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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校三年生
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【第98話】夏休み4~BBQ~

 夏の祭典はいつも通り、特に変わったことはなかった。

 前回と違ってツバサちゃんのお母さんが新刊を落とさなかった。という違いがあるぐらいで、いつものごとく伊佐美さんに企業ブースに連れて行かれたりはしたものの、いつもと特に変わりはなかった。

 あぁまた今度、ツバサちゃんと真奈ちゃんのコスプレ写真は送っておかないと。


 で、夏の祭典の事はおいておいて今は最近乗ることが多い会社の社用車で山登りしている。

 流石にわたし含めて5人と荷物を載せている状態で山道を登るのは重い。通常より結構踏まないと進まない。

 今わたしの車の前後にもまたうちの事務所のロゴが入った社用車と他数台の車が列をなして山道を進んでいる。全台数は12台。各車両に4人ないし5人乗ってるから40人を超える大所帯だ。


「なーリン。あとどれくらいだっけ?」


 助手席に座る遥斗がまだまだ続いている山道を見ながら聞いてきた。


「距離的には2キロ」


 さっき目的地の看板とセットしたカーナビの残り距離がそうなっている。目的地は山中にあるキャンプ場。目的はバーベキューだ。事務所の夏の行事として行われていて、実はわたしは小学校の頃から参加していた。まぁその頃はわたし男の姿ですが。なので参加している人たちはわたしが男だと知っているはずなんですけど、多分別人だと思われてるんですよね。

 去年は運転手の父さんがお酒を飲まないように監視しながら、火の番してた。今年は同乗者のほうが気にかけてくれるだろう。わたしは今年は食べる。


「しっかし残念だよなぁー鈴木も飯島さんも来れないだなんて」

「だねー折角ただでバーベキューできるのに」

「くくく。だね」


 近藤と柊さん、早乙女さんが後部座席で話している。裏事情を知っている早乙女さんが隠しきれない笑い声が聞こえてくる。


 そう。わたしの車に乗り合わせてるのはVoice(ボイス)Researchers(リサーチャーズ)の二人と編集担当の早乙女さんだ。今回わたしと遥斗は別系統で先に呼ばれていてそっちで行くと回答してたんですよ。

 その数日後にリーダーである近藤から、今日に用事あるかを聞かれて既に予定として入れてたから無理と答えたというわけだ。

 今日事務所に集合してこの話だったと把握したけど着替えてくる時間はなかった。

 あとは同じ高校生同士同じ車のほうがいいでしょ?と幹事の人に言われてわたしの車にこの5人となったわけだ。あっ守山さんは今日は残念ながら家庭の用事で来れません。


「もうすぐ着く」


 あぁ燃費の平均ががくんと落ちてる。やっぱこの人数乗せて山登りは燃費悪い。



 *



「虫除けした?」


 わたしは鞄に忍ばせてきた虫除けスプレーを他の人に渡す。わたしは家でしてきた。いやね。今日はスカートなわけですよ。で、昔太ももを刺されてものすごくかゆい思いしたので中もできるだけふってます。だから人前じゃちょっとやりにくいんですよね。母さんに笑いながら見られましたけど。


「あっ、してない」

「ん」


 整備されているキャンプ場だと言っても虫はいますからね。どうぞ、使ってください。


「リーン!!下準備手伝ってー!!」


 あーはいはい。今行きます。

 終わったら車の中・・・はまずいですね。スプレーなので暑くなる車内に置きっぱなしには出来ない。


「終わったら持ってきてください」


 じゃ、わたしは野菜切ったり準備しますので、火起こしでもしておいてください。



 *



「リンはあの二人には言わない感じ?」


 かぼちゃを包丁で切りながら母さんから声をかけられる。そっち水道も台もないですよね。ということは何もしてないと・・・いや、まぁいいですけどね。どうせ今日は肉がメインなので下処理するものはそんなに無いですし。


 あの二人というのは近藤と柊さんのことだろう。


「タイミング完全に逃した」


 リンとして関係を持ちすぎて言い出すタイミングを逃した。正直最初の頃少し関わって終わるだけかと思ったら事務所に入ってきてしまって長い付き合いになりそうだし。基本的に二人の前では裕樹か悠里として出てたけど。


「あー、そっか。ちょっと関わりすぎたか」


 関わりが深くなるほどバラしにくいとはよくあること。


「ま、バレるまでは黙っとく」

「あははー、いつまでもバレなさそう」


 んーどうかな。



 *



「おっきたきた」


 切った素材を持っていくとかまどの前に早乙女さんが陣取っていた。なぜに?


「いやー中々火を点けれてなかったから、ちょっと口出したらいつのまにか担当に・・・」


 あぁーうちインドアな社員だらけですからね。あまりキャンプとかしない人たちですから手際が悪いのは仕方ないと思います。去年もやってるはずとは言ってはいけない。一年ぶりなんて覚えてない人の方が多いんですから。


「まず火の通りにくい奴から」


 あーと、そういえばお米は炊けてるんでしょうか? 飯盒で炊くのが恒例となってますが。


「それもばっちし!!」


 あぁ、早乙女さんが手伝っていたのなら問題ないですね。いつもはいくつか失敗するのがあるんですけど。

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