第七十一話 五所瓦これぞう劇場『女子高生は渾沌がお好き』第三章
【七幕 街】
登場人物 みちよ
電磁九郎
兵士
みちよ、電磁九郎、舞台端から舞台中央まで歩いてくる。兵士、声をかけてそれを止める。
兵士「おい娘、ここを通るには通行料を貰うぞ」
みちよ「へ?ではこの先に何があると言うの?」
兵士「何があるという訳ではないが、通行料を貰わないことには通すことは出来ん」
みちよ「遊園地でもあるまいし、どうして何もない通りを歩くのに通行料がいると言うの?」
兵士「何を!貴様反逆者なのか!ここの決まりを守らない者は皆裁きを受けることになるぞ」
みちよ「どこでも決まりを守らないとそうよ。でもそれが守るに至るものかどうかをまず問うわ!」
兵士「何!貴様小難しいことを言うなぁ。貴様は差詰めインテリってやつか。俺はインテリと練り物が嫌いなんだ」
みちよ「何を言うの、カマボコだって竹輪だって皆美味しいじゃない。それにインテリにだってきっと良い人はいるわ」
電磁九郎「まぁまぁ娘、兵士の頭に向かって心理的槍を刺すものではない。それなら俺が払うよ。ほら、ヌル板二枚ね」
みちよ「兵士ですって?だってこの人、タンクトップに短パンじゃない?こんな兵士がいる?兵士ってのは鎧を着ているものじゃないの?」
電磁九郎「何を言うか。心に兵士たるものを抱けばそれ即ち兵士の証。鎧など着ずとも兵士はできるさ。なぁ兵士よ」
兵士「まぁな。通行料は確かに貰った。最初から払えば良いものを……」
みちよ「まったくおかしな所ね。それからあなたは何を普通についてきているの?」
電磁九郎「師匠が言った。受けた恩を返すも返さぬもお前の自由、しかしその恩は忘れるべからず」
みちよ「だから?」
電磁九郎「だから義にうるさいこの俺はお前について周り、何かお困りごとがあれば音速大蛇流ニ刀剣術免許皆伝者の技を用いてお助することにしたのだ」
みちよ「まぁ好きにすれば。で、この先に何があるの?」
電磁九郎「いや、これと言って……あっ、ちょっと珍しい物と言えば……ほらあの家。あれは下地法師の実家さ。伝説の生物うんたらかんたらの穿くうんたらかんたらとかいう腰を覆う布が展示されているんだ。これは珍しいというか不思議だろう?」
みちよ「これはあのお坊さんの作ったミニスカね……」
電磁九郎「そうそうそのミニスカ……て、お前!ミニスカを穿いているではないか!これは下地法師の物よりずっと高級感があるように見え、そして作りも精巧。お前はもしかして下地法師の言ってた伝説の生物うんたらかんたらなのか?」
みちよ「JKよ」
電磁九郎「JK……はぁぁぁ!これはこれは恐れ多き伝説のJK、JKとマートゥンを食べたなんて、俺は幸運だ。娘よ、いやそなたの名前を教えてくだされ」
みちよ「みちよよ」
電磁九郎「みちょ、そうかみちょ。これから俺はみちょの用心棒として生きて行こう。下地法師が言っていた。JKは世界を救うとかなんとか……」
みちよ「みちよなんだけど……まぁいいわ」
【八幕 城 王の間】
登場人物 ヘクソン
鉄兜の王
ヘクソン「王よ、何故あれほど言っても兵士に鎧と兜を支給しないのですか。あんな薄着では普通に危ないではありませんか」
鉄兜の王「何度も言わすでないヘクソンよ。武器を手にすれば拳を磨く事を怠り、防具を身につければ肉体を鍛える事を怠る。そういった人の安心が招く油断と怠惰を遮断するために我が国が取った方針が裸一貫でも最強であれなのだと何度言えば分かる」
ヘクソン「はっ、確かに理に適った考えではあります。しかしいくら鍛えても剣や槍を防ぐ肉体を人間が手にできないのもまた確かなこと。どうか我が国の兵士に防具を支給することを検討してほしいのです」
鉄兜の王「もう良い、さがれヘクソン。ほら、ヌル板を100枚程やるから今日は街にでも行ってこれで遊んでこい。お前は疲れているんだ」
ヘクソン、ヌル板100枚を手にして王の間から退室。
ヘクソン「なんたることだ。昨日は8時間も寝ている。疲れなど全くない。あの王には話しが通じやしない。あんなことばかり言うのだから。そのくせ自分は敵襲を恐れて頭を覆う兜だけは常時身につけているときている。やれやれ、王にも困ったものだ……」
【九幕 城 城門】
登場人物 みちよ
電磁九郎
ヘクソン
みちよ「うわぁ、大きなお城に出たわ」
電磁九郎「ここは鉄兜の王が統べるお城だ」
みちよ「鉄兜ですって?兵士はほぼ裸なのに王様だけは兜をかぶっているの?」
電磁九郎「まぁな。師匠が言ってた。対集団戦を行うなら頭を潰せ。そう、頭ってのは大将のこと、それが討たれたら兵を何万残しても敗北なのだ。王たる者しっかり守られ、また自分でも身を守らないといけないのだ。だから鉄兜は必須」
みちよ「あなたのそれのように?」
みちよ、電磁九郎の頭を覆う多様性兜ジャニューを指す。
電磁九郎「そう、ジャニューこそ二つの意味で頭を守るもの、俺にとって頭である大将はみちょ、そんなみちょの頭を守るべくこれはみちょの頭にふさわしい」
電磁九郎、ジャニューに手をかけ脱ごうとするがみちよが止める。
みちよ「いや、いいから!鍋は……ジャニューは電磁九郎の頭にこそふさわしいわ。私を守るあなたの頭を守ることだって重要じゃない」
電磁九郎「確かに」
門からヘクソン登場。
ヘクソン「おっ、お前は電磁九郎。こんなところで何をやっている?」
電磁九郎「おぉ!ヘクソンではないか。どうしたのだそんなにたくさんヌル板を持って」
ヘクソン「王から頂いた。どれ、お前もこれで一緒に飯といかないか」
電磁九郎「いや、今の俺は仕える主君ある身、こちらの伝説のえ~と、何だっけ?とにかく伝説のみちょだ」
ヘクソン「ぬっ、なんと!そなた、それは下地法師が信仰する宗教の神が腰に纏う聖なる衣ミニスカでは?」
みちよ「いかにも、これがミニスカ。そして私はJKよ」
ヘクソン「そうか、これは天啓なのかもしれぬ。あの王の愚かな考えを打ち破って国を統べるのはこの
みちょなのかもしれない。考えるのだヘクソン、正しき者に仕えてこそお前の人生の真価といえよう」
電磁九郎「はじまったぞ。ヘクソンは学校の頃からなにかと悶々と考えがちな奴だったのよ。しかし、奴は切れ者。きっと何か良いことを考えておるはずだ」
みちよ「へぇ二人は同級生なのね?」
電磁九郎「ははっ、同級生ってのが何かは知らんが。まぁみちょが言ってることは合ってると思うぞ」
ヘクソン「しかしこうも腹が減っては頭も回らぬ。みちょ、電磁九郎、二人共一緒に飯を食わないか」
みちよ「行こうじゃない。さっき食べた蒟蒻とマトンじゃ全然足りなかったもの」
三人。飯を食べに街へ向かう。




