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第三十五話 ゲーム強し倒せよ乙女

 これぞうとみさきが遭遇したのを見た桂子は、驚きのあまりこれぞうを放置してあかりの下まで駆けた。しかしやはりこれぞうのことが気になる桂子は、家に帰って落ちつくと、あかりを連れて再びゲームセンターに戻ってきた。そして今、桂子とあかりの二人のお姉ちゃんは、メダルゲームコイン両替機の影に隠れてこれぞうと水野姉妹の姿を覗いていた。


「いるいる、あの女よ。あんな胸してこれぞうを籠絡しようと言うのね」

 失礼な物言いをするのはこれぞう大好きな従姉妹のお姉さんの桂子である。 

「あのね、みさき先生はそんなエロ女じゃないわよ。それにしてもみさき先生、やっぱり可愛いわね。あの妹さんの方も先生に似て可愛いし」

 あかりは水野姉妹を気に入っている。

「うんうん、まぁ言われて見れば顔立ちは整っているわね。髪質も綺麗だし、大人だけどまだどこか少女っぽく見えるいかにも男受けしそうな童顔は……ちょっといいかもね」

 桂子はしっかり分析して、その上で早くもみさきの魅力に落ちそうである。

「それにいい匂いがするわね」

 クンクンと鼻を鳴らしながら桂子は言った。

「あんたねぇ、あそこまでどれだけ距離があると想ってるのよ。匂いがするわけないでしょうが」

 二人とこれぞう達とは10メートル近く離れていた。

 あかりはメダル両替機の影に屈んで隠れ、桂子は中腰で構えている。

「ふんふん、あかり、これはあなたの髪の匂いね。一般庶民のくせして良いシャンプーを使ってるみたいじゃない」

 桂子は中腰から更に屈んであかりの髪の匂い嗅ごうとする。

「ちょっと、止めなよ桂子、あんた昔からそうして女子との距離の詰め方がおかしいのよ。ちょっとレズっ気があるんじゃない?」

「性別なんて飾りよ。良いものは良い、可愛いものは可愛い、私はそこに性別の事情なんて挟まないわ。つまらない価値観は人生を楽しむ上でお荷物になるわ」

「あんたは海を渡ってもそのおかしな所は変わってないのね。もうっ、離れなよ」 

「まぁまぁいいじゃないあかり」

 メダル両替機の影に隠れる怪しげな客二人に声をかけようと中年の男性店員が近づくも、こうして美少女がじゃれているのを見ると思わずときめいてしまう。彼は二人に声をかけることを忘れ、しばらく目の保養タイムを取っていたのであった。

 一方これぞうはというと、水野姉妹に良いところを見せようとUFOキャッチャーに挑戦したのだが、彼はゲームがクソ下手でキャッチできたのは空気のみであった。

「というわけでシスターズ、UFOキャッチャー内の空気です」

 これぞうにはこんなジョークを言うくらいしか出来なかった。

「これぞう君ってゲーム下手だよね。前にお姉ちゃんとゲームしてた時もそうだったよね」

 はっきりと下手と指摘しながら水野姉妹の妹みすずが言った。そして次は彼女がゲームに挑戦する。するとみすずは一発で熊のぬいぐるみをゲットしてしまった。

「ややっ、これは意外な特技!みすずちゃんはすごいな」

「こっちも取れたよ」

 これぞうが空気を掴んでいる間にみさきは隣のUFOキャッチャーで遊んでいた。そしてものすごくデカイお菓子袋を取って来た。

「ああ、姉妹揃ってゲームが強いのか。桂子ちゃんもさっきのシューティングゲームであっさり最高スコアをだしてしまったし、僕の周りの女性は揃ってゲームが上手いみたいだ」

「そう言えばこれぞう君、一緒に来てた女の人、帰ったけどいいの?というか誰?」とみすずが聞く。

「ああいいんだよ。一緒に来てたのは従姉妹の桂子ちゃんで姉さんと同じ歳の人さ。桂子ちゃんは自由人だからね、どこに行くも気分のままさ。昨日まで海の向こうにいたくらいだし」

「じゃあ、あかりさんのゲームの腕は?」とみさきが聞いた。

「ああ、姉さんはですね、思い切りパンチを食らわすゲームがあるでしょ、あれで一位だったんですよ。あとワニが出てきて叩くヤツ、あれもスゴイんですよ。一匹も逃しませんから。姉さんは、常人外れの気質が邪魔して、ルールに縛られること、チームでことにあたることができないためにスポーツには向かない人ではありますが、身体能力は極めて高いのですよ」

「へ、へぇ(なんか分かる)」

 みさきはこれぞうの説明に納得してしまった。

「え~と、桂子さんってのは五所瓦ごしょがわら君とはとても仲が良いの?」

「あれ、お姉ちゃん、そこ気になるの?」

 みさきの横腹を小突きながらみすずが言った。

(私はまた何でそんなことが気になったのだろう。五所瓦君が女の子と仲良く遊んでいて何を気にすることがあるというの)

 みさきは自分でも意外なことを聞いてしまったと想った。

「ええ、それは仲良しですよ。桂子ちゃんはいつまでも僕のことは子供扱いしますからね。今日も遊びに連れて行ってやるって感じで引っ張られてですね。あ、ゲームは彼女の奢りでしたけどね」

「へぇ、そう。子供扱いねぇ」


 その時、あかりと桂子はまだじゃれていた。そして、お互いちょっと楽しくなっていた。この二人は幼い頃から何度となく衝突を繰り返してきたが、なんだかんだですぐ仲直りする。それを繰り返して今日に至るのである。そんな訳で仲が悪いと言えばそうだが、仲が良いと言ってもそうなのである。不思議なものだが、つまりは良いコンビだということである。

「あかり、あなたの二の腕、スベスベでぷにぷにね」

「やめなって桂子」言いながらあかりは桂子の胸を押す。

「あんた海の向こうでちょっと大きくなったんじゃない?」

「ふふっ、あなただって成長しているじゃない。触れば分かるわ」

 二人は互いにおっぱいを揉み合っていた。

 店員、客を含め、通り過ぎる男は皆二人のじゃれあいに目を奪われていた。

 二人がそんなことをしている間にこれぞうと水野姉妹はゲームセンターを出ていってしまった。

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