新しき未来の狼煙のろしともなるピリオドを!」


みちよ「そうよヘクソン、ピリオドは一旦の終わりと次なる始まりを告げる黒き点なの。それにしてもあなたって表現が実にポエミーなのね。いいと想うわソレ」


ヘクソン「ふふ、みちょこそ。理知的で博識な乙女よ」


電磁九郎「へ?そのピリオドってのはなんだ。おいしいのか?」

 

【補足説明】電磁九郎は腕が立つが学がない。



【十一幕 城 王の間】


 登場人物 みちよ

      電磁九郎

      ヘクソン

      鉄兜の王 

      兵士



 兵士、王の間に駆け込んで来る。


兵士「王よ!大変です。城門で反逆者が暴れています。なんでも食文化に彩りをとか、兵士には防具をとかいったことをほざいております!」


鉄兜の王「何?我が国始まって以来初の民の反乱とな?ならば今こそ日頃から鍛錬を積みし我が兵の戦闘力が問われるというもの。何人でも城門に放つが良い。魂を磨き戦士に敗北はないと見せつけるのだ!」


兵士「ははっ!私としても入団以来ひたすら磨き続けてきたこの拳の活躍する場を欲していた所、良いでしょう、我が王の偉大さと我らの訓練の成果、とくとご覧にいれましょう」  


鉄兜の王「長口上は良い!だらだら喋るよりも、迅速にことを成せ!」


 兵士、走って退場。


鉄兜の王「やれやれ、ヘクソンだな。奴は忠実なふりをしていつだって私に反感を持っていた。そしてまだいる反逆者の中には奴も……ふふふ……」



【十二幕 城 城門】


 登場人物 みちよ

      電磁九郎

      ヘクソン

      兵士多数

 


 兵士多数がみちよ、電磁九郎、ヘクソンを取り囲む。

 電磁九郎、大立ち回りし既に兵士数人をのしている。そのまま戦闘続行。

   


電磁九郎「どうした、鍛錬積みし兵士ども!そんなことではこの電磁九郎が放つ音速大蛇流二刀剣術は破れはせんぞ!」


兵士「臆するな!そんな剣術よりも我々の拳の方がきっと強い。かかれ~!」


 兵士二人、電磁九郎に突撃。


電磁九郎「遅い遅い!時がとまっておるわ!」

 

 電磁九郎、両手に握りし刀でするどい一撃を放ち兵士二人を一度に片付ける。


みちよ「電磁九郎、あなたがその手にもってるのはまさか!」


電磁九郎「ああ、これは申し分ない強度と硬度を誇る甲殻類ヨーコアールキーの亡骸を武器としたもの。これが音速大蛇流の刀」


みちよ「甲殻類ヨーコアールキー……て、それはタラバガニの足じゃない!」


電磁九郎「なんと、JKの国ではヨーコアールキーはタラバガニと呼ぶのか、そっちの方がずっと強そうだ。ならばこのタラバガニが貴様らの額を割ってみせよう。コイツは死してなお貴様らの生を喰らう妖刀だ!きえ~い!」


 兵士、タラバガニの足でばったばったと倒されていく。


ヘクソン「だから言ったのだ。兜があればヨーコアールキーの一撃や二撃くらいは防げていたろうに。頭を晒しているから皆一撃の下に額を割られて地に伏せることとなったのだ」


兵士「おのれ何を言うか裏切りヘクソン!とわ~!!」


 兵士、ヘクソンに飛びかかる。


ヘクソン「脇が甘いぞ!」


 ヘクソン、兵士の攻撃をヒラリと交わし、脇の下に一撃を入れる。兵士、倒れる。


ヘクソン「このヘクソンは文武両道。簡単には倒せはせん!」


みちよ「うわぁヘクソンすごいわ!」


ヘクソン「ふふっ、脇の下は人体の急所、強き衝撃を貰えばすぐには起き上がれはせん。電磁九郎、これでも彼らは国の資本、なるたけ血を見ない解決法を頼む」


電磁九郎「お安いお安い、我が音速大蛇流は活人剣である。命を奪うことをモットーとはせぬ。しかし、貴様ら、この電磁九郎を怒らすと、その加減にも限界があるかもしれぬ。ここから先は死にたい者のみかかってくるがよいわ!」


 電磁九郎が啖呵を切ると兵士多数、揃って縮み上がる。


電磁九郎「よいよい、ここでかかって来ない者は皆正しい選択をした者。恥ずかしいことはない。道を開けよ。伝説のJKみちょのお通りだ」


 兵士道を譲る。

 みちよ、電磁九郎、ヘクソン、王の間へと進む。


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