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第百六十六話 白き花は正義の花

 今回のお話は、美しき乙女がイチャつくだけの挿話です。物語の本筋でもなければ、何かの伏線というわけでもありません。よって飛ばしても何ら問題無い回です。

 

 これぞうとひよりが部屋で二人切りだったその時、隣の部屋、つまりは姉のあかりの部屋では、あかりと従姉妹の桂子が壁に耳を押し当ててこれぞう達の会話を盗み聞きしていた。


「ぬぅぅぅ、また暇になってあかりを訪ねたところ、私よりもっと暇人のあかりはまた懲りずにケツアゴ男の落書きをしていた。そこに、なぜかひよりがこれぞうを訪ねて来て、そしてこれぞうが帰ってから二人切り。まったく、これぞうはいつだって私を暇から脱出させてくれるわ。あなたは暇の脱獄王よ。まるで巌窟王ね」と桂子はこれまでの経緯を説明した。

「しぃ~。桂子、聞こえないでしょ」あかりが注意する。

 この街を代表する美少女二人が揃って壁に耳を押し当てている。こんな画は見たくなかった。


 これぞうがひよりを家まで送るために部屋を出た。

「あの子、やるわねぁ。やはりただものじゃなかった」あかりが言う。

「ふふ、これぞうのせいで泣く女がまた一人ね。罪を重ねるごとにこれぞうは良い男になるわ」

「そういやあんたも振られたのよね?」

「いいえ、良い男に育ててみさきに譲渡したってわけよ」

「何言ってんのよあんたは!」


 壁に張り付いた二人の距離は近い。こうして近いと、桂子の方ではまたいつものアレがやって来る。

「ふふ、二人切りねあかり」

「はぁ?知ってるわよ?」

「あぁ、これぞうも可愛いけど、やはりあかりはあかりで良いわね」

 桂子はあかりの腰に手を回す。

「ちょっと!だからあんた、会う度にユリっ気が増すのはどういう訳なのよ!」

「さぁ、私は良いものは良いで割り切る女よ。そこの割り算に余りはないわ」

 桂子はあかりの脇腹を優しく摘んだ。

「あらあらあかり、最近ちょっとぷにぷにが増したわね。家にこもってケツアゴ男ばかり描いてちゃ不健康よ。家のプールにいらっしゃい。良い水着も用意してあげるから」

「どうせあんたの趣味のいやらしい水着でしょ?」

「失礼な。美しくセクシーと言ってほしいわ。それか、ヌードでも可よ」

「そう言うあんたこそ!」と言うとあかりは桂子の尻を掴む。

「ひゃん!」

 あかりの細い指が桂子の柔らかい尻に埋まったその時、気位が高いお嬢様が普段決して発することのない萌えな声が上がった。桂子は尻が感じやすい乙女だ。

「最近はまた安産型を極めてきたんじゃない?」

「何を言うのあかり?ちょっと、揉まないでよ」

 尻を攻められた桂子は、あかりの横腹から脇にかけてをくすぐる。あかりはこれに弱い。

「きゃっは!桂子!手付きがいやらしい!」

「あなたこそ。長年満員電車で他人の尻を揉みしだいて数年って感じの熟練した痴漢の手付きのように思えるわよ!」

「それは、はっは!言いすぎ、もう!くすぐったい!」

 

 そうして互いの弱き部位を攻め合う内に、二人の乙女は顔を紅潮させ、吐息のボリュームを上げていく。

 今では室内には「はぁはぁ」という声が響くのみ。


「ちょっと、お楽しみのところ悪いけど、ご飯できたわよ。どうする?食べるの?それともまだ続きする?」部屋の入口からこちらを見て母しずえが言った。彼女は部屋をノックして入ってきたが、二人はお楽しみに中だったのでそれに気づいていない。

「はぁはぁ、お母さん。ノックしてよ……でもお腹減った」

 ノックならちゃんとした。だからあかりが言ったことに母は何も返さなかった。

「はぁはぁ……おばさま、ありがとうございます。是非いただきます。はぁはぁ……」はぁはぁ言いながら桂子が答えた。

「まったく、何やってんのよあんた達は。ほんと、いつまでも仲良しなんだから」

 従姉妹同士で仲が良いのは良いこと。しかしこの二人、仲が良すぎた。しずえは喜び半分、困った半分の想いで言った。

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